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さればこそ無敵のルーメン  作者: 宗園やや
第六話
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5

泥棒を追い掛けて行ったプリシゥアは、門の一歩外まで行ったところで引き返して来た。


「月が明るいっスけど、夜中に深追いするのも危ないんで追い掛けなかったっス。申し訳ないっス」


「構いません。それより、盗まれた物が無いかチェックしませんと」


マッチを擦ってランプを点けたテルラは、明るくなった室内を見渡した。

机の引き出しは閉まったまま。

押し入れの折れ戸も閉まったまま。

両方共開け閉めの時に多少なりとも音がするので、泥棒が明けていたら開けっ放しにしているだろう。

その他には、ネグリジェ姿のレイがぼんやりとテルラを見詰めていて、窓の外で寝間着姿のプリシゥアが庭の方を警戒している。


「遅れて申し訳ございません。何の騒ぎでしょうか」


身軽な恰好ながらも帯剣している派遣勇者の二人が屋敷に来て、プリシゥアの横から部屋を覗いた。

女性のベリリムがランプを持っている。


「泥棒ですわ」


「物は取られていない様なので、入られてすぐに撃退出来た様です。レイのお陰ですね」


「うふふ。どういたしまして」


事情を聞いた途端に青褪める派遣勇者の二人。


「なんて事だ。この俺が居ながら、不審者の侵入を許してしまうとは」


ヤミトは、無意味に格好付けて頭を抱えた。


「そんな事より、なんでレイがテルラの部屋に侵入した泥棒に気付いたんスかねぇ? 結構早かったみたいっスよねぇ?」


プリシゥアのジト目から顔を逸らしたレイは、無言で微笑みながらランプの光から遠ざかった。

ネグリジェ姿を男性に見られるのは淑女として恥ずかしいから。

愛するテルラになら見られても構わないが、ヤミトの視線は素で嫌だ。


「泥棒は追い返した事ですし、もう寝ましょうか」


「そうですね。まだ夜中ですし」


「眠いっス」


テルラとプリシゥアはレイの言葉に頷いたが、派遣勇者の二人は視線で会話してから揃って窓枠に手を置いた。


「泥棒仲間が居るかも知れないので、今夜は我々が警備します。お庭をお借りしても宜しいでしょうか」


「大丈夫っスよ、ヤミトさん。普通、同じ日に連続で同じ家に入る泥棒は居ないっスから。居たら素人っス」


プリシゥアの言葉に頷くレイ。


「わたくしの護身術を前にしても全く怯まなかったので、戦闘力だけを見れば結構なやり手でしたわ。引き際も弁えていましたし、少なくともマヌケではありませんでしたわ」


「ですが、我々は王女の護衛も仕事です。事が起こってしまった以上、恰好だけでもここを護らなければならないんです」


「恰好だけとか言わないでください」


ベリリムにどつかれるヤミト。

その後、澄まし顔で続けるベリリム。


「とにかく、街の平和を守るのも勇者の仕事。元々私達は夜を護る騎士でしたので、どうかお任せください」


「夜中に何を騒いでいる。何か有ったのか?」


長銃を背負い、拳銃を構えたグレイが二階から降りて来た。

肌触りが良さそうなパジャマを着ている。


「泥棒が入ったんですよ。――これ以上騒ぐとカレンも起きて来ますね。ヤミトさん。僕達はこのまま眠りますが、本当に護衛をお願いしても良いんですか?」


「お任せあれ、テルラくん」


「申し訳ありませんが、今夜だけお願いします。みなさん、戸締りをしっかりして眠りましょう」


「プロの騎士が護衛するっスなら、今夜は熟睡しても良いっスね。明日朝一で戸締りの再チェックをするっス。全部屋全窓チェックするっス。テルラの部屋だけじゃなく、レイやグレイの部屋も入るっスよ。カレンの部屋も、本人の許可を得てからするっス」


「分かりましたわ。では、おやすみなさい」


「おやすみなさい」

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