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プロローグ〜その3

……まあ、名前が名前ですから。

 


 何とか我慢してゴブリンから魔石を取り出したユリナに対して、俺は洗浄クリーンを掛ける。


「臭くない!?」

「大丈夫か?」

「……大丈夫よ。 やっぱりモンスターだからかな」

「……良かった」


 まあ、ゴブリンは前座で、本命は盗賊だが、まだ俺達には早いだろう。


 ……でも良かった。


 本当に大丈夫みたいだ。


「さあ! 気を取り直して行くわよ」

「おう!」


 勿論、俺が仕留めたゴブリン6匹は俺が魔石を取り出したし、討伐証明の右耳を切り取った後は魔力弾で穴を穿うがつと、そこに8匹全てを放り込みユリナの火属性魔法で焼却したら埋めた。


 移動を再開した俺達は、獲物となるモンスターを探していると魔力探知に反応が出た。


「ユリナ、右だ」

「わ、分かったわ」


 それは直ぐに現れて突進してきた。


「Pugiー!」

「「フォレストボアだ!」」

風撃弾エアバレット

「Pugiーーー!」

「後は任せて……えい!」

「……」


 俺が風撃弾エアバレットで両前足を撃ち抜くと、フォレストボアは突進の勢いのまま土下座みたいな姿勢になって滑っている所をユリナが上から薙刀を振り下ろしてフォレストボアの首にギロチン斬りをする。


「今日はボア鍋よ」

「ああ!」


 この後、フォレストボアの血抜きを済ますと、解体後に親父から借りたマジックバッグに仕舞う。


 やっぱり、親父は元だろうが、国お抱えの鍛冶師じゃないかと思っている。

 その理由は、マジックバッグは超高額アイテムだからで、同じやつを買うとしたら、ランボルギーニが1台買えるぞ。


 俺達は街に戻ると、冒険者ギルドに寄り討伐したモンスターを出して、ホーンラビット2匹とフォレストボアを残して、全て売却して冒険者ギルドを後にした。


「銀貨8枚か」

「結構、良かったね」

「そうだな」


 ユリナに銀貨4枚を渡す。


「ホーンラビットは用意するからフォレストボアをよろしくね」

「分かった」


 ユリナが、そう言うとお互いの家に向かった。

 まあ、お隣さんだから、到着時間に誤差は無いけどな。


 2時間後に、ホーンラビット料理を持参したユリナ家が俺の家に来て夕食を一緒にした。

 フォレストボアが鍋な為に、ホーンラビット料理は香草焼きで、香ばしい匂いがして美味そうで、実際に食べたら美味かったし、フォレストボアの鍋も美味かった。


 ……15日後には俺が、この異世界に転生してから初めての「大事おおごと」が発生した。


「今日は北の森だね」

「ああ。 何でも、昨日は結構モンスターを狩れたみたいだからな」

「それなら、私達も頑張らないとね」

「そうだな」


 しかし、聞いた情報とは裏腹に全くモンスターとの遭遇すら無かった。


「可笑しい」

「そうだよね。 ホーンラビット1匹すら見付けてないもんね」

「ちょっと森の奥に来過ぎたかもな」

「ライカ、どうする?」

「……引き返そう」

「うん」


 その時、広げていた魔力探知に反応が出たのと同時におぞましい悪寒に襲われた。


「な!?」

「どうしたの?」

「全速力で逃げるぞ」

「……え!」


 ……無理か。


「GaAaaaーーー!」


 俺達の前に現れたのは、Aランク中位の「赤牙虎レッドファングタイガー」だった。

 しかも、額に紅い宝玉が付いているから、上位変異体だ。


「……最低限で、Aランク上位かよ」

「あ……あ……あ……」


 ユリナは恐慌状態だし、マジガチでどうする?


精神安静化リラックス

「……ありがとう、ライカ。 それでどうするの?」

「逃げるにしても、向こうの方が速いし、体力も向こうが上だ。

 そうなると、どちらかが……」

「嫌よ!」

「そうだよな。 残る選択肢は1つしかない」

「……私達2人で討伐だね」

「正解。 ユリナ」

「何、ライカ」

「冒険者になって、最初の大冒険だ。

 付き合ってくれるか?」

「勿論よ!」

「ありがとう」


 ユリナに俺の考えを伝える。


「生き残る為には討伐しかない訳だが、下手に傷を与えると痛みと自身の血の匂いで、余計に凶暴化するかもしれないから、防御に徹しながら一撃に賭ける。

 それで良いか?」

「それで行こう!」


 絶対の強者からの余裕なのか、向こうは大人しくしていた。

 俺は、冒険者ギルドが売っている信号弾を打ち上げると大きな破裂音が辺りに鳴り響いた。


「ユリナ、行くぞ!」

「ええ、ライカ!」

「GaAaaaーーー!」


 ……しかし、彼我ひがの実力差は大きく、防御に徹していても、俺達は少なからず怪我を負う。


「ユリナ、俺が隙を作るから、全力の一撃を奴の首に」

「まさか!?」

「大丈夫だ。 自殺する気は無い」

「……分かったわ」


 そして、向こうが俺達を甚振いたぶっているのを承知で防御に徹しながら俺は狙う。


 ……今だ!


暗幕ブラックカーテン

「……Ga?」

「ユリナ! ……ぎぃ」

「やあー!」

「Gaーーー!」

「がっ」

「ユリナ!?」


 ……失敗した。


 隙を突く為に、覚えたての影属性魔法の「暗幕ブラックカーテン」を掛けたが、向こうは意に介さずに俺の腹に奴の爪が刺さり、その爪を俺から抜きながらユリナの一撃よりも速く奴の一撃がユリナを襲った。


「……絶対絶命だな」

「……ラ…イカ」


 こうなったら、もう一つの覚えたてを使うしかないな。

 俺は、腹の激痛を無視して刀を納刀して、少々前傾姿勢になる。

 そして、身体強化をするが、身体に巡らす魔力は雷属性だ。


「GaAaaaーーー!」


 そして、向こうは仕留めるつもりで、俺の右肩に噛み付くと同時に抜刀する。


「……覇!」


 ……キィン!


「Ga……」


 ……ボト……ズゥン!


 向こうの首が俺の右肩から落ちると、2秒後に身体を倒れた。


「……がぁあああーーー!」


 まだ未熟な為、副作用の激痛を全身に巡る中、ユリナの所に行く。


 ……致命傷では無いみたいだ。


 次は俺だな。

 何とかユリナを治癒した後、激痛に耐えながら、残った全魔力を使って腹に開いた3つの穴を治癒する。

 致命傷だけは回避出来た事を確認すると、何処からか、誰かの声を聞きながら俺は気を失った。




厳しくも温かいメッセージを待っています!

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