白金貨1枚で充分なのだろう?
偉そうなオッサンが出ますが、名前は「ライフは0よ!」の彼から拝借しました。
王都で戻った俺は、ソフィア達に結果報告をして、次はエミリー達の進捗具合を聞いたら、後3日もあれば充分らしい。
翌日の空き時間にエミリー達を連れて商業ギルドに向かった。
理由は、この王都でエミリー達の店を開くからだ。
「頑張れよ」
「「「はい!」」」
エミリー達に声援を送り、商業ギルドの門を叩く。
「ようこそ、商業ギルドへ。 今日はどの様な用件でしょうか?」
「王都で店を開くので、土地の購入や手続きに来ました」
「畏まりました。 お部屋に、ご案内します」
商談用かと思える個室に案内され、待っていると約8分後に偉そうなオッサンが入ってきた。
「この王都で店を開きたいと?」
「はい」
エミリーが代表して答えた。
「……ふん。 先ずは大金貨1枚用意しろ」
「……は?」
「聞こえなかったのか? 大金貨1枚用意しろと言ったのだ」
「その大金貨1枚の用途は?」
「知る必要は無い」
「出すのは私達ですよ!」
「色々と話を通すのに必要なのだ」
「そんな事を学んでいません!」
「誰に学んだか知らないが、そいつは常識をお前に教えていないみたいだな。
それに、かなり低級な講師だな」
「……!」
「どうした、小娘?」
偉そうなオッサンが、見下しながら言った。
「ギルドマスターを呼んでください」
「……は?」
「聞こえなかったのですか? ギルドマスターを呼んでくださいと言ったのです」
「呼んでどうする? お前達みたいな小娘にギルドマスターを呼べる訳が無いだろう!」
「別に構いませんよ。 その場合は日を改めて来ますが、その日が貴方の最後の出勤になりますから」
「……小娘。 私を脅しているのか?」
「いいえ。 事実を言っているだけですよ」
「……いいだろう。 ギルドマスターを呼んでやる!
だがな、覚悟するんだな。 この王都だけじゃなく、国内で働けなくなるのだからな!」
そして、数分後に、商業ギルドのギルドマスターが入って来た。
「おや、エミリー達じゃないか」
「ギルドマスター」
「なんだい?」
「お知り合いですか?」
「まあね。 第3王女エクレシア殿下の御依頼で、このエミリー達に店を開く為の講義をしたのさ」
「……え!?」
エミリー達に関わった者達が誰なのか知った偉そうなオッサンは、一気に青くなり冷や汗を大量に流し始めた。
「ギルドマスター。 実は……」
エミリーは、ギルドマスターに全てを話した。
「……そうかい。 ハーガル」
「は、はい!」
「今までご苦労さま。 退室したら私物を片付けて、商業ギルドから出て行きな。
せめてもの情けで、私は再就職の邪魔はしないよ」
「……は!?」
「王都の商業ギルドが、この国の王族に敵視されるなんて笑い話にもならないさね」
「待ってください、ギルドマスター!」
「聞こえなかったのかい?」
その一言から、これ以上ゴネる様なら、再就職を邪魔するよ、と言っていた。
「……分かりました。 今まで……ありがと……うござ……いました」
偉そうなオッサンは、懲戒解雇され退室した。
「ギルドマスター?」
「エミリー達は気にする必要は無いさね」
「……はい」
「それよりも、どんな店にしたいんだい?」
「はい! 私達のお店は……」
……話は過熱して3時間は経過した。
「良心的な店になるのだろうけど、お金は大丈夫なのかい?」
「はい。 お金に関しては……」
エミリー達が俺を見る。
「……なる程ね。 後ろ盾は王女殿下ではなくあんただったんだね」
「後ろ盾って言われる程の大したもんじゃない」
「しかし、王都で店を開くのは生半可な事じゃないし、必要なお金だって桁が違う」
「お金なら持っている」
「あんた、何者だい?」
「ただの冒険者だ」
「……」
暫く、ギルドマスターに睨まれたが、溜め息を吐かれた。
「……はぁ。 お金の心配は無さそうだね」
「まあな」
「それで、幾らまで出せるんだい?」
「エミリー達が開きたい店に必要な総額は?」
「そうさねぇ……白金貨1枚は必要さね」
「分かった」
そう言って、俺は白金貨1枚を出す。
「……」
「白金貨1枚で充分なのだろう?」
「だからと言って、あっさり出す奴が居るかい!」
机をバンバンと叩きそうな勢いでギルドマスターが言った。
「ライカさん。 本当に良いのですか?」
「ああ」
「ライカだって!」
「ギルドマスター?」
「あんた、あの『魔人ライカ』か!」
「へえ。 商業ギルドでは、そんな名で呼ばれていたのか」
「……え!?」
「エミリー。 とんでもない人が、後ろ盾になったもんだ」
「どういう……」
「それなら、王女殿下が動くし、ギルドマスターの私が呼ばれる訳だよ」
「……?」
ギルドマスターは、力無く椅子に体重を預けながら言った。
「エミリー。 この人はね、世界で唯一、魔境でモンスターを討伐する事が出来る冒険者だよ」
「「「……は!?」」」
「それなら、お金の心配は要らないさね。
何故なら、この国の国家予算すら超える稼ぎを出しているのだから」
「「「……はぁ!?」」」
「それに、武力も1人で一国を軽く超える。
……考えるだけで、身震いが来るさね」
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