寒く切ない思い
瑞希をおぶりながら歩いていた。
未来のアパートの前を通り過ぎようとした時、ふと思った。俺ん家より、未来ん家のがいいよな…。
エレベーターで上がり、玄関前まできた。さすがにしんどい…。チャイムを押す時に気付いた。
電気…ついてない…。俺は、ため息を吐き、渋々エレベーターで下りた…。
チン♪
エレベーターのドアが開く……!
目の前には未来が立っていた。
お互い驚いた表情で固まった。
俺は、安心し未来に話かける。
『お疲れ様、あのさ…。』
俺の事を無視してエレベーターに乗り込む未来…。
あれ?
『未来?』
ドアは閉まり、上に上がっていく…。
何だよ、あの態度…。
結局、瑞希を連れて俺ん家に連れてく羽目になった…。
未来のアパートから、10分位歩き、やっとの思いで到着。
玄関の鍵を開け、中に入る。
『気持ち良く寝てんな…。』俺は、ブツブツ小言を言いながら瑞希をベットに寝かせた。
俺の部屋に女を入れたのは初めて…。どうしたものか…。
とりあえず風邪を引かないよう、瑞希に布団を掛け、俺は風呂に入る事にした。
洋服は洗濯機に突っ込み、ズボン…。ポケットから携帯を取り出した…。
携帯を開き、着信をチェック…。未来からの電話…。それも3時間前!留守電も入ってる!
『一件目…もしもし?未来です……電話下さい…。』
『2件目…今、何処にいるの?寂しいよ…。』
『3件目…司君、何で?』
『4件目…バカ…。』
『5件目…』ピッ…
途中で聞くのをやめTシャツを着た。
俺は、外に飛び出し未来に電話をする。
『電源が入っていない為か…』
ちくしょ!切ってるな…。
何で俺は熱くなってんだろう…。たまに思う…。
俺達、別に付き合ってる訳じゃないよな…。でも…。
初めて会った時から未来は積極的だったし…。普通だったら有り得ないよな…。でも…。
恋愛に関しては、今までの経験からあまりポジティブに考えない方が良いと…。期待して、期待して裏切られるパターンがほとんどだった。少し、恋愛から逃げている自分がいた。
未来に会いに行くか…。
その時、部屋の方から瑞希の声がした…。
俺は、玄関を開け…『起きたか?』って、声を掛ける。
『何で、司君の部屋?』
俺は、頭をかきむしり、そしてため息を吐いた。
『瑞希が酒飲んで寝ちゃったの!瑞希ん家、わかんないしバスもないから、とりあえず家に連れてきた!何もしてないよ!』
一気に全てを話した。
『ごめんなさい…。』
瑞希は、俺の勢いに押されたのか、少し怯えるようにちっちゃくなっていた。
『帰るんなら、車出すよ?』
『司君…怒ってる?』
俺は、その言葉に“はっ”と、我に帰った。怒ってる訳じゃなかった。ただ、色んな事が重なり過ぎて……、情けねぇ…、女に当たるなんて…。
『ごめん…、当たるつもりはなかったんだ…。ごめん。』
俺は、素直に謝った。そして、瑞希を車で送る事にした。
車に乗り、走り出した…、あれ?今、人が…いたような…。バックミラーで確認しようにも、闇に包まれてて見えなかった…。
瑞希を家まで送り、引き返した。
もぅ1時か…。未来…寝てるだろうな…。
起きてる事を祈り、アパートに向かった。結局、電気はついてはいなかった…。
寝るよな…。明日も仕事だし…。
チャイムも鳴らす事なく、帰る事にした。
車を走らせていると、ポツリポツリと雨…、雨は次第に強まり挙げ句の果てには氷まで…。正直、ビビった…。
今日は、災難続きだったな…。首の骨をポキポキ鳴らしながら車を走らせた。
未来…何処に行ったんだろうか。綾乃の家かな…何て思いながら駐車場に車を止め、走ってフロアに駆け込む。
より一層、強まる雨…バチンバチンっと激しくぶつかる氷…。
少し嫌な予感を感じながらエレベーターに向かった…。
あれ?誰かが倒れて……未来!
『おい!……未来!』




