プロローグなんていらないのかもしれない
皆さんはAIといものをご存知だろうか?
いわゆる人工知能というもので、大体二つに分類される。
その二つが特化型人工知能と汎用人工知能になるらしい。
特化型人工知能は……説明がめんどくさいので、各々調べて貰えると嬉しい。
なぜ僕がこんな話をしたかと言うと、汎用人工知能の開発が人類最後の発明と言われている。
しかし、目の前に自らをAIを搭載したロボットだと言い張る美少女が現れた。
しかも、ドアをノックして僕の部屋に入ってきた。
どっからどうみても普通の人間だったので、「何か証拠はないの?」と聞いてみたら、見るからに四次元○ケットみたいなやつをだして中をあさり始めた。
完全にドラ○もんのやつだこれ。
ド○えもんのポケットのやつだよねこれ? ちょっと信憑性が増してきたな。
「そのポケットって四次○ポケット的な?」
「いえ、ただの小物入れです」
──まぎらわしっ! めちゃくちゃ紛らわしいよ! そんな白くて半円型のポケットみたいな物みたら、四○元ポケットかと思うよ……。
急に信憑性がなくなってきたな。
「──あっ、ありました! これです! これ見てください!」
彼女がそう言って紛らわしい小物入れから取り出したのは、くしゃくしゃに丸まっている紙だった。
それを渡されたので、中身を見るために紙をひろげた。
表紙の一番上には『取り扱い説明書』と書かれていて、僕はとりあえず全文読むことにした。
読んでいるうちに心の中で沸々とこんな言葉が頭の中を駆け巡った。
「──ペットかっ!」
「ペットじゃないです! AIロボットです!」
ふんすと胸を張って言っているけど、ペットを飼うにはみたいな条件が書いてあるからね? これ。
例えば『最後までAIロボットの面倒を見切れるか』とか、『経済的な負担を考慮できるか』とか……。
最後の一文にいたっては手書きで『3時のおやつはケーキが良いです! ちなみにマカロンでも可』とか書いてあるし……。
「っていうかこれ……最後の一文、君が書き足したよね?」
「──なっ、ななななわけないじゃないですかぁ! いっ、いいがかりですっ!」
うわぁ……。めちゃくちゃ分かりやすく動揺してらっしゃる。
「で、君は結局なんなの?」
「私はAIロボットの愛彩です! 愛を彩ると書きます! あなたの愛を彩るために私は生まれました!」
──うん? 普通に意味が分からないんだけど……。愛を彩るってなに? なに言ってるのこの子? もしかして、アホの子なのかな?
ずっと楽しそうにニコニコしてるし、なんかちっちゃい子供みたいだなぁ。
「名前は分かったんだけど、それ以外が全然分からないんだけど?」
「あっ、そういえば手紙を預かっていました」
そう言って、さっきの小物入れの中から手紙を差し出してきた。
またぐしゃぐしゃになっていたのには目をつむろうと思う。
手紙に書いてあった内容はこうだ。
『継人へ
元気にしてますか? 私はあなたの父親です。突然ですが、未だに童貞を拗らせているみたいですね? それに女の子と付き合ったことが無いとかも聞いています。ぷぷっ、ちょーうけるー。そんな息子のことが心配な私は、AIロボットを送ることに決めました。AIロボットと童貞息子の恋愛はくそ笑えるだろーなぁ……。恋愛の練習代として使ってください。使うといっても性欲処………』
ここら辺で読むのをやめた。不適切な一文があったからだ。
あと、所々、僕をバカにしてるところが一番腹立つ。
やぶいて、まるめて、ゴミ箱に放り投げると一階に向かう。
階段をおりて台所に行くと、母さんが料理を作っていた。
「母さん! 父さんが生きているんだけど!」
「はい、生きてますよ? それがどうかしたんですか?」
「いやだって、母さん僕に父さんは死んだって言っていたよね?」
「そんなこといいましたっけ?」
コテンと首をかしげる母さん。
近所でも美人だと有名だから、凄く絵になるなぁって今はそんなことどうでもいい。
「言ってたよ。だから僕は父さんは亡くなったものだと思って日々を過ごしてきたのに……」
「ごめんなさい。寂しい思いをさせてましたか?」
「いや、びっくりしただけで全然寂しくはなかったよ? 母さんがいたし」
一瞬落ち込んだ素振りをみせたが、すぐにぱぁっと明るくなり、僕に抱き付いてきた。
包丁を持ったままで……。
「母さんは凄く嬉しいです。それに母さんは本当に素敵な息子をもちました。産まれてきてありがとうございます、つぐ君」
「僕こそ産んでくれてありがとう母さん。でも、包丁どっかに置いてくれないとその素敵な息子が死ぬからね?」
「あっ、忘れてました。ごめんなさい、つぐ君」
母さんは包丁を持っていることに気付いたみたいで、一回まな板の上に置いてからまた僕に抱き付いてきた。
もう一度言うが、母さんは美人で有名だ。
いくら母親とはいえ、抱き付かれると恥ずかしい。
まぁ……思春期なもので……。とはいっても止めてとは言えない。
多分、そんなこと言ったら母さんはショックで寝込んでしまう。割と本気で……。
だから僕はこのまま数分間、抱き締められていた。
母さんの抱き締めが終わり、ソファーにでも座ろうかとリビングに行くと、そこには自称AIロボットの愛彩がソファーに寝転がりながらテレビを見ている光景があった。
僕は無言でテレビのリモコンをとり、テレビ電源をオフにした。
「なにするんですかぁ! つぐ君!」
「他人の家のテレビを勝手に付けるんじゃあり|ません。あと、お前はつぐ君って呼ぶな」
「手紙に書いてあった通りに、今日からここが私の家なんで良いじゃないですか! あっ、継人さんって呼んだほうが良いですか? なんか愛人っぽいですし」
「確かに書いてはあったが、僕は認めてない。それで良いけど、せめて愛人じゃなくて恋人とか奥さんにしろよ……」
──って、うん? まさか……
「AIだからAI人ってことか……?」
「てへぺろ」
うっぜぇ……。ちょーうっぜぇ……。照れる要素一つもないぞ? 全然上手くないし……。
「はいはい。じゃあ、継人さんで良いから、早く家から出ていって下さい」
「嫌に決まってるじゃないですか? アホなんですか?」
アホにアホって言われるのこんなにショックだったんだなぁ……。
「それに美和子さんにも許可貰ってますし。今更、抗議したところで状況は変わりませんよ? どぅゆーあんだすたん?」
人生で初めて女の子を殴りたいと思った瞬間だった。