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第26話

第26話:玉座の亡霊と囚われし魂

『記憶の喰らいし者』を退け、悠斗たちは古城の最深部へと足を進めた。回廊の壁には、かつてこの城で生きていた人々の栄華と、そして滅びの様が描かれた壁画が続いていた。どの絵も色彩を失い、見る者に深い悲しみと絶望を伝えている。


やがて、回廊は一つの巨大な扉へと続いていた。扉には、王冠を模した紋様が刻まれ、周囲からは重苦しい魔力が漏れ出している。悠斗は、ルーナとゼロと共に、扉の前に立った。


「ここが、王の間か……」


悠斗は、ゴクリと唾を飲み込んだ。ゼロが淡々と告げた「壊滅的」という危険度が、彼の脳裏をよぎる。


「『主』、扉の『奥』から、『強大な存在』の『波動』を『検知』。同時に、『微弱』ながら『純粋な生命反応』も『確認』しました。『囚われし存在』であると『予測』されます。」


ゼロが、その空色の瞳を扉に向けながら、淡々と分析結果を報告した。


悠斗が扉に触れると、自動的に重厚な扉がゆっくりと開いていった。内部は、広大な玉座の間だった。中央には、朽ち果てた豪華な玉座が据えられ、その上には、ゼロが言った通りの、光を失った甲冑を身につけた人影が座している。


「ようこそ……我が嘆きの城へ……」


その人影が、ゆっくりと顔を上げた。兜の奥に隠された顔は、見えない。しかし、そこから放たれる声は、かつての威厳と、そして深い苦痛と狂気を宿していた。全身からは、怨嗟の魔力とは異なる、過去の栄光への執着と、失われたものへの絶望が混じり合った、異様な波動が放たれている。


【鑑定!】


【嘆きの古城の王(執着の亡霊)】

分類: 不死者(特殊)

危険度: 壊滅的

備考: かつて『神の恩寵』を受けた王。世界の『理』が歪んだことで、自らの『栄光』と『王国』に囚われた亡霊と化している。自身の『記憶』を『具現化』し、幻影として召喚する能力を持つ。


悠斗は、ステータス画面に表示された情報に息を呑んだ。「過去の栄光を具現化する能力」。そして「記憶と精神への干渉」。これは、これまでで最も厄介な敵かもしれない。


王の隣には、もう一体の人影がいた。それは、鎖に繋がれ、地面にうずくまっている。その体は、白いローブに包まれているが、微かに見える手や足は、人間のものではないようだった。その存在からは、非常に微弱だが、温かく、そしてどこか悲しげな魔力が感じられた。この存在が、ステータスが言っていた「新たな仲間」なのだろう。


「貴様ら……我が『王国』を……我が『記憶』を……汚すのか……」


王が、ゆっくりと立ち上がった。その動作は重く、甲冑が軋む音が広間に響く。王が腕を広げると、広間の周囲の壁画が淡く光り始めた。そして、壁画に描かれていた騎士や民衆の姿が、半透明の幻影となって、次々と空間に現れ始めた。


「『過去の栄光』を『具現化』しています。『注意』してください。彼らは『実体』を持たないが、『精神攻撃』を行います。さらに、『王』の『精神』に『直接』リンクしており、『王』の『状態』に『依存』します。」


ゼロが、淡々と分析を告げた。幻影の騎士たちは、それぞれ剣を構え、悠斗たちを睨みつけている。その数、十数体。


「フフフ……我が『騎士団』よ……侵入者を……排除せよ……我が『栄光』を……守るのだ……」


王は、甲冑の奥から、乾いた笑い声を漏らした。その声と共に、幻影の騎士たちが、悠斗たちに向かって一斉に突進してきた。


「ルーナ! ゼロ! 来るぞ!」


 

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