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……1人で行くつもりだったのになぁ

ダメな冒険者ばかりではないですから。

 


「はぁ……」

「どうしたの、ライカ」

「いや、何でもないよ」

「そう?」


 こんな船出だと、同じ船に仲間になる「美少女」や、敵になる「美女」がテンプレ的に乗っているもんだろ?


 ……しかし!


 そんな出会いも無く、残り2分後には大陸に到着する。

 因みに、航海中に海洋系モンスターに遭遇する事は無かったが、初期の頃のプリキュアの主人公リーダー達みたいに、羽撃く鳥や海面ジャンプした魚に頭突きされた。


 ……結構痛かったぞ!


 そして、船は到着して俺達は、入港手続きを済ます。


「先ずは、宿屋だな」

「うん」


 入港手続きが済んだのが、午後3時過ぎだからな。


 運良く、評判の良い宿屋が見付かって2人部屋を取ると、俺達は港町を散策する事にした。

 流石に港町だけあって、海産物を使った細工物が豊富だった。


 だから、記念に……


「はい、ユリナ」

「コレは?」

「良い細工物だったからユリナに」

「……ありがとう、ライカ!」


 贈ったのは、紅い珊瑚を磨いた首飾りだ。

 紅眼赤髪のユリナに良く似合っている。


 そんな感じでユリナと仲良くしていると、異世界ラノベ系では常識的なテンプレが現れた。


「いい女を連れているじゃねえか」

「命が惜しかったら、女と服と靴以外を置いて直ぐに消えな」

「そうだぜぇ~」


 1人だけ、更にIQが低い奴が居るが、やる事は変わらない。


「ゴブリンの雌に告白して、成功してから声を掛けたらどうだ?」

「「「……ぶっ殺す!」」」


 そこは一緒なんだ。


 チンピラから鉱山労働者になった野郎3匹を見送った後は、俺達は宿屋に戻った。


 評判の良い宿屋を選んだだけあって、夕食は美味かったし、ベッドは良い匂いがしてフカフカだった。


「おやすみ、ユリナ」

「おやすみ、ライカ」


 ……風呂付きの部屋を取ったから、ユリナの健康的な湯上がりの生足を見る事が出来た!


 翌日の夜明けを迎えると、俺達は港に急ぎ足で向かい、揚がったばかりの海産物を買えるだけ買った。

 理由は勿論、内陸に向かって行くからで、島国育ちの俺達は海産物が好物だ。

 だから、恋しくなって食べたい時に食べれる様に買い漁っている訳だ。

 因みに、大量買いするから値切るのだが、値切る役はユリナに任せている。


 ……結果発表だが、値切らなかった場合の総額から4割減で購入となった。


 横に居るユリナは、見事に「やり切ったわ!」な表情をしている。


 その後は、乗合馬車でガラガラガッガラガラガッガラガラガッ……と、のんびりと移動している。


「偶に来る石からの衝撃はキツいな」

「そうだよね」


 ……歴代の異世界系ラノベ主人公が言ってた通りで、座り心地は最悪だな。


 俺達の最初の大きな買い物は馬車になりそうだなと、そんな事を考えながら、俺達は乗合馬車で行く。


 ……約5時間後に、俺達は東の辺境を治める都市「ランルーザ」に到着した。


「大丈夫か、嬢ちゃん」

「……だ、大丈夫です」

「無理するな。 坊主、しっかり支えてやれよ」

「分かっている」

「私達も同じ宿屋に居るから、何か有れば頼りなさい」

「ありがとうございます」


 さて、何が有ったかというと、道中でアレが現れたからだ。


 ……そう、盗賊共だ!


 運良く俺達以外にも冒険者パーティが乗っていて、彼らが主導で討伐する事になったが、前世の記憶を思い出してからは、覚悟を決めていた俺も参戦した。

 そして、ユリナは覚悟がまだ出来ていない筈なのに無理に参戦した。


 俺達の事情を察した彼らが、1番重要な部分をやらしてくれたが、予想通りにユリナが精神的に参ってしまった。


 それで、アフターケアと言わんばかりに、彼らが使っている宿屋は、緊急事態用に4人部屋を必ず1つは空けているらしい。

 そこに泊まれる様にしてくれるみたいで、俺達は甘える事にした。


 彼らが交渉するまでもなく、2人部屋が空いていたから、そこを俺達が取った。


「大丈夫か?」

「大丈夫よ」

「ユリナ、俺の前では無理するな」

「……うん。 少し休むから、手を握ってて」

「分かった」


 ……寝たか。


 俺は、念の為にユリナに睡眠魔法を掛けると、部屋を出て1階に降りる。


「坊主、どうだった?」

「今は寝ている」

「そうか」

「あのには、あんたしか頼れないんだから、しっかり支えるのよ」

「当然だ」

「それで、どうするの?」

「一緒に乗り越えるし、乗り越えたら冒険の旅を続けるだけだ」

「……坊主は?」

「俺?」

「多分、嬢ちゃんと同じ年だろう?」

「俺は大丈夫だ」

「……大丈夫なんだな?」

「ああ」

「それならいい」

「ありがとう。 感謝している」

「気にするな。 後輩を助けるのは先輩の役目だ」

「それでもだ。 だから、今日は俺が夕食を持つよ」

「それは助かるな」

「ただし、酒代は別だ」

「……しっかりしてやがる」

「言われたわね、ギオル」


 ユリナを気遣ってくれた、この先輩冒険者達は、パーティ名を「閃剣せんけん」で、全員がBランク冒険者で、リーダーが剣士のギオルで、槍戦士のデリルに、魔術士のマリカに、回復術士のナリスの4人組だ。


 俺は、彼らに断りを入れて、宿屋を出て果物を買うと部屋に戻る。


「……1人で行くつもりだったのになぁ」


 最初の予定では、1人で冒険の旅に出るつもりだった。

 でも、何時も一緒に居たユリナが「私も一緒に行く!」と言った。

 この言葉は本気だったらしく、それまでは店の手伝いをしながらも女の子らしい毎日を送っていたのが、次の日からは冒険者になる為の鍛練を始めていた。


「ユリナの一途な気持ちには負けるよ」




厳しくも温かいメッセージを待っています!

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