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……ちょっと可哀想だったな

普段からの言動が……

 


「待ちなさい。 まさか、ここで終わるとは思ってないわよね?」

「ダメか?」

「ダメです。 私の客人よ。 部屋を用意しなさい」

「「「「「畏まりました、レイナシスお嬢様」」」」」


 この街の領主は伯爵位で、家族構成は、領主である父親「オーベェル(36)」に、同じ伯爵家の正室である母親「マリエット」に、第一子で長女であるレイナシス(15)に、次女「ミレイシス(12)」に、ちょっと年が離れて嫡男の「ガーヴェル(7)」という構成だ。

 因みに、第2夫人と、その子供達は王都のタウンハウスで暮らしているらしい。


「レンティエゴでは、貴方達の実力を少し見させて貰ったけど、確かに外見と実力が一致しないわね」

些細ささいな事だ」


 レイナシスは、ほんの1年程前までは次期後継者としての教育を受けていたが、長男のガーヴェルが健康に育つ可能性が高まった為に、次期後継者扱いを保留され、父親である領主の補助的な立場になったらしい。


「それで、レンティエゴに領主代行で来たのか」

「そういう事よ」


 既に、冒険者としての口調で良いと許可を得ていた俺は、遠慮なくタメ口だ。


「う~ん。 我が領地最強をぶつけても勝負は見えているわね」

「そんなに強いのか?」

「逆よ。 私達側の負けよ」

「逆か」

「逆よ。 そんな訳だから、お願い!」

「何を?」

「その強さの秘密を、少しでもいいから教えて!」


 この世界が地球の日本なら、無料で教えても良いのだが、この世界は「異世界」だ。

 無料で教えると、他の真面目に生きている人に迷惑になる。


「勿論、無料ただって訳にはいかないぜ」

「分かっているわ。 私との結婚はどうかしら?」

「断る」

「あら、即答ね」

「当然だ」

「まあ、私との結婚は冗談よ。 承諾したら、本当に結婚していたけどね」


 ……怖っ!


「それで対価は?」

「そうねぇ、内容にも因ると思うけど、大金貨5枚が最低限で、どうかしら?」

「……それで良い」

「良かったわ。 それで?」

「騎士が攻撃魔法を使ってはならないという規則は無いし、逆に魔術士が肉弾戦をしてはならない規則も無い」

「……それだけ?」

「1人で二役をこなす戦闘を目指せば良い」

「……以上なの?」

「俺の言った事の意味が分かった奴は、対価が大金貨5枚だと聞いたら、安いと思うだろうな」


 因みに、俺の後ろでは「うんうん!」と、首を縦に振って頷いているユリナ達3人が居た。


「後ろの仲間さん達は、納得しているみたいね。

 ……良いわ! 白金貨1枚払うわ!」

「良いのか?」

「ええ! あのヴァルカンク盗賊団から受ける損害が白金貨二桁に到達する計算だったもの!

 それを考えれば、安い買い物だわ!」


 ……本当に、レイナシス嬢から白金貨1枚貰った。


 その日の夕食に招待されたが、まだ貴族と言えども子供なガーヴェルが我が儘を言った。


「その猫の獣人族が欲しい!」


 この後、テンプレ的な展開に発展しそうになったのだが、俺の強めの殺気を受けて沈黙した。


 翌日、俺達はガーヴェルを言い訳にして領主館から脱出した。


「……ちょっと可哀想だったな」

「そうね」


 次女のミレイシス嬢と、今日、遊ぶ約束をしていたのだが、ガーヴェルがまた騒ぎ出したのだ。

 その結果、領主館を出る事になりミレイシス嬢との遊ぶ約束はダメになった。


 俺達は、後ろ髪を引かれながら馬車で出発すると、冒険者ギルドで依頼達成の報告をして報酬を貰い、周辺の情報を聞くと、カサンジラから出る事にした。


「とりあえず、王都に繋がる街道は使うが、王都は目指さないでいいな?」

「賛成よ、ライカ」

「是非もありません」

「いいのじゃ!」


 いやな。

 王都に行ったら、デカい巻き込まれ型のイベントに強制参加させられそうで、イヤなんだよな。

 そんな訳で、途中で進路変更する予定だ。


「……此処を左だな」


 冒険者ギルドの受付嬢に聞いた情報の中には「森の主」についてのもあったが、バリオスみたいなモンスターだろう。

 因みに、森は浅層せんそう中層ちゅうそう深層しんそう魔境まきょうの4層に分かれている。

 浅層が日が差し込む普通の森で、中層はあまり日が差し込まない深い森で、深層が60年以上前の南米アマゾンで、魔境はSランク冒険者が死を覚悟する場所だ。

 この世界の者が「森」と言ったら普通は、この「浅層」を指す。

 しかし、今回の「森の主」となれば話は別だ。

 少なくとも、中層以上の深い場所に棲息している場合が殆どだ。

 だから、冒険者ギルドの受付嬢的には「命が幾つ有っても足りないので、行かないでくださいね」って、意味で教えてくれたのだろう。


 ……まだ、行かないよ。


「まあ、バリオスの時みたいな場合も有るしな」

「何、ライカ」

「別に」

「ふ~ん。 それで、どうするの?」

「バリオスのお陰で、雑魚モンスターが襲って来ないから、中層をちょっと覗いてみないか?」

「……少し興味が有るかも?」

「決まりだな」


 ユリナの許可が下りたから行ってみようー!


「分かっているわよね?」

「分かっているから!」

「ちょっと覗くだけよ」

「分かっているって!」

「本当に?」

「本当だ」


 ユリナは不安がっているけど、本当に行く気は無かったりする。

 格言にも「好奇心は猫を殺す」って言うだろ?


 そんなやり取りをユリナとしていると、目的地に1番近い野営地に到着した。

 夜の見張り番の為に寝ていたリンとランを起こすと、野営の準備を始めた。


「……結構静かだな」

「そうね、ライカ」


 普通、こんな台詞せりふを言うと、フラグが立ち、イベントが発生するが、漫画やアニメに、ラノベでもないから、現実では起きないものだなと、俺は朝日を見ながら思った。


「まあ、バリオスが居るしな」

「「「……?」」」


 俺達は、朝食を済ませ野営の片付けを終わらすと、馬車とバリオスを継げていた金具等を外すと、俺の「倉庫」に馬車を仕舞う。


「さあ、冒険をしようか!」

「……ええ!」

「……はい!」

「……のじゃ!」


 本当に、中層を軽く覗くだけなんだけど、ユリナ達は覚悟を決めた顔をしていた。





厳しくも温かいメッセージを待っています!

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