表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星のめがみさま  作者: アビー・にゃんちょめ
2/8

星麗の森

「では、入るぞ」

「失礼します・・・・・」

ガチャゴゴゴゴゴゴ・・・・

コツコツコツコツ

どうしたことか普段の謁見時にはいない大臣に姫様までいる。

初めて顔を合わせる人もいるみたいだ。

踏ん反り返っている人もいる

いつもの世間話じゃないのかな?

「これはこれは,能無し大臣までそろいもそろっていったいなにごとですかな?」

突然ムリフェインさんが棘のある言葉を放つ


「き,貴様その口のききk「よい!!」いったいなんの!王?しかし!」

王は私が見たことのない人の発言を無視し

「お告げがあったようだ」

と口にした

「お告げ・・・ですか王」

シーリウスさんが尋ねる

「ああ,アマリスが夢を見たらしい,星麗の森に異変が起こると」

「姫様の予知夢ですか・・・・」

「姫様の予知夢?ってなんですか?」

シーリウスさんに思わず聞いてしまった,怒られないかな?


「ああ最近ここ何年かはなかったが,姫さまの予知夢はかなりの確率で当たるんだ

10年前の魔物の襲撃,5年前の王城への浸入者,4年前の未曽有の大降水・・・すべて当たっていた」

「つまり星麗の森で何か起きるってことですか?」

「そういうことだよアダーラ君,というわけでムルジム君には星麗騎士で隊を編成し,しばらくの間隊の半分を星麗の森の調査に,もう半分に念のため国民の警護に回ってもらいたい」

「「「「「「「「了解!!」」」」」」」

「しかし姫,異変が起きるといってもこうも漠然としていれば準備も難しい,夢の詳細はどういった物なのですかな?」

ヴィワヌスさんが尋ねる。

「そうですね・・・・光です。すべてを飲み込むような光が森の中心で発生します。しかしその光は暖かく感じました」

「光ですか,また難しいものですな」

「っわかりました。では私とウェズン,ムリフェイン,アダーラで森の調査に向かうシーリウスはヴィワヌス,フルド,アルドラを指揮し王国の警護に当たってくれ」



「何か他に聞きたいことはないか?」


「・・・・大丈夫のようです。では王,姫!いってまいります」

「頼んだぞ」

「気を付けてくださいねムルジムさん」



コツコツコツコツバタムッ!


「あのヴィワヌスさん?」

「なんじゃアダーラ」

「あのさっきの見たことのないエラそうなひとって誰ですか?」

「ああ,あの若造か・・・わしも知らんが大方親の七光りで重臣になったってところじゃろ,第5とはいえムリフェインは王子だ,普通の大臣であれば王の前であんなこといえんよ」

