表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

第三話 綾香の話 

 じゃあ、自分からも、この街の不気味な話をひとつ。

 ある、幸せな男女の話……と言うよりは彼女の話か。


 彼女の名前は華と言って、彼氏を、ほかのものと比べ物にならないぐらい、溺愛していた。彼のペットに嫉妬するぐらいにね。


 華の口癖は、『貴方が死んだら、私も後を追う。貴方が殺されたら、犯人をこの手で殺してやるわ』だった。ヤンデレ、ってやつだな。

 だから、彼が死んだとき……いや、殺されたとき、が正しいかな。それを実行したんだ。


 彼が死んだとき、すぐそばに猫が座っていた。華は直感的に、いや、ある意味、すがりつくようにそいつの飼い主が犯人だと、そう確信したんだ。

 そして、その猫についていたタグから、飼い主を断定し……形が分からないぐらいにぐちゃぐちゃに、惨殺した。

 ついでに猫も、泥のようにぐちゃぐちゃに殺した。

 なぜか、猫の飼い主は嬉しそうな笑みを浮かべながら死んでいったらしい。右手に白い薔薇を握って。


 彼女は満足して、げらげらと品の悪い笑いを何分も発していたよ。

 病院の霊安室では、正反対に、ボロボロボロボロ、脱水症状になるんじゃないかと言うぐらい涙を零していたけどね。


 __そういえば、柚子の話で思い出した。華は病院の帰りに、ガラスの一輪挿しに入った赤黒い薔薇が無人の病室に飾ってあるのが見えた、って聞いたな。

 もしかしたら、美代子のあの血塗れの薔薇を見たのかもしれないね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