……夢の1つが叶ったわ!
身分が高いと自由に動けない。
俺は、ナーザに付いて行き領主館の中に入ると執事だろう男性が待っていた。
「その方ですか?」
「はい」
「……分かりました。 お嬢様を呼んで来ますので、応接室にご案内しなさい」
「分かりました。 では、ライカさんも」
「あ、ああ」
ナーザが案内した応接室で、彼女が淹れた紅茶を飲んでいると、扉をノックする音が応接室内に響く。
「どうぞ」
「失礼します」
入って来たのは、ナーザが言っていた「お嬢様」と優男の2人だった。
「初めまして。 私は、シャアズナブル侯爵が三女のアクアシス=リガク=シャアズナブルです」
「初めまして。 ボクは、アクアシスお嬢様の護衛をしているムスグです」
2人の自己紹介が終わると、ナーザが俺の対面に立ち貴族的な礼をして言った。
「改めて自己紹介させて頂きます。
私はアクアシスお嬢様の専属侍女のナーザです」
「冒険者のライカだ。 それで?」
「私が説明します。 実は……」
話の内容は、今回の闘技場での大会に、裏の世界の強者が参加しているらしい。
しかも、それしか分からない上に、密偵がその報告を最後に息を引き取ったみたいで、調べようが無いみたいだ。
「確かに、裏の住民が優勝するのは体裁が悪いかもしれんが、別に問題は無いだろ?
それに優勝賞金は高額だが、裏の住民が表に出てまで欲しがる程じゃないだろ?」
「その通りです。 ですが……」
「分かった! 優勝した場合は賞金は要らないが、その代わりってやつか!」
「……はい」
「あ、向こうの要求内容は言わなくていいぞ」
「そうですか。 残念です」
聞いたら、話を断れなくなるからな。
「つまり、俺に優勝して欲しいのだな?」
「その通りです」
「それと、向こう側が本気だと分かる何かをされたんじゃないのか?」
「……ご明察です」
「この屋敷で、領主の娘であるアクアシス嬢の専属侍女が、門番に身分証をみせないといけないのを見て、違和感が有ったからな」
観念したかの様な顔をして言った。
「……メイドの1人に成り済まして侵入され、アクアシスお嬢様のベッドが引き裂かれていました」
「なる程な。 そこまでして向こうは要求を通そうとしている。
だからこそ、その要求を受ける訳にはいかない」
「その通りです」
数字的には馬鹿げた強さを手に入れたが、搦め手を多用する奴らとの戦闘経験は少ないからな。
……裏の連中との戦闘経験を増やしておくか。
「その依頼、受けよう」
「……良かった」
「お願いします」
この後は、細かい事を決めて冒険者ギルドに明日、俺指名で表向きの依頼を出す事となり、俺は宿屋に戻った。
「……と、いう訳だ」
「分かりましたわ」
「分かったわ」
翌日、俺とソフィア達は朝食後に軽く休憩を取った後に冒険者ギルドに向かった。
侍女達とシリウスは留守番だ。
「仕方ありませんね」
「ライカ様、よろしくお願いします」
「分かった」
「……キャン!」
俺達は冒険者ギルドに向かったが、ソフィア達の格好は冒険者だ。
2人共、事前に準備をしていて、派手さは無いが最高品質の武具を纏っている。
しかも、2人共が冒険者カードを所持しておりランクもFランクだった。
「どうですか?」
「似合っているよ、ソフィア」
「良かったですわ」
「私には?」
「ルシアも似合っているよ」
「ありがとう」
冒険者ギルドに到着すると、空いている受付嬢の所に行き、俺への指名依頼が来ていないか確認すると、しっかり出されていて処理をした。
「処理も終わったとこ……」
「待てよ」
……テンプレさんや。 そんなに頑張って働かなくて良いんですよ?
如何にもなチンピラ3人が、俺達の前に立ちはだかる。
「良い女を連れているじゃねえか」
「ガキには過ぎるな」
「だから、オレ達が面倒を見てやる」
「ガキは消えな」
「「……ライカ」」
ソフィアとルシアには予め言ってある。
お互いに敬称は無しでと。
「……はあ。 ゴブリンと知恵比べをして負ける様な馬鹿に渡す訳がないだろ?」
「「「……ぶっ殺す!」」」
……本当に煽り耐性が無いな。
チンピラ冒険者3人が転職して鉱山労働者になり、俺は彼らの全財産を受け取ると換金出来る物は換金する。
「……夢の1つが叶ったわ!」
「……ルシア?」
「ソフィア。 そっとしといてやれ」
「わ、分かりましたわ」
3分後にルシアが還った所で、依頼が貼られている掲示板を見に行った。
「……コレが!」
「ソフィア」
「分かりましたわ」
ルシアのプチ暴走をフォローしつつ、ソフィアに軽く説明して、2分後に還ったルシアを連れて冒険者ギルドを後にして、森に向かいながら言った。
「今後の予定だが、午前中は森の浅層でソフィアとルシアの冒険者稼業で、午後は宿屋で留守番だ」
「分かりましたわ」
「分かったわ」
俺は2人から承諾して貰い……森に到着した。
「……ルシア、右ですわ!」
「分かった! はっ! ソフィア、後ろ!」
「分かっておりますわ。 ……炎矢」
最初という事で、薬草採取をしていたのだが、森の浅層の半ば辺りまで入ると次々にゴブリンが現れてソフィアとルシアに襲い掛かった。
「……やっ!」
「……炎矢!」
「「……ふぅ」」
「ゴブリンの襲撃が終わったみたいだな」
「「……」」
俺は樹上から降りると言ったが、ソフィアとルシアはジト目で俺を見ていた。
「どうした?」
「「……」」
「どうして、助けてくれないのよ!」
「助けただろう?」
「確かに、危ない時にはライカの魔法で助かったわ。 でも……」
「そうです! 樹上から降りて助けて欲しかったですわ!」
「しかし、それだと冒険者だと言えないぞ」
だから、魔法での援護射撃も最低限に抑えたんだ。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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2人が冒険者カードを持っていてFランクなのは、経験の1つとして、嗜みの1つとして……です。
だから、護衛兼監視付きだった為、自由に行動が出来なかった訳です。




