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それでも世界は回らない  作者: 鳥頭
1/1

α&β

00


いつも通りの道を私は歩いている。

いつもと全く変わり映えのない道、店、病院、学校。

何回歩いても何も変わらない。

だから何も生まれない

そういえば、いつからここにいるのだろうか。

1ヶ月前だったか、何年か前だったか、それとも昨日だったかもしれない。

しかし、そんなことは過去の記憶であって、ここでは何の意味も持たない。

そういえば、私がここに来て一つ間違っていると思ったことがある。

それは、かつての偉大なる科学者、ガリレオ・ガリレイが言った言葉だ。彼はこう言ったらしい。

「それでも地球は動く」と。







01 この世界は


家を出て、ゴミを捨ててからいつも通りの道を通って、学校の前に行くと、やはり多くの学生が登校中である。

みんなで集まり勉強をしている人、おしゃべりに夢中な人、実に様々だが、やはり何をしていても中心で行動している人は同じである。

だから何も変わらず、何も生まれない。

だから、この世界は変化しないのだ。


いつも通り、校門を抜けある一室の前に立ち、そしてドアをゆっくりと開ける。ここまではいつもと全く同じであるのだが、この部屋に入ると毎日が確かに動いているのだ。

ドアを開けると、教卓に座っている髪が長い女性がこちらを向いて言った。

「今日はどんな世界ですか?」


「植物の無い世界だね。」

そう言うと彼女は如何にも面白そうに微笑んだ。

何が面白いのか私はわからない。

彼女は変わっている。ある日気づくと近くのプランターで静かに死んでいる植物のように、ひっそりと。

実際、彼女は前より髪の長さが違う。性格が違う。

彼女は少し前まで、短期でショートカットの女性だった。

この世界の一般人は、誰かが変われば全ては解決すると思って、何もしない。

実につまらない。変化を求めないものに何が与えられるのだろうか。

「教授は植物の無い世界で何がしたいですか?」 

いつの間にか用意されたコーヒーの1つを片手に、彼女は言った。

「毎日、コーヒーカップを眺めて過ごしたいね。コーヒーは飲むより想像したほうがおいしい。」

やはり何か可笑しいのだろう。彼女は笑っている。


「そういえば、教授が居ない間に電話がかかってきましたよ。何だか面白い方でした。」

あとになって思う。

「その方から伝言預かってますよ。」

この時ほど彼女の面白いの定義について疑ったことはなかった。



『もう一度地球を回しましょう』



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