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先輩はやっぱり会長

 結局真白は帰って来なかった。

 あれは演技だったのか?それに『私』と一人称まで変えて。キャラが渋滞しすぎだ。もう何がなんだか分からん、あいつはきっと教室で「惑え、惑え、ぷーくすくす」と笑っているのだろう。


 さらに分からないのがもう1つ。冷華や小春の時にあった嫌なドキドキはなかったが、2人といる時と同じような心がポカポカするタイプのドキドキが止まらない。やはり不整脈か。


 そんなことがあったためか3時間目の授業は一ミリも頭に入らなかった。


「空は授業中寝てただけでしょ」


 冷華がおかしなことを言っていたが関係はないだろう。


 3限の休み時間、僕は心のモヤモヤを解消するべくある人の元に向かう。


 彼女は人気者のため、話す時間などそうそう作れないが、この時間だけは2人で会う時間を設けている。その集合場所である生徒会室の前についた。


「かいちょー、いますかー」


 部屋に入ると彼女がいた。


「お!そーくん、やっときた。重役出勤だぞー」


 えいえいとほっぺを突いてくる。


 彼女の名前は夏月美桜。


 黒髪のポニーテールであり、印象として活発なスポーツ系女子である。その姿はまるで


「会長って毎度思いますけど、絶対幼馴染属性ですよね?生徒会キャラ似合ってませんよ?」


「えー、失礼だよぉ。私、黙って動かなければそれっぽいで有名なんだよー」


 ぶーぶーと彼女は可愛く唇を尖らせる。なんでこの人いちいち可愛いことするのかなぁ


 彼女の最大の特徴といえば、平均的な身長の割にどこがとは言わないがおっぱいがデカい。だが決して太っているのではなく、むしろモデルと比べても遜色ないほど細い。ボンキュキュである彼女はムチムチ感はなく(ムチムチが嫌いとは言ってない)スラッとした印象を与える。だがデカい。ちなみにファ・・・。


「とゆうか、そーくん毎回何で会長って言うの?」


「だって会長が会長だからですよ」


「そうだけど…私会長は会長でも副会長だよ?」


「だって、ただせさえ幼馴染キャラの会長が、年上なのに生徒会長ではなく副会長なんてキャラ薄くて解釈不一致です」


「そんなことないよ!副会長も立派な仕事だよ!さすがのそーくんでも今の発言は許さないぞー」


 彼女が手をワキワキとしながら距離を詰めてくるため、僕はさらに距離を詰めに入る。


「何で近づいちゃうのさ!」


「可愛い女の子が近づいてきたら逆に捕まえろと、ホームレスのおじさんが言ってたんです」


「え?可愛い?えへへー、嬉しいな〜」


 何この子、チョロかわすぎない!?


 だが笑顔が一転、今度は悲しそうな顔をして


「そろそろ、呼び方いつも通りに戻さない?」


 少し拗ねたように言う


「分かりましたよ。美桜先輩」


「もう!先輩はいらないって言ってるのに!」


 今度は困った顔をする。本当に表情がよく変わる人である。だからこそ、彼女の笑顔は心を癒してくれる。


「それにしても今日は来るのが遅かったね。何かあったの?」


「いえ、少し考え事をしていたら遅れてしまいました」


「困りごと?私にできることがあれば手伝うよ?」


「いえ、美桜先輩の手を煩わせるほどではありません。先輩には癒しを求めてきたので」


 彼女がキョトンとした顔をする


「癒し?私って何かそーくんを癒すようなことしたことあるかな?あ!そうだマッサージとかならできるよ!」


 どう?と彼女は聞いてくる


「いえいえ、先輩にはいつも癒されてますよ。てか僕が先輩のマッサージしましょうか?肩凝ってるでしょ?」


「ええ!?何で私の肩が凝ってるの分かったの!?もしかしてそーくんってエスパー?」


 そりゃー、そんなもん持ってたら凝るでしょ。少しだけ天然な彼女。そんな彼女と一緒にいることで胸の痛みが少しずつ引いていく気が


「あ!そう言えばそーくん。旬君がそーくんも今年は生徒会入らないかな?って聞いてきたよ」


 へへっ。とんでもねぇ豪速球が心臓にクリーンヒットしやがった。


 言い忘れていた(思い出したくなかった)が、旬先輩は我が校の生徒会長であり、美桜先輩は彼の幼馴染である。冷華もまた生徒会の一員であり、彼を中心に考えると恐ろしいほど人選がしっくりきてしまう。


 旬先輩や龍騎といい、彼ら主人公と比べると僕は本当にちっぽけな人間である。


「だって彼らの身長180cm以上あるんですよ?僕の身長175cmだと負けた気がします。」


「えー。そんなことないと思うけどなー。私はそーくんくらいでも十分高いと思うけど?それに、今時身長170cm以下は人権ない!なんて言う人なんていないから大丈夫だよ」


 歩く自己啓発本に慰められる僕。


 それにしても、まさか回復しにきたはずがダメージを受けてしまうとは。おそらく僕はアンデットか何かだったのだろう。


 そういえば、この胸が締め付けるような痛みを与えなかったのは真白だけだったな。唯一言葉のナイフによるダメージを与えてきたのもあいつだったが…「イエーイ」とダブルピースをかましてくるイメージが頭をよぎる。


「美桜先輩、もうそろそろ鐘が鳴っちゃいますよ」


「お!本当だね。そういえば、次の授業は旬君と同じグループだった。久々に一緒に料理を作るんだ!いやー楽しみだなー」


 ズキズキ


 胸の痛みが爆発的に広がる


 辛い。苦しい。なんなんだよ!なんなんだこの気持ちは(もう気付いてるんだろ?)分かんねぇよ!!(気付かないふりをしているだけだ)、くそ!どうすればいいんだよ!(力が欲しいか?)あれ?(欲しければくれてやる…探せ!この世の全てをそこに置いてきた)。


 もう1人の僕はやっぱり僕であった。だが胸の苦しみは解けない。すると少しだけ悪感情が溢れ出し、楽しそうに鼻歌を歌ってる先輩を壁に追いやり


 ドンッ


「美桜。今度は僕に料理作ってくれると嬉しいな」


 彼女の顔がどんどん赤くなり


「はっ、はひ」


 少し惚けた後、彼女はあたふたしだし全力疾走で部屋を飛び出た。


 何やってんだろ僕


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