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古典派文芸作品集 (純文学とか古典的な大衆文学とか)

逃げ場のない恋心

作者: 仁羽 孝彦

掌編小説です。

 俺には双子の幼馴染がいる。


 やんちゃな姉のサキと気の小さい妹のサナだ。


 俺とは同い年で、一緒の保育園に通い、小中高も同じ。いつでも三人一緒に居るのが当たり前で、この関係は崩したくないと思っていた。でも自分たちの感情に嘘をつくことはできなかった。


 学年が上がるにつれて俺たち三人は歪な三角関係を築いてしまった。サキは俺のことが好きで、俺はサナのことが好きだった。サナには好きな人はおらず、俺たち三人の関係がこのまま続くことを一番強く願っていた。


 そして高校二年の夏休み前のある日、下校中の俺にサキが突然告白した。


「リョウくん。私、あなたのことが好きなの」


 最初は告白だと理解できず、馬鹿みたいにぽかんと口を開けた。そして告白だと理解したとき、表情が強張( こわば )った。


 女の子に好きだと言われること。悪い気はしない。しかも相手は今までお互いを嫌いになったことなんてないサキなのだ。俺たち二人が付き合えばきっといい恋人関係を築けるだろう。


 けれども、俺はサキの告白を受けるのは不誠実だと思った。まるで彼女をサナの代わりのように扱ってしまうような気がしたから。


「ごめん。俺はサナのことが好きなんだ」


 サキは最初満面の笑みを浮かべて「知ってる」と応えた。けれども徐々に表情を崩し、涙を流して「ごめん」と言って先を走ってしまった。


 俺はサキを振った。振って泣かせた。


 姉を泣かせた俺のことをサナは好きになってくれるのだろうか?


 翌日、いつものように三人で登校した。昨日のことはまるでなかったかのようにサキの顔は明るかった。まるでつきものが取れたかのようで。


 玄関先に辿り着き、別のクラスのサキと別れて、サナと一緒に教室へと向かう。


「私ね。お姉ちゃんのことが世界で一番大好きなんだ」


 突然の呟きに俺はサナの顔を見た。


 サナはそんな俺に目もくれず、続きの言葉も( つむ )がなかった。


 終業式まであと三日。長い夏休みはまだ始まらない。

とある作者様の作品からインスピレーションをいただきました。


詳細は活動報告にて記載されています。気になる方はそちらから飛んでご覧になってください。


※追記♪ (2020, 5/16)


 本作品は、【シサマ】様の『失恋した時に読むラブストーリー』からインスピレーションを得て作りました!


 他者様の名前とか作品名って勝手に載せていいのかなぁってちょっと悩んだんですが、別に誹謗中傷ではないし、リスペクトしてますので、載せることにいたしました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] サキは「知ってる」って……(´;ω;`) 「ごめん」って……(´;ω;`) >終業式まであと三日。長い夏休みはまだ始まらない。 ああ、この後どうなるんだろう。 [一言] 活動報告も見て…
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