普通
僕は“普通”になれなかった。
生まれつき体が弱かった僕は、ベッドの上だけが居場所だった。
手足は動くが立てるほどの強さは無く、寝たきりの毎日だった。
起きて、ご飯を食べさせられ、テレビを見て、寝る。そんな日々の繰り返しだった。
しかしそんなある日、すごいニュースが飛び込んだんだ。
「新開発パワードスーツ」
「これを着ければ普通の暮らしが出来ます!」
とても嬉しかった。
流石にパワードスーツは高かったが、これで僕も“普通”になれるんだと思えば苦にならなかった。
早速手に入れて着けてみた。
...あの広告に嘘は無かった!
体が軽い。歩ける。走れる。ジャンプもできる!
これで僕も普通の生活を送れるんだ。
僕は“普通”に慣れなかった。
普通の暮らしは出来るんだ。
でも僕の周囲が普通じゃなかった。
機械に包まれた僕の体は、彼らにとっては珍しいらしい。
好奇の視線から逃れられなかった。
やっと手に入れたと思った普通も、周囲の“普通”に押しつぶされてしまう。
僕は“普通”になりたかった。