良いとこのお嬢様か?
何故か1人になる淑女。
翌日からは、意欲的に森でモンスターを狩り、見掛けた薬草を採取する日が続いた。
そんな感じで狩ったモンスターの換金が終わると、受付嬢から声を掛けられた。
「……パーティ名?」
「はい。 本来なら2人組でDランク冒険者のチームには勧めないのですが、ギルドへの貢献値が高い為に便宜上必要になりまして」
「任せたわ、ライカ」
「ユリナも考えてよ」
「私には無理よ。 知っているでしょう。
私のネーミングセンスを」
「……そうだったな」
それなら……
「俺達のパーティ名は『星屑』で」
「ありがとうございます。 ではパーティ名を星屑にさせて頂きます」
「良い名前ね」
「そうだろう」
……勿論、元ネタはアクセルシンクロだ。
この後、カウンターで正式に処理をする事で、俺達のパーティ名は「星屑」になった。
「よお、星屑。 今日も稼いでいるのか?」
「ボチボチだな」
「そうか。 今度、奢れよ」
「覚えていたらな」
パーティ名が決まったお陰か、こんな風に声を掛けてくる奴らが出てきた。
そんな中、気晴らしに都市を散策していると、チンピラ3人に絡まれている美少女が居た。
「いい加減に退いてくれない?」
「まだ、返事を貰ってないからなぁ」
「返事ならしたでしょう」
「いいや。 オレ達の女になるっつう返事がまだだ」
「巫山戯ないで!」
「なあ? オレ達が、優しく言っている内に素直になれよ」
「そうだぜ。 オレ達は優しいぜ」
「そうそう」
「話にならないわ」
「待てよ」
「手を離しなさいよ!」
「もういい。 連れて行くぞ」
はい、アウトー!
「そこ迄だ」
「……ガキは消えな」
「横の女は残れよ」
「そうだな」
さて、最終確認だ。
「そこのお嬢様」
「何?」
「知り合いか?」
「知り合いな訳ないじゃない!」
「つまりは、無理矢理に拉致されて連行されそうになっているのか?」
「そうよ!」
はい、確定!
「……じゃあ、遠慮なく」
「何を言っ……がはっ」
「テメエ! 何をし……ごぶっ」
「このガキが……げばぁ」
……終了!
俺とユリナは、3人のチンピラから換金出来る物と、現金を徴収すると、蹴飛ばして道の隅に廃棄した。
「……一応、礼を言っておくわ。 ありがとう」
「気にするな。 邪魔だったからな」
「そう言う訳にはいかないわ」
「ミリーお嬢様!」
何か、向こうからメイド服の美女が走って来る。
「デレスに見付かってしまったわね」
「良いとこのお嬢様か?」
「まあ、それなりに」
……一日一善的な事をしたら、俺達は領主館の前に居た。
「何処が、それなりに……だ?」
「辺境伯の娘なんて、貴族令嬢の中ではそれなりに止まりよ」
「「……」」
この世界の貴族の爵位だが、上から公爵、辺境伯、侯爵、伯爵、子爵、男爵となる。
侯爵よりも辺境伯が上なのは、東西南北の国防を担っているからだ。
次の情報だが、この東の辺境伯の国防は穏やかと言える。
俺達の故郷であるグランフィリアとは友好的な不可侵条約をお互いに交わしているからだ。
しかし、周りにバカにされない為に、国防を背負う騎士達は毎日ハードな訓練に明け暮れているらしい。
その証拠に、毎年の建国記念日には御前試合を開催されているらしいが、この東の辺境伯の騎士が必ず決勝戦に上がっているみたいだ。
「さ、入りましょう」
言われるがままに、仕方なく領主館に入る俺達は、案内された部屋で紅茶とお菓子を頂いているのだが、緊張で味がしない。
「待たせたわね」
助けた美少女が、綺麗なドレスを着て入って来たがオマケが付いていた。
「初めまして。 この東の辺境を治めているランルーザ辺境伯だ」
「改めて挨拶するわね。 私は、ランルーザ辺境伯が三女ミリーディアよ」
じゃあ、こっちも自己紹介だな。
「初めまして。 冒険者のライカだ」
「初めまして。 仲間のユリナよ」
お互いに自己紹介が終わり席に着くと、ランルーザ辺境伯の話が始まった。
「先程は、娘の危ない所を助けて頂いて感謝する。
コレは、細やかな感謝の印だ。
それと、敬語とか使わなくてもいい」
そう言って、名乗らなかったけど、執事だと思える年配の男性が小袋を俺達の前に置く。
「そう言えば、自己紹介がまだだったな」
「執事のヤナルです。 以後、お見知りおきを」
小袋からは硬質な音がしていて、中身を確かめると、金貨が8枚入っていた。
「感謝の印を受け取るよ」
俺は、小袋を懐に仕舞う。
「さて、念の為の確認だ」
「「……」」
「我が辺境に属する気は有るか?」
「世界を見たくて国を出たんだ」
「……分かった。 私は君達を歓迎する。
是非、ゆっくりしていってくれ」
そう言うと、ランルーザ辺境伯と執事のヤナルは部屋から出た。
代わりに先程のメイドが入って来た。
「新しい紅茶を淹れますね」
緊張が解けたお陰か、美味しかった。
「当然よ! デレスは王宮で王族に紅茶を淹れる侍女から指導を受けたのだから」
「ミリーお嬢様。 その様な自慢は、恥ずかしいですので」
「何よ。 事実でしょ?」
「そうですが……」
場の空気が堅苦しくなったから変えよう。
「それで、2人が此処に居る理由は?」
「そうそう。 私、貴方達から冒険の話を聞きたかったのよ」
「まだ新米冒険者だから、大した話は無いぞ」
「それでも聞きたいわ」
「……分かった」
本当に大した話は無いが、流石に赤牙虎の上位変異体の話は、彼女達は興奮したみたいだ。
「……良く生き残ったわね?」
「俺も、そう思う」
「ライカったら、3日も目を覚さなかったのよ」
「3日間も!」
「そうよ」
……風向きが変わった?
密かに俺は、狩人が身に付けるスキルを使って気配を殺し、無音で席を外し部屋から脱出した。
一応、デレスさんには視線を送ったぞ。
部屋の外で待機していたメイドが2人居たから1人にお願いして、中庭を案内して貰った。
「ふぅ~」
空気が美味い!
「どうした、1人で?」
俺に声を掛けたのはランルーザ辺境伯だった。
「淑女同士の会話に、男が居るのは無粋だろ?」
「確かに無粋だ」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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