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白い空気  作者: アクア☆
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夢から未来へ

 なんだか今日は寒いな…。俺は、あまりの寒さに目覚めてしまった。…六時か…。一回、目が覚めると二度寝ができない体質だった。


 俺は、渋々布団から出て、窓に向かいカーテンを開いた…。外は一面雪化粧。白い妖精が沢山舞っていた。


 この雰囲気、好きだな…。雪が降ってると決まって外に出る。子供みたいと言われてもしょうがないが、真っ白い雪、とても好きなのだ。雪を踏むと“ギュッギュッ”って鳴くんです。


 なるべく凍ってる所は避けて歩く。三年もいて、今だ転ぶのは俺だけかな…。新雪の所をなるべく歩く。これが転ばないコツ!


 傘もささずに歩く。手に付きコートにつく雪。ホントに目で見てわかる雪の結晶。人の体温で、すっと溶けてしまう。わずかな時間を生きる妖精。寂しい瞬間だ。


 空を見上げれば、無数の妖精。


 なんだか、数えてみたくなるんだよね。


 俺は、いつもそんな事を考えながら学校へ向かう。

 学校は、理容師の資格をとる専門学校。


 親が床屋をやってて将来、店を継ぐ事になってるらしい。


 そう、俺の未来はほぼ、決まっていた。


 だから、働く前にココ、雪国で生活してみたかったんだ。家に戻ったらココでの生活は出来ないし、店を継ぐ前に夢を叶えたかった。


 だから、敢えてココの学校を選んだ。


 学校も、今年の三月で卒業。今は、何処で働くか探してる。


 親は、卒業したら地元で就職先を見つけなさい!って言うが、この街が好きだから…、後少し、もう少しいたいな。


 歩きながらいろんな店を見る。


 あれ?この道…


 ふと昨日の女性の事が頭をよぎった。


 未来ちゃんだったな…。昨日、この道で会ったんだ。可愛かったな…。


 別れ際に名前と電話番号を聞いていた。ぬかりはない!


 また逢えたらいいな。


 司は、女性に対して非常に奧手と言うか、マメじゃないと言うか…。いつもいい人で終わるタイプ。今まで付き合った人……0!友達は多かったが、それ以上の進展はなかった。


 番号を聞いても自分から電話する事もなく、いつも通りになると予想されていた。


 就職先を見つける為、街をふらついていた。


 キレイで大きな店。若い店員がいて良い教育者のいる店を探していた。


 そんな時だった…


 ん?ココの店、凄くキレイだな…。


 全面ガラス張りのキラキラしたお店。四季によってイベントやサービスを変えてるらしい。面白いお店だな。店内のデザインも良く、候補の一つにあがった。


 何度かお店の前を行き来していた…。中から店員が…


『あの…、どうかしましたか?』


 怪しそうな目つき。当たり前ですよね…。


 俺は、少し焦った様子で…


『あぁ…、キレイなお店だなって、専卒って募集してるかなって…、思いまして…。』


『あ!少々お待ち下さい。良かったら寒いでしょうから、お店の中で…。』


 素敵な笑顔だった。思わず入ってしまった…。


 まだ、決めた訳じゃなかった。成り行きで入ってしまったが大丈夫なのか?


 待ってる間、色々と考えてしまう。場違いかな…、ココにいていいのかな…。不安と緊張で冷や汗が…。


『すみません、お待たせしました。こちらへどうぞ。』


 女性スタッフに連れられ、奧の事務所らしき所に案内された。


 お店は、暇だったらしく皆さん注目されてました…。


 女性スタッフの多いこのお店。俺は、自然と俯いていた。


『あれ?司君?』


 ん?誰だろ…。このお店、来た事ないけど…。


 すっと振り向いた。


『あれ?未来ちゃんじゃん!』


 偶然にも、未来の働いてるお店だった。俺は、大学生だとばかり思っていた。それだけにかなり驚いた。


 未来は、ニコニコと笑顔で手を振っていた。


 俺も、胸元で小さく振りかえし、奧に連れて行かされた。


 このお店は、美容室っぽいつくりの理容室。いわゆる unisex salon だった。男性と女性と両方を目当てにしたお店。最近、増え始めているらしい。ちょうど男性スタッフを募集していたらしい。


『卒業したら、改めておいで。席空けとくから!』


 店長に、そう告げられスタッフルームを出た。


 寂しがり屋な店長。男性スタッフがあまりいない為、肩身の狭い思いをしてるらしい…。その事で長々と話に付き合わされていた。少し愚痴っぽかったけど…。


 部屋を出ると雰囲気が一変していた。お客さんの来店。忙しそうだった…。


 わぁ…、結構忙しいお店なんだ…。


 何て事を思いながら、軽く挨拶を交わしお店を出ようとした。


『ちょ…司君?』


『はい!』


 後ろを振り返ると未来が呼んでいた。忙しそうな感じだったからとりあえず店を出た。


 未来は、無視されたと思ったのか、慌てて追いかけてきた。


『何で行っちゃうの?』


 少し怒ったような表情で引き止められた。


『何でって…、なんか忙しそうだったから…。』


 まだ、ココのスタッフって訳じゃないし、雰囲気も慣れてない。そんなんで、少し店にいにくかった。


 未来は、眉を寄せて睨んできた。


『何で電話してくれないの?昨日の夜、待ってたんだよ?……ちょっと忙しくなってきたから…、電話するね!ちゃんと出てよ!』


 そう言って店に戻って行った。


 俺は、呆然と立ち尽くしていた…。


 ガラス越しから中の様子を覗いていた。皆、いい笑顔で働いてる…。外から見ていて、なんか気持ち良かった。


 このお店、結構好きかも…。素直にそう思う自分がいた。


 こんなお店で働きたかった。明るく爽やかなスタッフ。俺も、そんな人になりたい。


 卒業したら、このお店で働かせてもらおう。


 そして、一人前のデザイナーになって家に帰ろう。


 これが、俺の目標だ!



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