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さればこそ無敵のルーメン  作者: 宗園やや
第二十七話
236/277

5

「死の国の女神ネモはハイタッチ王子の力で呼ばれたのでなく、ハイタッチ王子が行使した召喚術を利用し、自らの意志で分身を顕現させた、か。うーん」


テルラの話を聞き終わった村長は、特に新事実が無かった事にガッカリした。


「その後、ネモとは王都で別れました。身体の元になっている魔法結晶が尽きれば消えるらしいですので、もうこの世界には居ないでしょう」


「やっぱり魔法結晶がキモかぁ。長いお話をしてくれてありがとう。疲れているでしょうけど、次の要望。その紅い左目で私を見て欲しいの。世界を救うために女神から貰ったんでしょう?」


「お安い御用です。では失礼して」


強そうな人や気になる人を見掛けた時に気付かれない様にコッソリと作る指の輪を、本人の前で堂々とガーネットの左目に当てるテルラ。


「――久しぶりの注釈付きです」


その言葉に緊張するレイとグレイ。

しかし村長には空気が張り詰めた意味が分からない。


「注釈付きとは?」


「一般的な潜在能力ではない、その人個人しか持っていない特殊な能力な事です。とても強力な能力ですが、ただしと続いて制約が付きます。この『ただし』を僕は注釈付きと呼んでいます」


「私には特殊な能力が与えられていると?」


「はい。貴女の潜在能力は『無敵の転生者。異世界の神からの祝福により世界最強の能力を得ている。ただし、ガーネットの左目を持つ者に必ず見付かる』です」


それを聞いたレイが首を傾げる。


「ガーネットの左目を持つ者って、テルラの事ですわよね。テルラに必ず見付かる能力、ですの?」


考え込む素振りを見せた村長は、確認する様に二度三度と頷いた。


「無敵の転生者って能力が見えている、って捉えて間違いないのかな?」


「はい」


「それ以外は見えていない?」


「見え方は他の人と同じです。おかしな部分は有りません」


「魔物が広がったのは私のせいでもあるから、この世界の神に呪いでも受けたかもと不安だったけど……杞憂だったみたいね」


指の輪を解いたテルラは、大袈裟に姿勢を正してから訊く。


「次は僕の質問に答えてくださいますか? ――貴女は何者ですか?」


「私はルーメン・カサーラ・リビラーナ。君達が探りに来たリビラーナ王国リビラーナ王の一人娘です」


オレンジ髪の美人は誇り高く胸を張り、淀み無く名乗った。

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