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学園のアイドルは大体清楚

 次のエリア、教室にたどりついた。


「おはよー」


 僕の奇抜な挨拶を聞いて皆がこちらを見て笑顔を浮かべる。

 へへっ。人気者は辛いぜ!


「おはよう!冷華ちゃん!」


「お、おはよう雪月」


「れいっち♡おはよ〜♡」(ドスの効いた声)


 へへっ。人気者は辛いぜ!(泣)


 皆に挨拶された彼女ではあるが


「ええ」


 そう一言返し、彼女は自身の席に座る。


 女子達がが少し悲しそうな顔をする。男子は僕を睨んでくる。嫉妬かな?やれやれ、冷華のどこがいいんだか…全部に決まってんだろぉ!?(逆ギレ)


 男子と睨めっこを交わしていると


「おはよ」


「は、颯人〜」


 誰も僕に話しかけてこない中、親友がそこにいた。憎悪の対象である僕に話しかけてくるなんて、なんて良い奴なんだ!


「僕、颯人がイケメンじゃなかったら付き合ってのに」


「そこは男じゃなかったらじゃないのか?てかキモいから無理」


 とりあえず、どうでもいい颯人とか言う奴を無視して自分の席に向かうと


 ガラッ


 教室のドアが開き、1人の少女が教室に入ってきた。


 すると、電球に群がる虫が如く、少女の周りに人混みができる。あの中心にはクラスの、いや彼女レベルになると学園のアイドルと言っても差し支えない女の子がいる。


 彼女の名前は如月小春。


 腰ほどまでに伸ばした亜麻色の髪は通りすぎる全ての人の視線を吸い込むほど美しく、その肌は今まで日の光を浴びたことがないと錯覚するほど白い。また、小柄だが女性らしい肉付きをしており、運動も勉強も完璧。まさに文武両道、才色兼備。僕の考えた最強の女の子を現実化したような女の子である。例に漏れず、ファンクラブが存在しており、僕の会員番号は0001である。


 ここで主人公として行動するのであれば、一度席に座り、黄昏れるように外を見る。すると、昨日不良から助けた学校1の美少女である学園のアイドルが「空君おはようございます♡」と話しかけてくる。そんな僕を見て男どもに「ど、どうしてあいつが!」と人を殺せる目線(笑)を向けられ、おいおいおい、僕死んだは。となるのが正解である。


「おはよう!小春ちゃん!」


「お、おはよう如月」


「はるっち♡おはよ〜♡」(ドスの効いた声)


「おはよー」(空)


 モブの声を聞いた彼女は


「みなさん、おはようございます」


 小春がにっこりと微笑む。神が作りたもうた最高傑作である彼女の笑顔。クラス中の人が動きを止め、ただただ彼女に見惚れていた。


 僕も皆と同じようにDIOに攻撃されていると、小春と目が合う。


「・・・」


「・・・」


 しばしの沈黙

 そして


「空君!」


 先程の笑顔と違い、今度は小春の後ろには花が咲くエフェクトが発生していた。男子から「ど、どうしていつもあいつばっかり」と人を殺せる目線で睨まれる。あれって比喩表現じゃなかったんだな、不整脈が止まらねぇもん。


「おはようございます。空君。今日はお天気もいいですし、お昼は一緒に外で食べませんか?」


 身長が低いためか、自然と上目遣いとなる小春。琥珀色の瞳は心配そうにうるうると涙ぐんでいる。


「ぐはっ」(吐血)


 おっと、あまりの可愛さに血反吐を吐いてしまった。失敬、失敬。


「空君!だ、だだ大丈夫ですか!?す、すぐに保健室に!」


 ワタワタと焦りだす小春


 しまった!彼女に誤解を与えてしまった。ここはしっかりと弁明せねば。

 だがここで卑劣な追い討ちがかかる。僕を保健室へ連れて行こうとしたのか、小春の小さな手が僕の手を掴んだ。


 その瞬間、僕の心臓は動くことをやめた


「そ、そ…ら…君?」


 返事はないただの屍のようだ


 僕の心臓が止まっているのを確認した彼女は、僕の肩をゆさゆさと揺らす。


「嫌だよ空君。私…まだ…空君と一緒にいたかったのに」


 彼女の綺麗な瞳から一雫の涙が落ちる


「お二人さん、おふざけに興じるのもいいけど周りの目もあるから自重したら?」


 颯人が声をかけてくる


「え?おふざけ?」


 キョトンとした顔をする小春。可愛い


 僕は心臓を再起動させ、やれやれ、と首を振る


「で、でも心臓止まってましたよね?」


「おいおいおい。小春。最強の護身術は死んだふりなんだぜ。心臓を止めるくらいわけないさ」


 すると小春は可愛らしく頬を膨らませ


「本当に心配したんですよ!そういう冗談は控えて下さい」


「悪い悪い。ついでに謝ると昼は颯人と食べる約束したから今日は無理なんだ。ごめん」


「全く」


 彼女はジト目を僕に向けた後


「全部許してあげます。代わりに今度何か埋め合わせして下さいね」


 反則的なまでの笑顔を浮かべ、彼女は席に向かう。その後ろをまるで僕などいなかったかのようにクラスメイトがついていく。


「なぁ颯人…今の見たか?」


「ああ」


「結婚したい」


「さすがにあれは俺もずるいと思った」


「てか埋め合わせしろって言ってたよな」


「そうだな」


「それに(かこつ)けてデートとか誘ってもいいのかな?」


「どうなんだろうな。純粋にジュースでも奢れ、的なニュアンスかもしれんぞ。だけど、お前と如月さんとの仲ならもしかしたらそっちの意味合いの可能性もあるんじゃないか?」


 ふむ、なるほど


「つまり、小春も僕と結婚したいってことか」


「何もつまってないぞ。特にお前の頭の中」


 失礼な!僕の中には愛と勇気が満ち溢れているんだぞ!


「悪いな。詰まってたのはあんだったか」


「次の新しい顔はイケメンにしてもらうよ」


 親友とたわいない話で盛り上がる。何故か止まらない胸の鼓動を紛らわすかのように


 キーン コーン カーン コーン


 鐘が鳴る


 先生が入ってくる。その見た目はみんなが頭に思い描く美人教師そのもの。まさにできる女といった感じである。雰囲気だけは…


「おーい。馬鹿どもー。席つけー」


 ある意味みんなの思い描く美人教師はこうかもしれない


「今日はお前らの大好きな転校生が来るぞ」


 ほう?あまりにもベタすぎて嫌な予感しかしないぞ


 ガラガラと教室のドアが開く


 赤い髪をしたイケメン。あ、こいつ主人公だ


「俺の名前は龍騎。これからクラスの一員になる。仲良くしてくれると嬉しい。よろしくな」


 あまりにも王道すぎる展開。流れから見るにメインヒロインがもうすぐ


「あ、あなたは今朝の!」 「お前は朝の!」


 2人が声を上げる


 龍騎と


 小春が


 予想通りの結果である。


 え?なに?僕が思い上がった瞬間落としてくるの何なの?


 ズキズキッと胸の痛みがさらに強くなる。これはどう考えても伏線だよね!分かりやすぎて伏んでないからただの線だけどね!分かりやすい一本線だよ!


 龍騎と小春は隣の席になり、楽しそうに喋っている


「辛いなー」


 消え入りそうな声で呟いた。


 親友だけはその声を聞き逃さなかった。

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