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真綿の黒紐

作者: 月桂樹

私の首には縄がかかっている。

キリキリと、後ろの自分が紐を絞める。


その紐は真綿でできていて。

苦しいのに、心地がよくて。


他の誰にも見えない。

誰にも外せない。


どこかおかしいのかもしれない。


でも、それさえも、どうでもいい。

全てを委ねたくなる。


この黒い紐が完全に絞まった時。


私の息が止まる時。



それは、“私”の終わり。


“私”の始まり。



そして、その私も黒い紐をつけている。

後ろの私に真綿の紐で絞められる。


いつか、息が止まるその日まで。


無限に続く。

呪いのように。




今日も。

私は、絞められる。

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