第四話 愛美の話
私が話すのは、少女__れみの話。
れみは、父を持っていなかったの、少女がまだ母のお腹の中にいた頃、離婚したのよ。
そして、母親は彼女が11歳のときに病死した……、ずっと一緒だと約束して。
それから一年間、身寄りの無いまま、一人で生活していた。まだ仕事も無いのに、どうやって生活していたんでしょう?
正解はね、体を売っていたのよ。『今何時ですか?』って、仕事帰りのサラリーマンや、そこらをうろついている高校生、一人暮らしの大学生。
衣食住は、服は体を売って得たお金で十分だったし、食と住は、運が良ければ相手が1日2日家にいさせてくれた。それ以外は、ファミレスなどに入り込んで、店員の隙を突いて客が残していったものを食べていたの。
運よく、外見はとても良かったわ。雪のような白い肌に、漆黒の、絹のような髪。触れれば折れてしまいそうな華奢な肢体に、肌の色と対照的な黒いワンピース。そこだけモノクロになってしまった様な、そんな少女だと聞いたわ。
お金だけじゃなく、誰にも注いでもらえなくなった愛を、偽りのものであれ注いでもらえるのだから、きっと彼女にとって命そのものだったのでしょうね。
でも、儲けたお金の内、食料品や、生活必需品に使ったのは、半分程でね、もう半分をある事に注ぎ込んでいたの。
それは__お花。白い薔薇よ。
あ、それと、飼っている飼い猫と鳥の餌も大半を占めていたかしら。
自分の命を削ってまで欲しがった薔薇の花。それは、そう。亡き母の為のもの。愛してやまない亡き母のためにその白い薔薇を花瓶に入れて、病室に飾るの。
ところで、白い薔薇の花言葉、何か知っているかしら?
知らない? そう、なら尚更面白いわね。ん? 教えないわよ、自分で調べて頂戴。
これで私の話は終わりね。ご静聴、有難うございました。