……しかし、その判断は少し遅かった。
独特の雰囲気に呑まれる場合が有りますよね?
バリオスの同行で、煩わしい雑魚モンスター共に遭遇する事もなく、俺達は中層直前まで来た。
「……浅層と中層の境が、分かり易いな」
「……そうね」
本当で、境が明確だった。
漫画の白黒で描く「昼」と「夜」ぐらいの差が存在していた。
バリオスには、動かない様にお願いして、俺達はバリオスが見える所までの、中層の森に入る事にした。
一応、俺とユリナは「あの装備」に変えた。
「「「「……!?」」」」
中層に入った瞬間に空気が変わった!?
「ライカ」
「分かっている」
確かに俺達は強い方だが、それでも早かったみたいだ。
……しかし、その判断は少し遅かった。
「……何か来る!」
「バリオスの所に走れ!」
俺が殿で、ユリナ達はバリオスが居る浅層に向かって走った。
「UGaAAAーーー!」
俺の前に現れたのは、うしお○とらに出る様な魔猿だった。
「……ちぃ!」
「UGaAAAーーー!」
「風撃弾・全弾掃射!」
「UGa……」
「……破!」
……チィン!
ボトッ……ズゥン!
風撃弾・全弾掃射でダメージを与え動きを止め、雷属性での身体強化してからの居合一閃で、殺す事が出来た。
「ぐぅ……小治癒」
俺は痛みを堪えて自分に小治癒を放つと、魔猿を「倉庫」に仕舞い、ユリナ達が待っている浅層に辿り着く。
「……まだ、早かったな」
「……そうね」
こうして、俺達の初めての「中層」が終わった。
そして、俺は内心の悔しさを隠しながら言った。
「ちょっと中層だからと呑まれていた。
だけど、俺は更に強くなる!」
「そうよ! ライカなら強くなるわ!」
「ユリナも一緒にいこう!」
「私は……」
「大丈夫。 ユリナも強くなれるから」
「……分かったわ!」
俺はユリナを見つめ、ユリナも俺を見つめた。
「「……コホン」」
「「……あ!」」
「ライカ様。 勿論、私達も付いていきます」
「のじゃ!」
「そうだな。 頼りにしているからな」
「そうよ。 リンにラン」
この後、森を出た俺達はバリオスと「倉庫」から出した馬車を繋げて、予定していた目的地に向かった。
……3時間後に、目的地の町「アガラスマ」に到着して、馬車OKの宿屋で部屋を取り、反省会をした。
「正直、中層ってだけで冷静になれてなかった」
「そうよね。 普段のライカなら、あの魔猿に対して雷属性の身体強化は必要無かったと思うわ」
「……そうだな」
この後も反省会は続き、結論として、今後の目標は今まで以上に上位のモンスターを討伐していこうとなった。
……まあ、中身が強くならないと意味が無いしな。
翌日、俺達は冒険者ギルドに行って、この町の注意事項等を聞いたが、特に注意する事が無いと分かって、俺達は魔道具店に行った。
「……やっぱり有ったな」
「買ったのはいいけど、本当に使うの?」
「ユリナ、使うから買ったんだよ?」
「そうだけど……」
「ライカ様、大丈夫ですか?」
「まだ、浅層で使うから大丈夫だ」
「我が主が、大丈夫と言っているから心配する事は無いのじゃ!」
「ありがとうな、ラン」
「気持ちいいのじゃ~!」
「「……」」
ランの俺への信頼が嬉しくて、俺はランの頭を撫で撫でするが、やっぱり羨ましそうに見ているユリナとリンであった。
魔道具店で買い物を済ました俺達は、森に1時間ほど歩いた場所で軽く休憩をした後、魔道具店で買った「魔物寄せの笛」を使う。
すう……ピィーーーーーーー!
この魔物寄せの笛の効果は、半径1km内の戦闘中以外の全てのモンスターを引き寄せる。
要するに、プチスタンピードを使用者に対して起こす訳だ。
「……来た! 始まるぞ!」
「やってやるわよ!」
「やってみせます!」
「やってやるのじゃ!」
「「「「「「「「「「Gaーーー!」」」」」」」」」」
……約40分後、4人共が多少の怪我を負ったが、無事にやり切れた。
「……定期的にやろうな」
「……ハァハァ。 わ、分かったわ」
「……ハァハァ。 分かりました」
「……ハァハァ。 分かったのじゃ」
呼吸が落ち着いたら、ユリナ達に小治癒と洗浄を掛ける。
その後、討伐したモンスターを見たが素材としてはボロボロだった。
食用と換金出来る部分だけ解体後に回収して、残りは宿屋で留守番をしていたバリオスが美味しく頂きました。
……翌日は休日にして、のんびり過ごした。
次の日は、冒険者ギルドに行ってみた。
「良い女を連れているじゃねえか。
ガキ、服と靴以外を置いて消えな」
……どうして、こうも湧く?
「雌ゴブリンに好かれる外見になるまで、森で棲息していろ」
「ぶっ殺す!」
俺達に声を掛けてきたチンピラは、何故か鉱山労働者になると言って、不要だからと装備品も含めて全財産を貰った。
「あははは!」
「誰だ?」
「笑って悪いな。 見事な手際だったからな」
「だから、誰だ?」
「悪い悪い。 オレの名は『デューカ』で、Bランク冒険者だ」
「俺達は星屑で、リーダーのDランクのライカだ」
「同じく、仲間のDランクのユリナよ」
「同じく、Dランクのリンです」
「同じく、Dランクのランなのじゃ!」
お互いの自己紹介が終わった所で、デューカと名乗った男に近付く女が現れた。
「デューカ、何か有ったの?」
「いや。 お互いに自己紹介をしただけだ」
「本当かしら?」
「それよりも……」
「そうね。 デューカとコンビを組んでいるBランク冒険者の『リューナ』よ」
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