可愛い嘘泣き
キャー…
ウワァー…
『す…すげぇ〜…』
ジェットコースターを見上げていた。俺は、絶叫マシーンが苦手でいつも逃げていた。でも、今日は…。天気も良く、俺達の為に晴れてくれた…みたいな?
未来、嬉しそうだな。少し見とれていた。
『ねぇ、ねぇ!あれ凄いね!あれ乗ろ?』
未来は、無邪気な子供みたいな笑顔でジェットコースターを指差していた。
やっぱり…。最初っからか…。
そう、誘ったのはあの有名な遊園地“富士山ハイランド”ジェットコースターがかなり凄い!
俺は、未来の笑顔を見て思い出していた。
あの時、真面目に謝っていて良かった……
『あの…さ…、俺…ずっと思ってたんだ…。何で、電話出なかったんだろ…、何で、あんな冷たい事言ったんだろ。ずっと後悔してたんだ。だから、お詫びじゃないけど……どっか行かない?って言うか、未来と行きたい…かな?』
俺は、初めて女を誘った。後で考えたら、こんな時に誘うなんて有り得ないな…。
いきなりの誘い。“OK”なんて、してもらえるとは思ってはいなかった。
『ん〜、どしょかな…。』
未来は、少し俯きながら考えていた。
え!マジ!OKって事!
『遊園地がいい!司君がジェットコースター全部一緒に乗ってくれるならいいよ。』
未来は、手を後ろに回して、ニコニコしながら…。まるで小悪魔みたいな笑顔だった。
全部って…何処行こうとしてるんだ?こういう時の未来って、ヤバいよな…。でも、未来が喜んでもらえるなら…。
そう思った時、自然と顔が緩んでしまった。
『是非、宜しくお願いします。車だすから、任せてください!』
どうにか、和やかムードになった。二人で少し笑い、仲直り。もぅこんな雰囲気は味わいたくなかった。ずっと笑顔でいたい!そう、素直に思った。
『東乃!ちょっとチェックいいか?』
店の方から未来を呼ぶ店長。
『あ!お客様変わってたんだ…。ごめんね…、またね。』
未来は、ワザとらしく泣き顔をつくり、そして微笑んだ。急いで店に戻って行った。
フフっ…嘘泣きした時の未来。ちょっと可愛かったな…。思わずニヤついてしまった。
『何、ニヤついてるの?』
未来は、怪しい目つきで俺を見ていた。
『オホッ!ンン、じ、じゃ行こっかぁ…。』
ま!気を取り直して、歩き始めた。
ジェットコースターは苦手だけど、未来と一緒ならいいか…。何だかんだ、いい思い出になればいいかな。




