初めて依頼受注
今うちは川の前からギルドに向かってエマと手をつなぎながら歩いている。
またどこか連れて行かれそうになるのを心配しているようだ。
心配しなくても大丈夫なのに
どうやって解放されたのだと訪ねてくるが,よく覚えていない
いつの間にかあそこに立っていた,それだけだ
王級のドラゴンと出会ってからうちは何かがおかしい
話しているとあっという間にギルドに着いた
ギルドの前に少し立ち止まる,ギルド内は早くだというのに賑わっているようだ
さて今日は何をしようかな
「何呆けてるのよ,早くはいるわよ」
「うん,今日は依頼を受ける」
「あらあらいい心がけね,でもまだEランクだから討伐依頼は受けれないからね」
「大丈夫,草,むしる」
「頑張ってね」
エマはうちと話しながらクスクスと頬を緩ませている
そんなにうちと話して楽しいのだろうか
ギルドの扉を開けると中の喧騒やむ
物珍しそうに見る目の者,怯えた目の者,ちらっと目配せして談笑に戻る物
いろいろいるようだ,エマは随分と人気者らしい
「エマ,よかったね」
「いや,何がよ,まぁいいわ制服に着替えてくるから先に依頼でも選んでて,あそこの掲示板にEランク用の依頼が張り出されているから,今の自分に合ったものを選ぶのよ,って字読めないんだっけ?」
「わかった,字はカードが良くわからなかっただけ大丈夫だと思う」
「そうね,じゃあまたね」
エマは職員にあいさつをしながら奥に入っていった
さて選ぶか・・・・
「えーっと,薬草採取?に孤児院の子供の遊び相手?家の掃除?」
何なのだこの依頼たちはと顔をしかめていると後ろから声を掛けられる
「どうしたお嬢ちゃん迷子か?」
「迷子じゃない依頼受けに来た」
「依頼か・・・Eランクか,なるほどな依頼の中身をみて何だこれはってところか」
「そういうこと,おじさんなかなかの洞察力」
「まだ十代なんだが・・・」
おじさんを無視してうちは依頼を眺めるやはりここは薬草だろうと
掲示板に張ってある紙をむしる
おじさんがしつこく話しかけてくる。
「Eランクはギルドになれることを主とした簡単な物しかないからな,まあめげずにこなしていけばすぐにDランクになれるさ」
「そんなことはどうでもいい,うちは世界の色が知りたい」
「世界の色?小さいのにすごい事言っているな」
「小さくない,エマが言うには14歳ぐらい,もう大人」
「14!?ギルド登録ぎりぎりじゃないか!」
「うるさい」
うるさい,何だこのおじさん
口をあんぐり開けてこちらを見ているが何のつもりだ・・・・
「お前,大人の男が怖いとか思わないのか?」
「別に,気持ち悪いかどうかは思うけど,怖いとかよくわからない」
「ランクが上とかでもか?」
「しつこい,一緒」
「おい」
うるさいおじさんを無視してカウンターに向かう
「おいって」
「やめとけ死にたいのか!」ボソォッ
ちらっと振り返ると,アンズラだったかそんな奴の取り巻きみたいなやつがおじさんの肩を掴み止めている
いい仕事だ
「どうでもいいか,お姉さんはいこれ」
うちは背景の喧騒を完全に無視し,カウンターにいるお姉さんに話しかける
エマもそうだったが全体的に肉付きが良い人が多いようだ
抱き枕にしたい
「はぁい,こんにちは私はカレットよろしくね不思議少女マァクラちゃん」
「不思議少女マァクラ?」
「そうそう不思議少女マァクラ,プレッシャーを操り,自分より上級の野蛮な冒険者も一網打尽,可憐な見た目に言葉足らずで何を考えているかいまいちよくわからないルーキー,不思議ちゃん扱いしなくてどうするのよ!」
