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第7話 加速するチート

「……で、お前は何なの?」


俺は目の前の、黄色に発行する光の玉に向かって言った。


『先程も言いました通り、ご主人様の技能により呼ばれた者です』


昨日大量に増えた技能の把握をしていると、よくわからないものがあったのだ。

その名も『世界大全(アカシア)』、名前からして世界の情報が集められた本だと思い、使ってみたのだ。

すると、目の前に分厚い本が出現。

「ここから欲しい情報調べるの骨だなぁ」と呟くと本が消え、代わりに目の前の黄色い玉が出現したのだ。『ご主人様』という呼称込みで。声は中性的で、男か女かわからない――って、これに性別があることがまず疑わしいな。


「確認だけど、『世界大全(アカシア)』ってさ、世界の情報が調べられるんだよね?」


『はい、その通りでございます』


「で、お前は?俺呼んだ覚えないんだけど」


『当機はご主人様の技能に付随している、いわば精霊の一種です。ご主人様の元の世界の検索エンジンと思っていただければ』


「検索エンジン……ね。その言葉が出てくる時点で『異世界人』から来てるってわかるな――一部ってどれくらいなの?」


これで中途半端に半分とかだったらキレていいと思う。


『この世界、元の世界のことならある程度調べられます』


……はい?


「ちょっと待て、『元の世界のことならある程度調べられます』って、なんだそりゃ。え、技術とか法則とか?」


『肯定ですご主人様』


マジですか。


「これまたすごいチートか……わかった。これからは何かあったら呼ばせてもらうよ。名前は?」


『当機に名前はありません。不便であれば、ご主人様が付けてください』


「名付けろってか?そうだな……じゃあエンジンを少し捩って『エノン』でどうだ?」


『確認しました。これから当機は『エノン』と名乗ります。よろしくお願いしますね、ご主人様』


黄色の光が青に変わった。

てか今口調が変わらなかったか?気のせいか?


「それじゃあエノン、早速だが職業練度の上がり方について教えてくれないか?」


『かしこまりました。まず基本として、職業にはそれぞれ固有の技能が存在します。各固有の技能を使用しますと、獲得値というものが手に入り、これが職業練度の上昇に関わります。獲得値は前述の通り、固有の技能を使用すれば手に入りますが、戦闘に必要な職業、例えば『戦士』、『騎士』、『諜報隊』、『暗殺者』、そしてご主人様の『支援者』は戦闘訓練もしくは戦闘によっても獲得値が入ります。効率は圧倒的に悪いですが。ただ特殊な上がり方をする職業もあります。例えばご主人様の『異世界人』は他の職業練度が上がれば職業練度が上がる仕組みになっております。他には、『魔王』は配下の数や強さによって練度が上昇し、『死神』は自分の周囲で起きた死の数によって練度が上昇します』


やっぱり口調が砕けたな、丁寧語使ってるけど。


「複雑だな……職業って増やせないのかな」


『不可能ではありませんが難しいですね。職業は最大で10まで所有できますが、『忌み子』がありますし……』


ふむ……


『戦力増強が目的でしたら、技能を増やすのがよろしいかと』


「うーん……それはまだいいかな」


『よろしいので?』


「何が?」


これ質問とかもしてくるんだ。


『今まで襲撃されたことがありませんから御存知ないかもしれませんが、このリオスルイドは常に周囲から狙われています。本を見てください』


するとエノンはあの分厚い本になり、本は一人でに開いた。

開かれたページには地図が描かれていた。


『御覧の通り、この世界には七つの大陸と二か所の群島があります。私たちがいるのは南の小さな大陸オルガノ大陸の北端リオスルイド半島です』


南の、地球ではオーストラリア大陸に位置する所にある、某RPGのスライムのような形をする大陸の出っ張ってる部分に斜線が引かれる。


『御覧の通り、四つの島――国に囲まれています。ましてやこの大陸の大半も人間領。いつ襲撃されるかわかりません』


「つまり攻撃スキルを一つ作った方がいいと?」


『その方が多少は安心できるかと思います。技能『練度加速プラクティカルアクセル』の加速倍率は3乗4乗で上がりますし、二、三個で問題ないと思われます』


「そうか……ん?エノンは魔物の味方をしていいのか?」


遅れながら、俺はエノンが人間を敵と認識していることに気が付いた。


『エノンの使命はご主人様のサポートです。エノンはご主人様と共に在り、消滅するときも一緒です。故にご主人様が進む道がエノンの進む道であります』


――お、おう、何か重いな。


「なら、攻撃スキルを作るとして――やっぱり魔法か?」


『はい。一先ずは魔法を一つだけ、一撃の威力が高いものを持つとよいかと思います。その存在だけで相手には脅威となりますし、いくつも種類を持つよりも戦況を打開できる可能性が高いです。それとご主人様には自動魔力回復技能がございませんので、それを作ることもお勧めいたします』


「そうか――それは二日後だし、今は攻撃スキルを作ろう」


俺はまず『練度加速』を二つ作り、攻撃スキル作りを始めた。

イメージは、俺が前世で手掛けたRPGの大魔法だ。


技能名::『奈落』

 内容::〈アクティブ〉

       地面に大きな穴を開け、敵を落とし、その穴を塞ぐ。

     〈パッシブ〉

       なし

 SP2500


――うん、わかってた。イメージ通りの魔法はきっとSPが大きいって。


「――明後日、考えるよ」


『……』


何やらエノンから呆れたような空気を感じるが気のせいだ、うん。



後日、攻撃魔法を、エノンの指摘を聞きながら作ってみた。どうにも、魔法と科学を組み合わせると効率的になるようだ。この発想はなかった。


「それで、どうすりゃ職業って進化するの?」


エノンいわく、職業には二次、三次、四次職があるようで、ある状態になれば勝手に進化するという。ただその状態というのはエノンも知らなかった。


『まあこうゆうのは気長に待っていれば、いつの間にか終わっているものですし、今は不測の事態に備えましょう』


エノンもそう言っていたし、俺は気楽に進化するまで待つことにした。



この時の俺は、自分の強化だけしか頭になかった。そのせいで周りが全く見えていなかった。

妙にシステムチックな異世界、だからかゲームをしているような感覚でいたのだ。

攻撃魔法を作ったことで俺は慢心していた。

昼は適当に訓練をし、夜は切り株に行かずただ眠った。

今でも悔やまれるのはこの時だ。

でも、もし、この時周りを見ていたら。周りを気にかけていれたら。もしかしたら――

この時、『不測の事態』に備えていれば――

新出キャラ説明


エノン

実は最高位の精霊の一柱。アレク専属の情報検索エンジン。アレクとその周囲の人物に尽くすことが己の使命と考えており、そのため部外者にはかなり辛口。非常時には若干弱いが、それでも状況を把握する冷静さは失わない。実は主の元の世界(チキュウ)の書を読むのが趣味で、種類は問わない。


新出技能説明


奈落

土属性魔法。地面を振動させて土を砂にし、対象を飲み込む。消費魔力は効果範囲に比例。

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