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メロンソーダの泡の味  作者: 井田音 いつも
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そういえば

次の日、結局連絡が出来ずにいつもの本屋へ。


入口の自動ドアが開いたときに、ふと

「あっ!」

と大きな声を上げてしまった。


すぐに口を手で押さえたが、周りの目が僕に注がれていた。


「すみません…」

と小さく洩らし、ペコペコした。


そういえば、あの言葉は彼女だったのだろうか。

あの子が「お前」なんて使うだろうか。


いや、使わない。声質も違った気がする。

するといったい誰が…


名探偵ばりに顎に手を置き推理をしている

というか、考え事をしていると


「大丈夫か?」

ふと声がした。


ショートカットの女性が僕の前に立っていた。

「あ、いえ。大丈夫です」


「お前、寂しがり屋だろ」


「???!」

謎のお告げの正体!!!


「違います…」

僕は否定した。


「てか、ここにいる人も私も、きっと寂しがり屋だと思うんだけど」

「?」

「そう思わない?」

「いや、そうは思わないとお…」

「あぁーごめん。いきなり言われても気持ち悪いよな」

僕の言葉を遮り、少し泣きそうな顔をしていた女性を無視して去ることは出来なかった。


普通の人は、無視して去っていくだろう。

僕はどこまでもお人よしみたい。


「大丈夫です」

なぜか、無意識に言葉が出てきた。きっとこの人は悪気はないと思ったから。


「お前、いいやつだな」

「いい人ってよく言われるよ」

昨日の女の子にも言われたし、今日のこの女の子にも言われる自分って…

本当にいい人なのか?自分のことはよくわからないけど。


「あの、もしよかったら、その、お茶をおごらせてくれないか」

「ん?なんで?」

「いや、なんか悪いことしたし。その、話をしたいっていうか…その、申し訳ないなって…」

恥ずかしそうに顔を傾き、手が緊張のせいか動揺かで震えながら動いている。

その一連の動作に笑ってしまう。


直感でこの子も素直だなと思った。


今までの僕なら絶対に言わない。人付き合いは面倒だし、一人に慣れすぎてしまってたから。

でも、何かがきっと少しずつ変わっていくと感じた。


「いいよ。じゃあ、御馳走させてもらおうかな」


そして二人で近くの喫茶店へ行った。

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