「・・・・じゃぁ,これ」
「ふむふむ薬草採取ね!ってもうちょっとかまってくれてもいいじゃない」
「面倒」
「えぇ,エマちゃんとは一緒に寝たりしたんでしょ,ちょっとくらいいいじゃない!」
「うるさい,エマ来たあっち行く」
ちょうどいいところにエマが戻ってきた
「なにしてるの?」
「この人うるさい」
「ああ,だいたい何時もよ」
「ひどい!」
さくさくとエマが依頼について説明してくれる,なんだエマ若い割にはなかなか優秀ではないか
本を目の前に広げられ葉っぱに指を刺す
「今回の依頼で採取してきて欲しい薬草は3種類,一つ目はカヤック,この草は縦に筋がいっぱい入ってるの,この葉は手を切りやすいから注意してね,二つ目はキクタンポこれは黄色の花が特徴直ぐわかると思う,これは根っこから抜いてきてね途中で切れてもいいから,三つ目はミズ紫色の茎が特徴ね,生でも食べれるの,わかった?」
「うん,カヤックとキクタンポ,ミズ覚えた,何個いる?」
「何個ずつでもいいよ,一つにつき50エンだからいっぱいとってきたほうがいいと思うよ,あとこれ鑑識メガネこれを掛けるとだいたいの物は判別することが出来るわ無くさないようにね初依頼受注の私からのプレゼントよ」
メガネをもらった,結構便利な代物らしい特徴を忘れていてもなんとかなりそうだ
早速かけてみる,
エマが着ているのはエプロンドレスというのかなるほどなるほど
「ありがと,エマ大事にする」
「お願いね!じゃぁだいたいの生えてる場所なんだけど星麗の森は知ってるのよね?」
「うんアダーラ達と一緒に居たことがある」
「じゃあ大丈夫ね,あそこの入口に生えてるから」
「わかった,行ってくる」
「気を付けてねー!」
エマの言葉に手を振り答える
早速行くとしますか。
と言っても準備するような物は何も持ち合わせていない
歩いても半刻ほどだし日帰りで行きますか・・・・
下町を歩く・・・
ココはアダーラの家だったか,チラっと覗いてみるがアダーラはいない様子
奥からデカイアダーラが出てきた,目が合う
ペコっと頭を下げその場から足早に去る
「知らない人はやっぱり苦手だ」
「嬢ちゃん嬢ちゃん!」
また知らない人だ,とりあえず振り向く
「ん?」
「あれま!別嬪さんだね!嬢ちゃんエマちゃんの友達でしょ!リンガリあげるよ,今旬でうまいんだよ!」
恰幅のよいおばちゃんに手をつかまれ掌に赤い実を置かれる
とりあえず齧る,シャリっと歯ごたえのある触感とともに口の中に広がるさわやかな酸味に心地よい後味の残る甘さ,んzyこりゃぁ!
シャリシャリシャリシャリシャリ
・・・・シャリシャリシャリシャリ
「だ,大丈夫かい?」
「あ,あありがと,おいしかったからつい」
「そうかいそうかい!そう言ってもらえるとうれしいよ!今から仕事だろいくつか持っていきな!」
「いいの?あんまりお金もってないよ?」
「いいよいいよ今回はサービス今度買っておくれな!」
「ありがと,おばちゃん好き!」
「うれしい事行ってくれるじゃない,ほら頑張っといで!」
「うん,またね」
いいおばちゃんだった,さあ今度こそ行くか
王都から出るときにはギルドカードを見せないといけないらしい
「嬢ちゃん見ない顔だな新人かい?」
「そう,新人,ちょっと前に冒険者に登録したばっかり今から薬草採取に行ってくる」
「そうかそうか,小さいのに頑張ってるな!深入りはするなよ命は大事にな」
「うんわかってる,じゃあまた」
うちは門をくぐり
王からもらった剣の柄をギュッと握りしめる
「ドラゴン大丈夫かな・・・ 」
結構不安である。