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砂漠の中心だと思われる廃墟に辿り着いた。
見た感じで例えるなら、王城とその周辺の貴族街くらいの規模が有る。
しかし辺り一面砂に呑まれていて、わずかな土台しか残っていなかった。
この辺りに有ると知らなかったら、廃墟の中に入っても気付かずに通り過ぎていただろう。
「何とか全員無事で到着しましたね」
レイと共に先頭を歩いていたルーメンが遺跡の土台を踏んだ。
石製だが、経年劣化と昼夜の温暖差と乾燥でもろくなっていた。
女の力でも簡単に壊せる。
「ドラゴンどころか、人間や動物が近寄った様子もありませんね。砂には風に吹かれた模様しかありません」
テルラが地面を見ていると、ルーメンは脇にコテージを出した。
「ここにコテージを出しておきますので、皆さんは自由にしてください。ただし、調査の邪魔になるので廃墟の中に入って来ないでください」
そう言い残し、ルーメンは炎天下の中歩いて行った。
水使いのフレッシが付いて行こうとしたが、土地の記憶を読む邪魔になると断られた。
砂と日差ししかない廃墟で自由にしろと言われてもやる事がないので、コテージの中で順番に水風呂に入って涼んだ。
「ただいま。忘れない内に得た情報を紙に纏めます」
ルーメンは数時間で帰って来て、まっすぐ速足で寝室に籠った。
うるさくしたら邪魔になるだろうと気を使い、なるべく音を立てない様に夕飯の準備を始めた。
準備が終わってもルーメンは出て来ず、夕飯の時間を過ぎても、日が暮れても動きは無い。
今日も夜は寒い。
天井のランプが外の暗さに反応して自動で光量を増やすと、やっと寝室のドアが開いた。
「ええと、テルラくんにカレンさんに調査結果を聞いて貰いたいんですけど、構いませんか? 他の皆さんも聞くだけなら同席しても構いません」
数枚の紙の束を持ったルーメンがリビングの椅子に座った。
「では、夕飯を食べながら聞きましょう。僕達も食べていないので。プリシゥア、夕飯を温め直してください。僕達は食器を準備します」
テルラ達はテキパキと食卓の準備を進めた。