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「私は砂漠へ行く準備に入ります。皆様は、この村に留まるも良し、この村の位置に関する記憶を消して南の国を調査するも良し。お任せします」
上座に戻ったルーメンの頭の中は、すでに旅に向けての計画作りに入っていた。
「僕達もご一緒しても宜しいですか?」
自分はどう動くべきかと考え始めていたパーティメンバーがテルラの言葉に驚く。
「砂漠に行くおつもりですか? 危険だからと遠回りしたではありませんか。それでも危険な目に遇いましたのに」
「危険は承知ですよ、レイ。ですので、今回は希望者のみにしましょう。――いかがでしょうか、ルーメン様」
「私一人で行くつもりだったんですけど、うーん……。何とも言えません」
「僕達の目的は魔物の殲滅です。その鍵を握るリビラーナの王女様が砂漠で亡くなったり行方不明になったりしたら困ります。僕一人でも一緒に行かないと」
「それもそうですね。――ああ、そうか。私の方も、テルラくんが亡くなったり行方不明になったりするのは困るのか。なら、君を守りながらの二人旅でも構いませんよ」
「二人旅なんて許しませんわよ、ねぇプリシゥア!」
いきり立つレイに溜息を吐くプリシゥア。
「私はテルラの護衛っスから、最低でも三人旅っスね。で、レイも絶対付いて来るから四人旅になるっス」
「私は……どうしようかな。ねぇ、グレイ?」
「今すぐ出る訳じゃないんだろ? なら考える時間が欲しいな」
カレンに話を振られたグレイも即答はしない。
ルーメンは椅子のひじ掛けを叩いて撫でた。
「村の英雄や副村長との調整が必要ですので、明日は終日準備期間としましょう。考えはその間に纏めてください。出発は明後日早朝の予定ですが、調整が難航して延期する場合は明日中にお知らせします。それで構いませんね?」
全員が頷いたので、この場は解散となった。
第二十八話・完