子心
俺は、初めて親に手紙を書いた。いつもなら、電話やメールで伝えるのだが、手紙で気持ちを伝えるってのもいいかなって…。
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親父、おかん、元気でやってますか?俺は、頑張って生きてます。今まで、親元でのんびり生きてきた俺が、一人で生活して三年。生活するだけで結構大変です。親父達の苦労、わかる気がします。
卒業して実家に戻るつもりでしたが、もう少しここにいようかなって思ってます。心配ばかりかけてごめんな?
頑張って一人前になって帰ってくるから!待っててくれよな!
わがままばっかの俺だけど一つ宜しく!
鷹山 司
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手紙って、素直な気持ちで書けるって言うか、なんか…いいよね。
夕陽も沈む頃、この手紙をポストに入れに行く事にした。
夜になると、雪も凍りつき少し緊張…。
雪道を歩きながらふと思う。
親父達…、元気でやってるかな…。たまにホームシックになったりして。
その時、携帯がなった。
ん?誰だろう…!未来だ…。
まだ、仕事は終わってないはず…。何で?
『もしもし…。』
『司君?今何してるの?』
何かの誘いかな?この人は、いつもいきなりだよね…。
『ん?今、ポストに向かってるよ!手紙出そうと思って…。』
『夜、皆で飲みに行かない?今日いた店の子だけど…。』
やっぱり…。ま!バイトも休みだしいいんだけど…。
司は、案外人見知りで、知らない人と何かをするって事があまり好きではない。
勤めようと思ってるお店だし、少しでも顔を合わせておくだけでも違うかな?
『いいよ。何処で飲むの?』
『お店終わったら、また電話するね?また後でね!』
………。
一方的な人だな…。B型かな…。とりあえず、これをポストに入れてアパートに戻る事にした。
夜になってもずっと降ってるな…。今日、一日中降っていた。夕方通った道。足跡をつけたのに帰る時には真っ白に…。なんか、少し笑ってしまった。何が面白いって訳じゃないが、少し嬉しかった。
お風呂に入り、少しお洒落な服を着、電話がくるのを待っていた……
……ブ……ブーブー…
あれ?…やべぇ!
どうやら待ってる間に寝てしまったらしい。
『はい!鷹山っす。』
半分寝ぼけた感じで電話に出た。
『…良かった。何かあったかと思った…。』
どうやら、電話先は店の中らしい。騒がしさが、そう思わせた。
『ごめん…。なんか寝ちゃった。』
『そうなんだ…。これからどうする?来る?』
なんか、面倒だな…、なんて思いながらも誘ってくれたから…。未来の顔をたてるってのもあるが、場所を聞き、とりあえず行く事にした。
『今から行くよ…。』
『うん!待ってるね!』
まだ九時か…。このまま寝れたらどれだけ幸せか…。そう思いながら飲み屋に向かった。
幸せの地から極寒の地へ……。




