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人生エチュード?!  作者: kyo
異世界へ?!
1/1

1.入学式・前編

更新は不定期です

  4月10日の午前5時半くらいのこと、俺はいつもより早く駅のホームに着いていた。

   高校3年になる俺は、今年入学する生意気な1年生のために、わざわざこんなにも早く御登校してやっているのだ。

 感謝するといい


 プシューッ


 閉まるドアの音とともに出発のアナウンスが流れはじめた。

 走行音が静かに響く

 座席に座るのは修学旅行以来だろうか。

 いつもは通勤ラッシュでとても座れるような状態ではない。

 かといって、深夜のアニメで見るラッキースケベもない。

 自意識過剰な女子高生が、サラリーマンが目の前でポケットから携帯を取り出したのを見てチカン呼ばわりしている光景なら稀に見るが。

 あの時のおっさんは元気だろうか...


 しかし、たまには早起きするといいもんだな。

 人がいない分向かいの窓から外の風景がよく見える。

「桜がきれいだな。」

 花の知識ゼロな俺でも桜くらいはわかる。

 終点まで時間がある。

 少し寝ておくか。


 俺は少しの間 眠りについた。 


 -----------------


「んーっ...nん......ん?」


 電車はすでに停車していた。

 見渡す限り誰もいない。


「おかしいな...いつもなら駅員さんが起こしてくれるのに。」

 自慢ではないが俺は常習犯だった。


「やべっ、なんのために早起きしたんだ俺。」

 急いで電車から降りた。


 だが、そこは俺が知っている風景ではなかった。

 毎度のこと反対方面の電車に乗ってしまっていたらしい。


「でもこんなホームみたことないな。どこなんだここ...」

 本当にわからなかった。

 駅名の書かれているはずの看板は黒くペンキのような液体で塗りつぶされていた。

 周りは山に囲まれ、改札口などどこにもない。

 線路は俺が乗ってきた3両編成の電車が停車しているだけである。


 こんなホーム見たことない。

 しかも人っ子一人いない。

 シュールすぎる。


 とその時、突然電車のエンジンがかかる音がした。

 どうやら折り返し列車だったらしい。


「6時半か。遅刻はぎりぎりセーフかな。」

 急いで元いた座席に座った。

 さっきの駅はなんだったのだろうか。


 そんなこと考えていたら

 また寝落ちいていた。





   ----------------------


「これじゃあ、いつもと...変わらねえじゃねぇかっ!」

 その頃、俺は最寄りの駅で降りて死にそうな顔で息を漏らしながらペダルを全力で漕いでいた。


「自転車競技部(仮)なめんなよっ!!」

 予鈴が鳴るまであと5分...

 こんな生活毎日送ってると流石に身体に良いはずなんてない。


 なんとか予鈴に間に合いそうだ。

 駐輪場から全力疾走で生徒玄関へ向かう。

 すでに飾りつけをされている玄関をくぐると、なんとも俺が入学するみたいな気分になった。


 

「えっと...俺もクラスは、っと。」


 あと2分...

 掲示された自分のクラスを確認して、上履きを片手に急いで階段をかけ上がった。

 教師より先に着席するためにわざわざ遠回りするなんて...一種の競技だ。


 

 なんとか間に合ったようだ。 

 予鈴がなり、教室に入ってきた担任様が何やらこちらをジロジロ見てくる。

 多分、俺が珍しく遅刻しなかったことに驚いてるのだろう。


「おい1年教室は一番下の階だぞ。そうだ、誰かこいつを連れてってやってくれ。」


「はいw?」

 あまりに予想外すぎて、思わず聞き返してしまった。

 まてまて、冷静になろう。

 あの先生は、俺をからかってるだけだろう。

 きっとクラス全体がグルになって...


 そんなことを考えてる間に、俺はすでに生徒2人によって教室から追い出され廊下を歩かされていた。


「おい、ち、ちょっとまて!w」


 これは絶対おかしい。

 ホームルームを削ってまでしてやるような茶番じゃない。

 こいつら本気だ。


 そもそもこんなやつら見たことないぞ、編入生か?

 1学年3クラスで構成されているこの学校で、2年間人目を気にして生きてきた俺に知らないやつなんてほとんどいない。

 話したことがなくても廊下ですれ違った時など、どっかしらで顔くらいは見ている。

 自分の置かれてる状況が全く把握できないまま1階の1年エリアを歩かされていた。


「おいっ!俺はお前らと同じ3年だぞっ!どうする気だっ!!」

「....   」

 返事をしないどころか表情すら変えない。

 気味が悪い。



 なんて始末だ。

 逃げるようにして戻っていった生徒たちに何も聞けないまま、俺は一人教室のドアの前に取り残されていた。


 


 


 




 






 



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