はじめてのおうと
ちょっと駆け足で話が進みます
ここからはマァクラ視点で話が進みます
体が生暖かい物でおおわれている
何だろう,体が何かに引っ張られている
何だろう,口を開けば生暖かい何かが入ってくる
何だろう,土の臭いがする何かに引き起こされる
「だ」
音が聞こえる反応しようと音の発生元に顔を向けて口を開けば,さっきの生温かい物が出てきた
「いじょう熱い!」
音の発生元にかかったようだ
綺麗な顔からいろんな言葉が発せられている
矢継ぎ早に続けられる言葉は良くわからないお姉ちゃんってなんだ,だが綺麗な声は心地よく感じられる
だが
「うるさい・・・」
一瞬口と目を大きく広げ凝視されるが
「おねぇちゃん・・・・」
見ればわかるほど輝いた目でこちらを見直し
また言葉を続けてくる
正直に鬱陶しい
「マァクラ・・・コォズムあとは良く知らない」
そう確かに私はマァクラ・コォズムだけど他に何も出てこない
私はいったい何なのだろう
私が思考している間もペタペタと私を触りながら喋りかけてくる
たまに私も返答をするが,何故か頭の中のようにことばが出てこない
頭が働かない,意識が飛びそう
「おやすみ」
この人たちからもらう挨拶は妙に暖かい気がする。
なんなのかな
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ピーヒョロロロー
なんだろう鳴き声が聞こえる
アダーラに聞くとピューリファイって言う中型の鳥みたい
アルマピッグが多くいるこの森が奴の臭いに支配されないのはこの鳥のおかげらしい,この鳥の羽には空気を綺麗にする謎の器官があるらしい
今うちは森の中を歩いている
オウトとかいう場所に一緒にいくみたい
森を出たら馬車に乗って10分ぐらいだって
ところどころ聞いたことがあるようで知らない言葉がある,どうやらうちは記憶が少ししか残ってないらしい
黙々と森をあるくうちにアダーラがいっぱい喋りかけてくる
「ねぇねぇマァクラは何歳,色は何が好き,魔法とかは使えるのかな,あと何歳?10歳くらいかな?」
なんだろう・・・う,ううーん・・・えーとそうあれだ
「うざい・・・・」
「ガーン!」
「記憶ない子に一度に聞きすぎだよ・・・・」
ムリフェインとか言う人が,大きな口を開けて何か言っているアダーラに首を傾げながら何かぼそぼそ言っている
「しかしよかったマァクラと出会ってから魔物遭遇していない,いくらこの森が低ランクの魔物が多いとはいえ戦闘経験のないであろう子どもを連れて戦うのは厳しいものがある」
ウェズンという大きな人が心配してくれてるみたいだ
「けどマァクラは火傷はしなかったの?,あんな熱いお湯に全身浸かっていたのに」
「それもそうだなブーツ越しにも熱かったのだ,生身では尋常ではあるまい」
「熱い?よく覚えてないけど生暖かいくらいだったと思うよ」
「ハハッ!マァクラはもしかしたら火との相性がいいのかもしれないな!」
ムルジムが言う
「相性?」
「そうだ魔法との相性,人に性格があるように魔法の属性にも特性がある,魔法には現存する火,水,土,風,光,闇と物語とかでよく見る神魔法,聖霊魔法の8つの属性魔法と,魔力があればだれでも使える念動力を主体とした生活魔法があるんだ。ちなみに土属性との相性がいい人が多い,その次は火属性だったかな,だいたい7割の人は相性どころか魔力もないのだ・」
「じゃあえっと,うちは普通・・・?」
「ハッハッハ,なにを不安そうにしてるんだ,普通よりちょっとだけ凄いかもしれんが全然普通だ,むしろ誇ってしまえばいい!」
「そうそう,それにもっと少ない風属性との相性がいいこの僕は『天・才』!!」
「ムリフェインさんちょっとうざいですよ・・・・そうそうそう言えば!王都にはかわいいお洋服があるお店や甘いお菓子が置いてあるお店があるんだよ!」
「そう・・・・」
皆は優しいのだろうな・・・・あったかい・・・そんな気がする
頬が緩むそんな気がする。
「あ!マァクラ笑った!」
「え?」
「もう一回プリーズ!ハイほっぺたグイー!」
「や,え,ちょっと!ん―!」
「コラ!アダーラやめないか!」
ふふ・・・
何だろう,悪い気はしないな・・・・
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あと少しで森の出口そんな時
ちょっと咽るような臭いがする・・・・
「ちょっと先に行く・・・」
真剣な顔をしたウェズンさんが先頭に立つ
森を抜けたその先には数頭の首がちょっと長い動物が腹から何かをまき散らして倒れている・・・
「なんでこんなところにっ!ムリフェイン!マァクラとアダーラを連れて王都に逃げろ!,軍とギルドに要請を出すんだ!王級のドラゴンが出た!そう伝えるだけでいい!俺とムルジムでここは押さえる!早く行け!」
「いくよっ!」
大きいな・・・
後堅そう,尖ってるし黒い・・・・あ,眼が斑に虹色に輝いていて
『見つけた・・・』
確かにそう,心の奥から聞こえた低くて冷たくて小さな声,だけど嬉しそうに震える声
眼を見開き虹色に輝いている目を凝視していると
その大きな口から青い波が放たれた
「ッ!ディフレイシールド!」
ムルジムが魔法で光壁を作るが一瞬でひび割れ,こちらを襲う
視界が混ざり体中いたるところに次々と鈍痛が走る
青 黄土 白 緑・・・・
そうか転がっているのか・・・・・
視界が安定し大きな黒い影が遠くに行っているところを見て,視界が暗転した。
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・・・・・知らない風景だ。
柔らかくてあったかい手に熱を感じる。
アダーラだ,白くて柔らかい物に突っ伏している。
周囲を見渡せば丸みの強い人型の置物,あれはなんだ?銀の台に淡く光る炎・・・・
色々なものがあるなんだなんだと考えているうちに,「ん゛ん゛」と鈍い声を上げアダーラが顔を上げる,
「あ,マァクラム起きたんだね」
お,割と反応が静かだ
「おはよう・・・」
とりあえず挨拶はしておく
「てっ起きてるー!大丈夫痛いところはない?私誰かわかる?おねぇちゃんだよ!じゃあおねぇちゃんって言ってみよう,ほらさんハイ!・・・・?ほらさんハイ!」
やっぱりうるさかった。
「うざい・・・」
「えぇーごめーん!でもなんだか笑ってるよ?」
顔が熱くなる
「み見ないで!」
白くて柔らかい物に顔を伏せる。
「ヘヘヘ、まぁいっか体大丈夫なら王様のところに行こうか!」
「誰?それ?」
「まぁあってからのお楽しみってことで!あんまり気にしないでいいよ悪い人ではないからさ」
アダーラはうちを着替えさせつつ,喋る
「ここはあたしの家でねとりあえず外傷がなかったからムルジムさんに治癒魔法かけてもらった後,王都入口近くに住んでるあたしの家に運んだんだ」
「ここはオウトの中なの?」
そうだよと頷きつつアダーラは部屋の入口と思われる扉を開き一言
「ようこそダイケン王国へ!」
開け放たれた扉の先には数多の人が賑わっていた。