「私も人のこと言えるような立場ではないですけど,なんとなぁくわかりました」



「どうでもいいよそんなこと,早く準備して森に行こう団長」

「魔物が大量に発生している可能性もある各自十分に回復薬を持てよあと一応泊りのつもりでな,

半刻後に南門に集合な」

「わっかりましたー!姉さん準備手伝って!」

「はいはい了解了解!」

「警護班は王城前に集合しようか,そこで警護範囲と異変が起きた時の伝達方法を考えよう」

「よしではいったん解散!」

「「「「「「「「ご安全に!」」」」」」」





星麗の森,あそこにはあまり良い思い出はない

王都のすぐ隣にあるあの森は

以前は国民にも開放されていて林道も手入れされていて

空気がきれいで,子どもの遊び場にも最適だった。

家族で遊びに出てくる人たちもいた。

私たち姉妹も両親とよくに遊びに来ていた。

それがおよそ10年前,平和だった森に突如として大量の低級の魔物が出現した。

数人の衛兵が居合せていたが,数の暴力にはどうすることもできず

多くの戦う力のない人間たちが食い散らかされた,当時星麗騎士ではなく身体も小さく幼かった私たちはなすすべなくあしらわれ

私たちを守ろうとしてくれた両親を目の前で失った。


襲われ始めておよそ1時間ほどたったところで,当時星麗騎士団長だったヴィワヌスさんが

ムルジムさん,シーリウスさん,ウェズンさん,フルドさん,ムリフェインさんを

引き連れて助けに来てくれた。

そうか助けが早かったのは森が近いだけでなく姫様の予知があったからか・・・・


襲われた後,しばらくはショックで引きこもってしまったが


いろいろあって剣を握り続け,昨年星麗騎士になった。


まぁそれは置いといて,もうそろそろ集合の時間だ

姉さんに見送られ集合場所へ向かう

ウェズンさんがもう着いてるみたいだ

「アダーラが遅刻しないとは・・・明日は星が降るな,はっはっは!」

「なんて縁起でもないことを!私だってたまには間に合いますよ!」

「そこはいつも間に合いなよ・・・」

「まあいい,星麗の森へ向かうぞ」

星麗の森の場所は王都から馬車で10分程度の本当に近い場所にある


近い場所にあるせいか,10年前に魔物の大発生からは半年に一度程度冒険者ギルドで討伐ミッションを出しているみたいだ。

あまり魔物が繁殖していなければ助かるけど・・・・

期待しすぎないようにしとこう

そろそろ星麗の森に着くわけだけど

まぁそうなるよね,もう10年も手入れされていないんだ

雑草が生い茂ってる。


「遠目から見ても草ぼーぼですねムリフェインさん」

「仕方ないだろ閉鎖されてもう10年だ。アダーラも大きくなるわけだよ」

「いっぱい食べてますからね!」

あっちは何故かでかくなりませんけどね!

「団長どこから探索しましょうか?」

「そうだな,先に集合墓地に行って墓参りをしようかそのあと森中央の池へ行こう」

「賛成だな,アダーラの親御さんもデカくなったアダーラを見てきっと喜ぶだろう,あと安物だが酒を上げてやってくれ」

「団長,ウェズンさん・・・」

花ぐらいもって来ればよかったかな・・・・

星麗の森入口には犠牲者の集合墓地があり,その中に私の父と母の墓がある。


「久しぶりだねお父さん,お母さん私が誰だかわかる?大きくなったでしょアダーラだよ。

今日は姉さんはいないけど,姉さんも大きくなったよ胸も,尻も(笑)

お花はないんだけどウェズンさんからもらったお酒上げるね,二人とも好きだったでしょ,

いっぱい話したいことはあるけど,今からお仕事だからまた今度姉さんときたときにでも話すね,じゃあまたね」

「もういいのか?」

ウェズンさんが気遣ってくれる

「大丈夫です,次は姉さんときます。あとお酒ありがとうございました。

さぁみなさん泉に行きましょうか」


少しだけ草をかき分けながら森の中に入る,草は生い茂っているが陽のあたる場所だけだ

木々の間に入ってしまえば,至って普通の森だ動物が通ってできた獣道もある。

ん?この足跡は・・・

「アルマピッグだね」

私が足跡を見ながら考えているとムリフェインさんが答えてくれる。


アルマピッグ・・・豚のような魔物だ,サイズはとても小さく成体でも50㎝程度

個々の能力は大したことはないが戦闘時に放つ匂いはとても強烈で鼻が利かなくなる,

そして繁殖力がとても強く一頭見つけると百頭はいるらしいです。

外敵を見つけると悲鳴を上げて仲間を呼びます。

縄張りに入ると集団で襲いかかってきてちょっとだけ厄介です。

とりあえず匂いさえ我慢すればなんとかなるかな。



そのまま先に進み20分ほど歩いた頃,突然ウェズンさんに首根っこを掴まれて息が止まる


「止まれ,静かに・・・」

ウェズンさんが注意した。

「いるぞ,30m先に豚が一頭まだこちらには気づいていない,どうするムルジム」

「一頭か・・・アダーラいけるか?」

「大丈夫ですやれます・・・」

右手の盾を外しムリフェインさんに渡して,走り出す準備をする。

「よし,頼んだ・・・」

団長の言葉と同時に一気に疾走する。

ガチャ!

