てんこもり悪役令嬢
2つ下の妹は病気がちだった。
だから両親は妹にかかりきりで、私はほとんどかまってもらえなかった。
誕生日さえ、「妹の具合が悪いから」と放置された。
「せめてケーキが食べたい」と言ったら、「妹が病気で何も食べられない時に、なんて思いやりがないこと言うの!」と怒られた。
「そうか、病気がちの妹のせいで両親から愛情をもらえない令嬢に転生したのか」と私は思った。
まあ、転生したんだから、いつか幸せになる機会もあるだろ、いざとなったら自力で生きていくぐらいの知識はあるし、とのん気にかまえていた。
成長につれて、妹は丈夫になったけど、両親の愛情は妹に偏ったまま戻らなかった。
12歳の時に母親が馬車の事故で死んだ。
喪が明けないうちに、父は後妻を連れてきた。後妻には、私の妹と同じ年の娘がいて、父にそっくりだった。
「母の妊娠中に浮気してできた子」そのままだった。
今までは空気のように扱われていたけど、今度はみんなして邪魔者扱いしてきた。
後妻や連れ子が私を疎ましく思うのはわかる。でも実の妹まで一緒になって邪険にする理由がわからなかった。しかしどうやら、私をスケープゴートにして、自分の立ち位置を確保しようとしたらしい。
妹は周囲に「姉にいじめられているんです」と触れ回って同情を買っていた。
義妹は「ずるいずるい」と言って私の物を持って行った。何がずるいのかというと、「お義姉様のくせに私の欲しいものを持ってるなんてずるい」らしい。
私は、「おお、妹ネタ同時進行バージョンもあるのか」と新鮮に思った。
父と義母は「声の大きい者の言い分を信じる人たち」だったようで、自分の意見を主張しなかった私は「ずるくて虐待する姉」として、広く認知されていった。
14歳になったら、父が婚約者をみつけてきた。政略結婚である。
貴族に生まれたから当然とは思っていたが、悪い噂があるのに、よくみつけてきたなあと感心した。
婚約者となったアラン様は「病弱な幼馴染を優先する人」だった。
夜会もデートも、「幼馴染が具合を悪くした」と言ってキャンセルしてきた。
15歳からは学園に通った。「ずるくて虐待する姉」に、さらに「婚約者に冷遇されている令嬢」が加わってヒソヒソされていたが、噂を気にしない人もいたし、寮での生活は快適だった。
しかし今度は「悪役令嬢」という噂が立ち始めた。なんか、私がどこかの男爵令嬢を扇で叩いたり、教科書を破いたり、大事な宝石を捨てたり、池に突き落としたりしてるらしい。
「私の評判を落としたいのかもだけど、すでにどん底なんだから、さらに冤罪かぶせてくる必要ないと思うんだけどなあ」と思った。
そして卒業式、「君は妹を虐待し、マリアンヌを虐めているそうだな!」と婚約破棄された。
アラン様の両腕には、病弱な幼馴染らしき令嬢と、マリアンヌらしき令嬢と、妹と義妹がぶらさがっていた。
力持ちだな。
とりあえず破棄された傷物の私はどうなるのかと思ったら、評判の悪い辺境伯のところへ嫁にいくらしい。
辺境伯は獣人で、ドラゴンの化身で、呪いで醜い外見をしていた。
そして思った通り、邸宅に着いて顔をあわせた途端「お前を愛することはない」と言われた。
とりあえず転生チートで呪いを解いてあげた。そしたら、とても美形な私好みの外見だった。
やっと幸せになるのかなーと思ったら、突然何かの力で引っ張られた。
気が付いたらそこは大聖堂らしき場所で、「聖女の召喚に成功したぞー!」と、どこかの国の人たちが騒いでいた。
もうお腹いっぱいです。
4人ぶらさげてるアラン様が好きです。




