好きになるって…
昨日は、やっぱまずかったかな。電話で冷たくした事。その後、電話に出なかった事。今更、後悔していた。
最近、妙に未来の事が頭から離れない。何かにつけて未来がからむ。
そんなこんなで、学校で初めて仲良くなった友達、太一に相談してみた。
『もしかして、恋した事ないん?』
『恋?』
太一は、ポカーンとした表情でくわえていたタバコを落とす。
『今時、珍しいって、ゴキブリ探すより難しい。保護団体が黙ってないぞ!』
太一は、自分で言って勝手にウケていた。俺は、バカにされてるみたいで、少しムッときた。
『それは、その…未来ちゃんだっけ?好きになっちゃったんじゃん?自分で、気づいてないだけっしょ!うん!』
腕を組み、一人納得したような表情で頷く太一。
『好きになっちゃった?』
俺は、正直驚いた。可愛いなって気持ちはあった。でも、好き…。
『話聞いただけじゃわからんから、今度、店行こう。司ってこう見えて、結構センスあるかんね!』
目をキラキラさせながら興味深そうな顔をする太一。
こう見えてって…、店まで行くのかよ…。絶対、何か裏があるな…。太一は、興味深い事、面白そうな事があると自然と目をキラキラさせる癖がある。
『何か、企んでないだろうなぁ!』
少し睨んだような顔で太一に言い返した。
『大丈夫だよ!司の彼女はいらないからさ!それに、俺、まだ店決まってないから、ちょっと見てみたくなったんよ!』
いつもふざけてばっかの太一。でも、今回の件ではあまりふざけた感じはなかった。
お互い資格を取れたってのもあり、卒業待ちの俺達は、学校が終わったら店に向かう事にした。
実技の授業中も考えていた。
今日は、レイヤーの実習だった。ウィックの髪を切り、そのスタイルを完成させる。
櫛で毛束を取り、ハサミでカット。
『おい!司、何してんだよ!』
太一が、驚いた表情で止めに入った。
ん?俺は、何すんだよって太一を見、ウィックに目をやった……。げっ!
フロント部分を短くカット!ヤバい!と、思い先生に見つからないようにごまかした。
ウィック一つで何千円もする人形。いきなり短くすると後で使えなくなる為、ムダにするな!って、耳にタコができる位聞かされていた。
何やってんだ…。授業も手に付かない。俺は、未来の事が好き…なのか?
実習もなんとかこなし、今日の授業をクリアした。
結局、ずっと未来の事が頭から離れなかった。
『司!行くぞ!』
太一は、さっさと帰り支度をしていた。
『行くって、何処へ?』
『はぁ?店だよ!未来ちゃんに会いに行く!』
あ!すっかり忘れていた。終わったら店に行くんだった。
ていうか、何で太一が未来に会いに行くんだよ…。
店行くのか…。
あまり気が乗らなかった。どんな顔して会ったらいいかわからなかった。




