第3章 お互いに「助け合う」
「俺らの中に殺人鬼がいるとでも言いたいのか?」
「俺らの中に犯人がいるって言ってるんじゃない。ただ、断定は出来ないがその可能性もあるって言ってるだけだ。」
トラちゃんとすてが言い争っている。それこそ今争ってる場合じゃない。
あの死体を見つけたことは、警察にも言っていない。この中に犯人がいないと断言できるまでは、この中でなんとか解決しようとすてがいったからだ。
「死体を調べたが、首元に縄の跡があった。たまごが一番最後に見られたのは朝だ。白昼堂々その辺に居る奴を襲う奴がいるとも思えない。朝からたまごに接すことが出来て、たまごを殺す動機が出来ると言ったら、この同好会に居ると考えるのは妥当だろ。」
この中にたまごを殺す奴がいるとは思えない。でも、すてにそう言われると確かに、と思ってしまう。白昼堂々襲ったとも限らないし、同じクラス内で何かあったのかもわからない。
...もしかして、
すては何か、知ってるんじゃないか。
そして、仲間内で争わせようとしてるのか、それとも...
「でも!私は皆を信じたい。今まで皆と接してきて、たまごちゃんを恨むような人が居るとは思いたくない!」
「思いたくなくても、その可能性が十分にあるんだ。切れきれない。」
ゆう兄の必死の訴えをすてが切る。すては、何か慌てているように見える。
「僕もそれには反対です。このメンバーは、人を殺すようには見えない。私達は、困っているとき、助け合うべきだというのがこの同好会のスローガンの一つです。それを決めたのは私ですが。」
「俺も、この中にたまごを殺したい奴がいるとは思わないね。」
へりおさんとしょうくんが言う。それに続いて、
「僕も、皆を信じる。」
僕もそう言う。
ただ、そうなると、警察に届けだした方がいいのかもしれない。でも、僕は、たまごのためにも、僕らが犯人を見つけてやりたいと思った。
「とりあえずこういうときは、ヒントを探索だろ。部室、本人の部屋、教室のロッカー、捜してみれば何かあるかもしれない。」
トラちゃんはやっぱり行動力がある。でも、トラちゃんも何か焦っているようにしか見えなかった。