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第9話

第9話:光る苔と錬成の兆し

「よし、ルーナ! まずは『光る苔』の依頼を受けよう!」


悠斗の言葉に、ルーナは元気よく頷いた。彼女の瞳は、新しい冒険への期待に満ちている。冒険者ギルドの受付嬢に「光る苔」の依頼を受けたいと伝えると、彼女はにこやかに依頼書を渡してくれた。


「この依頼は、街の東にある『囁きの森』で『光る苔』を20個採取するものです。危険度は低ですが、魔物が出ないわけではありませんので、お気をつけくださいね。報酬は銅貨10枚です」


銅貨10枚。銀貨一枚に相当する。これがあれば、しばらくは宿代と食費を賄えるだろう。悠斗は依頼書をしっかりと握りしめた。


「ありがとうございます!」


悠斗とルーナは、ギルドを出て、街の東門を目指した。街の中は相変わらず活気に満ちているが、悠斗の心はすでに森へと向かっていた。


「光る苔、か……どんなものなんだろうな」


悠斗は、ルーナに話しかけた。ルーナは、小さな鼻をひくひくさせながら、興味津々といった様子で周囲を見回している。


「きっと、キラキラ光るんです! ルーナ、見てみたい!」


ルーナの無邪気な言葉に、悠斗はフッと笑った。彼女の笑顔を見ていると、どんな困難も乗り越えられるような気がした。


東門に到着すると、門番は悠斗の冒険者プレートを確認し、すぐに通行を許可してくれた。これで、堂々と街を出入りできる。


「さてと、囁きの森、っと」


森の入り口は、街からさほど離れていない。鬱蒼と茂る木々が、昼間でも薄暗い影を落としている。悠斗は、短剣を腰に下げ、ルーナの手をしっかりと握りしめた。


森に入ると、悠斗はすぐに鑑定スキルで『光る苔』を探し始めた。


「鑑定!」


【光る苔】

分類: 錬金素材

効果: 微弱な魔力を帯びている。加工することで魔道具の素材となる。

備考: 湿気の多い場所や、魔力の流れが強い場所に自生する。


「なるほど、魔力を帯びてるのか……」


悠斗は、ステータス画面からの「助言」を思い出した。『魔力を帯びた素材』が、『錬成』スキル覚醒の鍵となる、と。これは、ただの薬草採取ではないのかもしれない。


ルーナは、悠斗の隣で、地面をじっと見つめている。彼女の猫耳が、時折ピクピクと動き、何かを察知しているようだった。


「ユウト、あっち……光ってる……」


ルーナが指差す方向を見ると、確かに地面に、淡い緑色の光を放つ苔が生えているのが見えた。


「おお! ルーナ、すごいな! もう見つけたのか!」


悠斗は感動してルーナの頭を撫でた。ルーナは嬉しそうに目を細め、喉をゴロゴロと鳴らす。彼女の優れた感覚は、この世界での悠斗の大きな武器となるだろう。


悠斗は、ルーナと共に、光る苔を慎重に摘み取っていく。苔は、触れるとひんやりとしており、確かに微かに魔力の気配を感じるような気がした。


「これ、本当に魔道具の素材になるのかな……」


悠斗が呟くと、彼の目の前に、再びステータス画面が浮かび上がった。


【ステータス:魔力(未覚醒)】

【助言:『光る苔』は、確かに魔力を帯びた素材です。しかし、その魔力は極めて微弱であり、そのままでは『錬成』スキルを覚醒させるには至りません。より強力な魔力を帯びた素材、あるいは、より多くの『啓示』が必要です。】


「なんだよ、まだ足りないのかよ!」


悠斗は、思わずツッコミを入れた。せっかく見つけたのに、まだ先があるらしい。このステータス画面は、本当に彼を導いているのか、それともただ煽っているだけなのか。


(でも、『啓示』か……。古文書のことも含めて、この世界の真理に触れることが、魔力覚醒の鍵ってことか?)


悠斗は、頭の中で考えを巡らせた。彼の魔力ゼロの理由、そしてこの世界に召喚された理由。全てが、この『啓示』と繋がっているのだろう。


しばらく苔を採取していると、森の奥から、ガサガサと大きな物音が聞こえてきた。悠斗は、ルーナを自分の後ろに隠し、短剣を構える。


「ユウト……変な音……」


ルーナが、不安そうに悠斗の服を掴んだ。その瞳は、恐怖に揺れている。


茂みの奥から姿を現したのは、体長2メートルを超える、巨大な狼のような魔物だった。その毛並みは黒く、瞳は血のように赤く光っている。


【鑑定!】


【シャドウウルフ】

分類: 魔獣

危険度: 中

備考: 夜行性。群れで行動することが多い。


「シャドウウルフ……! しかも、一体だけじゃない!?」


悠斗の背筋に冷たいものが走った。鑑定スキルで見た瞬間、もう一体、さらに奥から同じような魔物が姿を現したのだ。


「グルルルル……」


二体のシャドウウルフが、悠斗たちを囲むようにゆっくりと近づいてくる。悠斗のステータスは、力6、速さ5。今のままでは、とても太刀打ちできる相手ではない。


「くそっ、こんな時に限って……!」


悠斗は、ルーナに危険が迫っていることを感じた。その瞬間、彼の全身から、再び淡い光が溢れ出した。


【ユニークスキル『セフィラの欠片』が反応しています!】

【対象:獣人族の少女ルーナの生命の危機を感知!】

【『セフィラの欠片』が強制発動します!】

【獣人族の少女ルーナの魔力を限界まで吸収します!】

【一時的にステータスが大幅に上昇します!】


悠斗の目の前に、警告文が浮かび上がる。ルーナの体が淡く輝き、その魔力が悠斗の体へと流れ込んでくる。


ステータス(一時的超上昇)


力: 6 → 25 (+19)


速さ: 5 → 20 (+15)


体力: 7 → 18 (+11)


魔力: 0 → 0


運: 4 → 4


知性: 7 → 7


「よしっ!」


悠斗は、漲る力に思わず拳を握りしめた。これなら、やれる!


「ルーナ、俺の後ろに隠れてろ!」


悠斗は、短剣を構え、シャドウウルフに突進した。

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