歩と未来
『よっ!おはよ。』
太一に挨拶をし席に着いた。
『司!おめぇ、いきなり電話切んなよな〜!』
太一は、俺の机に座り笑顔で愚痴っぽく吐いた。
ふぁ〜。眠い…。
『司?眠そうだな!未来ちゃんと何かしたんか?』
イヤらしい顔つきでブツブツ言い始めた。太一の中で、冗談半分で言ったつもりだった。
『おぉ…徹夜!めちゃ疲れたぜよ…。』
太一の冗談に付き合う事にした。太一の顔が見ものだ!
案の定、驚いた顔で固まる太一。俺は、眠そうにあくびをした。
『マジ!司、未来ちゃんだよな!』
太一は、一回未来を見に行った事があり、かなりの驚きっぷり。
『あの小柄の未来ちゃんと?嘘だろ?』
太一と話してると時間がかかるから、ほどほどにして寝に入った。
『司!寝るんじゃねぇ!ココで寝たら凍死するぞ!』
耳元でウルサいな。太一は、ふざけてんのか本気なのかわからない時がある。太一は、声がデカく、その声は仲間を集める。
『太一、どうした?』
ほらね…。こんな時は、寝たフリ。
『司のヤツ、すげぇ可愛い子と一緒にいたんだってよ!』
『マジで?』
相変わらず口軽いな…。あ〜、男連中集合だよ…。
『俺、本人見たもんさ!めちゃ可愛いかったし!』
早く授業始まれ…。
『な?司!起きろよ、寝たフリ禁止だよ!』
太一は、俺の肩をわざとらしく揺さぶり強引に起こした。
『太一、その子、いる所知ってんの?』
男連中は、可愛いって聞いただけで、一度は見たくなるらしく…。
俺はとっさに…
『太一!バラすんじゃねぇぞ!』
少し真面目な顔で呟いた。
『それに、さっきのは冗談だよ!ただ、看病してて徹夜しただけだよ!』って、言って、また眠りについた。
『何だよ…。でも、一緒にいたのは事実なんだよな?』
俺は、軽く手を上げホントに寝てしまった。
あれ?未来だ…。何だ?パジャマのまんまじゃん。風邪良くなったのかな?
未来は、俺に何か喋ってる。ん?聞き取れない……
……つか……司!
『ん?未来?』
『鷹山君!お目覚めかな?』
先生?ん…、俺、寝ちゃったんだ。
『あ!すみません…。』
笑って誤魔化した。
ボケッとシャーペンを回しながら雑談を聞いていた。
でも、昨日は大変だったな…。
徹夜で看病なんて、何年ぶりだ?
俺には弟、歩がいた。この四月で高校生だ。歩が、まだちっちゃい時、高熱をだした事を思い出していた。
親は、身内のなんかの用事で泊まりだった時だった。二人でご飯を食べ、お風呂に入り、全部やってのけた。
夜になり、歩が熱いって訴えて来たんだ。額に触れば、かなりの熱。当時、中学生だった俺は、どうして良いかわからなく、とりあえず寝かせた。アイスノンで冷やし。タオルで汗を拭く。水分をマメに取らせ、シャツを着替えさせた。
それを、ひたすら寝ずにやった。
歩がいたから、未来にも出来たのかもな。流石に、未来の着替えを俺がする訳にはいかないけどね。
俺は、外を見ながら、そっと微笑んだ。
未来…、良くなったかな。学校終わったら顔出すか…。




