……どうしてもダメですか?
知識は力だ!
「ちょっと待て」
ゼノヴィル嬢が話そうとしたらリグランデ公爵が制止した。
「後ろの護衛達も聞いていて良いのか?」
「……」
ゼノヴィル嬢、俺達を巻き込む気だったな?
「リグランデ公爵様の前で無礼だが、護衛料を払って貰おうか?」
「……どうしてもダメですか?」
「先程の沈黙で、答えは決まった」
「……分かりました」
予め決めていた護衛料を頂くと、俺達は領主館から出る事になった。
異世界系ラノベなら、1泊を勧められる筈だが、今回は関係者ではなく、金で雇われただけの冒険者だからだろう。
俺達は、領主館で働く人から聞いた馬屋の場所に向かい到着する。
馬屋には、バリオスの世話をしている領主館の馬の調教師2人が居た。
「預かってて貰いありがとうございます」
一応、領主が領主だから敬語を使った。
「……は?」
「何か?」
「お前みたいなガキが、この馬車の持ち主?」
「そうですが?」
「そんな見え見えなウソを言っても無駄だぞ」
「そうだぞ。 この立派な馬が、お前みたいなガキの馬な訳がないだろ?」
「いえ。 バリオスと、その馬車は俺達のだ」
「いい加減にしろよ。 貴族の馬車を盗むのは重罪になるのだぞ!」
「何を勘違いしているのか分からんが、退け!」
埒が明かないから、バリオスを連れてさっさと領主館から出る事にしてバリオスに近付く。
「貴族様の馬泥棒だー!」
「……は!?」
「馬泥棒だー! 誰か騎士を呼んでくれ!」
そして、20秒も経たない内に、数人の騎士達が俺達を囲んだ。
「今なら、牢屋で1泊して貰い反省したなら解放してやるぞ?」
「そんな事をする必要は無い。 この馬車とバリオスは俺達のだからな」
「……反省する気は無しか。 それなら少々手荒くなるが我慢してくれよ」
俺達は、完全に馬泥棒扱いされ、こちらの話を聞く気は無いみたいだ。
因みに、バリオスには大人しくしている様にお願いしているから静かにしている。
……騎士達の主が主だから、防戦一方になる中で対応を考えていると、騒ぎを聞いたリグランデ公爵とゼノヴィル嬢が来た。
「何をしている?」
「ライカ様!?」
「リグランデ公爵閣下に、御足労して頂き申し訳ありません」
「質問に答えろ」
「は! 申し上げます。どうやって侵入したのかは不明ですが、来訪された貴族様の馬車を盗もうとした冒険者達を取り押さえる所です」
俺は言った。
「リグランデ公爵様。 どういう事でしょうか?」
「な! 不敬だぞ!」
「リグランデ公爵様は、冒険者の財産を奪う事を推奨しているのか?」
「このガキ! 申し訳ありません! 直ぐに、この不敬なガキを取り押さえます!」
「アレは、俺達の馬車だ!」
「待て!」
「「「「「は!」」」」」
「この者が言う馬車とは?」
「あちらの立派な馬を繋げている馬車です」
リグランデ公爵は、バリオスの胸に存在する冒険者ギルドが発行している従魔用のスカーフを凝視した後、改めてバリオスを見る。
「……冒険者ギルドで認定された上位Aランクモンスターの『黒曜馬』だと!?」
「リグランデ公爵閣下?」
「お前達は知ら……」
「遅れて申し訳ありません、リグランデ公爵閣下!」
「「「「「ダラシス隊長!」」」」」
「ダラシス、アレを見ろ」
「……アレは、上位Aランクモンスターの『黒曜馬』です!」
「……やはりか」
「どういう事でしょうか? 私は、来訪された貴族の馬車を盗もうとしたガキの捕縛の応援に来たのですが?」
「ゼノヴィル嬢に聞く。 アレは、貴女の馬車か?」
「いいえ」
「……そうか」
もう一度、俺は同じ台詞を言った。
「リグランデ公爵様は、冒険者の財産を奪う事を推奨しているのか?」
……この後は、王族の血統を持つリグランデ公爵の名誉を著しく汚した罪で、最初の2人は死刑となり、家族は借金奴隷となった。
そして、真偽を確かめもせずに、俺達を捕らえようとした騎士達は1年の間、給与の4割がカットされる事が決まった。
何故、最初の2人が死刑かと言うと、部下の罪は主の罪であるからで、俺が言った「リグランデ公爵様は、冒険者の財産を奪う事を推奨しているのか?」で、リグランデ公爵は、部下に命令して冒険者の財産を奪う恥知らずになる訳だ。
この汚名は、貴族以上には死活問題になりかねない為に、王族にそんな状況にした2人は死刑となった訳だ。
「申し訳なかった」
そう言いながら、俺達の前には置く時に硬質な音を出した小袋が置かれている。
「慰謝料として、受け取って欲しい」
中身を確かめると、白金貨10枚が入っていた。
……口止め料込みだな。
「分かった」
俺は小袋を懐に仕舞うとリグランデ公爵が言った。
「詫びという訳では無いが、君達を歓迎するがどうだろうか?」
「ゼノヴィル伯爵令嬢と接触しない様にしてくれ」
「……分かった」
既に、リグランデ公爵から敬語は不要と言われている。
最低でも1泊する事になった俺達だが、美味しい軽食を頂いた後は、リグランデ公爵自慢の図書室で読書をしていた。
勿論、俺達が読むのは魔法に関する本だ。
この世界の魔法は、知識が広がれば広がる程、深ければ深い程、様々な場面で有利になるからだ。
「何故、冒険者如きが居るのよ!」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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