「ック!」

少し音が出てしまったが,2秒かからず20mの距離を縮め残り10mを一足で跳躍し

アルマピッグの首と思わしき場所を狙う

気づかれたようだがもう遅い,悲鳴を上げさせる前に首を切落とす。


《断頭乖離一閃》ボソッ

空中で体が横になっている状態で縦に剣を振るう

キュパッと静かに音を立てアルマピッグの頭が落ちる,間に合ったようだ


「よくやった」

ムリフェインさんがそう言いながら盾を返してくれる。

ほっと一安心だ。


「ピギョエイィイィッッ!」

「「「ッ!」」」

喜んだのもつかの間少し離れた場所からアルマピッグ特有の悲鳴が聞こえる。


「クソ!仲間の血の匂いで感づかれたか!」

ガサガサガサガサ!

「もう少し穏便に行きたかったんですがね!」

「仕方ないやるぞ」

「来ます!」

ウェズンさんとムリフェインさんが気合いを入れる。

「ハァッ!」

ムリフェインさんの斧の横なぎで3匹が吹き飛ぶ


その一瞬で力の差がわかるそこからは一方的だ断殺,潰殺


5分位戦っただろうか百とは言わないが五十は倒した気がする。

あたり一面アルマピッグだったものが転がっている。


「団長!くさい!」

「なんだいきなり!失礼だな!」

「違いますよ!団長じゃなくてピッグピッグアルマピッグですよ!匂いが染み付いてしょうがないんですよ」

「ならそういえ加齢臭かとおもったぞ・・・」

「なわけで消臭の魔法よろしくですよ!団長!」

「ちったぁ我慢しろよ,しかたないかぁ」


団長は男だからいいかもしれませんが私は女なんですよ!


「ディオライズ」ふぁーん

私たちの体が青白い煙でつつまれる。えらく人工的な色合いで

あまり気分が良いものではない

十秒ほどして煙が晴れる

返り血までは取れないが,匂いが取れるだけ幾分ましだ


「ありがとうございます。大分楽になりました!」


「そうこうしている間に着いたみたいですよ池」

「え?もうですか?」

中央の泉まで昔は2時間近くかかっていた気がする

まだ一時間位しか歩いていない

「そんなもんさ,墓地でも両親に伝えてたろデカくなったって,深く気にすることじゃない」

身長が50cmも伸びればそりゃ歩幅も大きくなるか


「さて暗くなる前に野営の準備をしておこうか」

「そうですね,まだ何か起こった風には見えませんし今のうちにやっときましょう」

「場所は先代王様の銅像の前にしよう」

「男性陣でテント張りと杭打ちお願いしますね!そのあいだに私は火を起こしておきます」

「わかった,火は任せたよ,ついでにご飯の準備もよろしくね」

「わかりましたぁ」


火の低級魔術ファラで火種を作りながらふと思う,不思議なことに,動物もそうだが低級の魔物も火に近づかない,

人間か知らないことや制御できないことに恐怖するように,魔物たちも恐怖するのだろうか・・・あ,燃やしすぎた。


「ヨシ!着いた・・・あとはお湯を沸かして,干し肉と根野菜を一緒に塩で煮るか」

「アダーラ,テント張れたよ」

ムリフェインさんが知らせに来た

「わかりましたぁ,ご飯はちょっと待ってくださいね」

軽いやりとりを交わす


夜の帳が森を支配しようとしている時だった,


おそらく池の中心に

おそらくというのは一瞬しか見えなかったからだ

まるで星が落ちてきたかのような,夜が支配しようとしていた夕暮れの森が一瞬で昼間を取り戻しさらに真っ白に,すべてを覆うように

「ぐぅ!」

あまりにも突然の出来事で目をつぶるのが遅れてしまった。


「何ですか!もう!それに何かジメジメします気持ち悪」

「俺も目をやられた団長,ムリフェイン見えるか!」

「少し遅れました,回復に少しかかりそうです」


静寂が私たち4人を襲い緊張が張り巡らされる。


バサバサバサッ!

「ック!」

普段ならあまり気にしない鳥にも驚かされる。

触覚には今のところ反応はない目の回復を待つ


ゆっくり3分数えたぐらいか,目が回復してきたよかった失明はしていない・・・

目を開ける,ゴクリ

唾液を飲み込む音がする



「無い・・・池が」







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