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さればこそ無敵のルーメン  作者: 宗園やや
第二十三話
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6

「みなさん落ち着いて! 比較的弱い地震です! 待てば静まりますので、その場から動かないでください!」


ミマルンが叫ぶ。

慌て戸惑っていた門番や通行人達は、訳が分からない様子で大人しく従っている。


「この街の人達の反応は初めての体験に見えますが、みなさんは地震に慣れていらっしゃいますね」


パーティメンバーの顔色が変わっていないので、ミマルンは安心した。

人間の力では抗えない自然災害に襲われているのに、仲間までも右往左往していたら面倒この上ない。


「わたくし達の旅は長く広いですからね。ミマルンも同じでしょう? ――それにしても、揺れが長くありません事?」


レイが違和感に眉をしかめた数秒後、金山の方向から山鳴りがした。

揺れが少し強くなり、ボロい造りの下町の家がひとつふたつと崩れて行く。

通用口の向こうに見えている分だけでもそれなので、街全体では沢山の家が潰れているだろう。


「これは、もしかしてだけど、ヤバくない? 大災害になるんじゃない?」


カレンが不安に怯える。

プリシゥアが山の方を指差した。


「あ、金山の方を見るっス! 噴火、じゃないっスね。溶岩や水蒸気爆発って色じゃないっス」


仲間達は一斉にそちらを向く。

街の裏に有る山だけでなく、付近の山脈全体から薄茶色の煙が上がっている。


「砂煙って感じの色っスね。もしかして、土砂崩れの前兆っスか? 山が崩れるっスか?」


大地が揺れているせいでまともな思考が出来ずにいると、爆発的な砂煙を噴き出して金山が割れた。

その割れ目から巨大なミミズが何匹も現れる。

遠くなのにはっきりと視認出来るくらい大きい。

ちょっとした川くらいのサイズだろう。


「うわ、キモッ! って言うか、テルラは山の方に連れて行かれたんだよね? あのドラゴン、これをなんとかして貰いたかったんじゃない?」


「事が起こってしまったのなら、あの巨大ミミズを何とかしませんと! 街の方に来たら大災害の大惨事です!」


カレンとミマルンが頭を抱えながら右往左往し始めた。

この場合はレイが指揮を取らないといけないのだが、異常事態の連続で何を優先したら良いか判断出来ず、思考がループしてしまった末に思考停止した。

守るべき人が居らず、判断する立場でもないプリシゥアが他人事の様な顔をしていると、山から光る物が飛んで来た。


「テルラ! テルラですわ!」


いきなり復活したレイが空に向かって手を振った。

光る物はゴールドドラゴンで、レイの手振りに従う様にその前に降り立つ。


「あのミミズの中に不死の魔物が居ます! 退治しましょう!」


ゴールドドラゴンの背に乗っているテルラが言うと、レイは即決で頷いた。


「分かりましたわ! とは言えあのサイズの魔物はわたくし達だけでは倒せません! 公爵家に総力戦の要請をしましょう!」


リーダーが帰還した途端、メンバー達は落ち着きを取り戻して隊列を整えた。

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