気持ちいいのじゃ~!
どんな事にも大小は存在します。
そして、翌日の午前中に辺境の都市ランルーザに到着して、事情を説明して馬を買い戻して貰った。
「そういう事なら、良いよ」
「ありがとうございます」
とんぼ返りはアレだからと1泊したら、何処で情報が漏れて渡ったのか、翌朝には辺境伯からの使者が来て領主館に行く事になった。
「この都市に来たのなら、何故、此方に顔を出さんのだ!」
「用事が、馬の買い戻しだったから……」
「それでも、顔を出しなさいよ!」
領主であるランルーザ辺境伯と、娘のミリーディア嬢が、俺を責めた。
……あれ、ユリナは?
ユリナの仕切りで、リンとランの頭のモフモフをメイド達が楽しんでいた。
当然の様に俺達の領主館での宿泊は決まり、俺はバリオスを連れ出す為に宿屋に向かった。
「だから、あの馬は私が買うと言っている!」
「ですから、あの馬は私達の馬ではなく、泊まっているお客様の馬です」
「それなら、私が払うお金を渡せば済む話だろう」
「そういう訳にはいきません!」
「では、倍出そう!」
「金額の問題ではありません!」
「子爵家の私に逆らう気か?」
どうやら、バリオスを気に入った貴族の誰かが買おうとするが、宿屋の主人は断っているみたいだな。
まあ、当然か。
もし、話を受けてバリオスを売れば、話は都市中に広がり、盗賊が主人の宿屋を使う事は無くなるからな。
「そこまでだ」
「誰だ!」
「お客様!?」
「……そうか。 お前が、あの馬の飼い主だな。
金貨2枚で、私に売れ」
「断る」
「……今、私が聞きたい言葉とは違ったな」
「俺は断る、と言った」
「そうか。 子爵家である私に逆らう訳か。
それなら……」
「迎えに来たわよ、ライカ」
「「ミリーディア嬢!」」
「……え!?」
結果は……
「ヤラザスト子爵家の三男のユニケーマ様、お帰りは東門からですわ」
ヤラザスト子爵家当主は、三男のユニケーマを連れて、直接ミリーディア嬢との婚約の打診に来たが、自由行動をしていた三男本人が婚約話を潰す事になった。
そんな事が有ったが、3日後には辺境の都市ランルーザを出発した。
因みに、この3日間にラノベ系のイベントは全く無かった。
そりゃあもう、ラッキースケベすら無かったよ。
「……ライカ様は、何者ですか?」
リンがそんな質問をしてきた。
「普通の一般人の息子」
「……まだ話してくださいませんか」
「いや、本当に一般人の息子!」
「疑う気持ちは分かるけど、ライカは本当に一般人の息子なのよねぇ」
「そうなのですか!?」
「一般人の娘である私と幼馴染だから、ライカは」
「……そうですか」
リン。 ユリナのそんな返答で納得しないでくれ。
「ランは、ライカが我が主で楽しいのじゃ!」
「そうか。 ランは楽しいか」
「はいなのじゃ!」
俺は、ランの頭を撫で撫でした。
その様子をユリナとリンが羨ましそうに見ているが無視した。
「気持ちいいのじゃ~!」
辺境の都市ランルーザを出発した後の道中にそんな事を話していたが、旅そのものは順調で、野営が出来るからナルハザルを通過して、次の目的地に向かった。
ある意味で、最高にして最強の護衛が居るから、道中にモンスターが襲って来ない件について。
……原因は、バリオスの上位Aランクモンスターの気配と漏れる魔力で、雑魚モンスターが俺達の前に現れない。
これに我慢出来なくなってきたのがリンとランだ。
獣人族の獣の部分の血が騒ぐのか、ソワソワしている。
「……仕方ないな」
俺は魔力探知を広げて、前方のモンスターの有無を調べた。
「長距離風撃弾!」
「……ライカ様?」
「リン! 前方右の森でフォレストボアを仕留めた。
取って来い!」
「はい!」
俺に命令されて、嬉々として馬車から飛び降りて、前方右の森に向かったリン。
次は……
「長距離風撃弾!」
「我が主!」
期待を込めた瞳をしたランが居た。
「ラン! 前方左の森でフォレストガゼルを仕留めた。
取って来い!」
「はいなのじゃ!」
俺に命令されて、ランも嬉々として馬車から飛び降りて前方左の森に向かった。
「……ライカ」
「奴隷の希望を叶える事も主の裁量な」
「はいはい」
因みに、多少の精神の集中が必要だが、長距離風撃弾の射程距離は300mだ。
こんな感じで、リンとランの無聊を慰めた。
そして、少々荒れていたが野営地が有ったから今日の野営地にした。
……荒れていた理由が、深夜に分かったよ。
「命が惜しかったら、服と靴以外を置いて手を上げろ」
盗賊共……いや、盗賊団に夜襲を掛けられた。
「イヤだね。 全員、殺れ!」
「「「「「「「「……な!?」」」」」」」」
既に、俺達やバリオスが探知済みで、完全武装していたし、バリオスと馬車を繋ぐ馬具も外してある。
「バリオス、首から上は壊すなよ」
バリオスは、分かったと言わんばかりに強く嘶いた。
バリオス以外は、首切り一閃か、心臓に一突きで瞬殺していき、バリオスは賢く首から下を壊していくが、胸部が蹄の形で陥没していたり、相手が弱かったら貫通していた。
「オレ達はヴァルカンク盗賊団だぞ!」
「はいはい。 討伐報酬に期待しているよ」
何か、オレ達は凄い盗賊団なんだぞって喚いていたが、そんな事は関係無いからサクッと終わらした。
勿論、何人かは捕縛してアジトの場所を吐かせると、ユリナ達に後始末を任せて、俺はアジトに向かった。
……アジトは、フルコンプしていた。
厳しくも温かいメッセージを待っています!
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無聊とは、簡単に言えば「暇」の昔の言い方です。
現代風だと「俺は、リンとランの暇潰しに付き合った」になります。




