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立場

 着替え終わって改めて廊下を見ると、先程の格好のままで立っている西垣の姿があった。


「・・・あー、すまん西垣。 急に来たもんでビックリしてさ・・・西垣?」


 返事がないので顔を覗き込むと、西垣は顔を真っ赤にして白目を向いていた。 き、気絶してるのか!?


「ここは通路で邪魔になるから・・・とりあえず部屋まで引っ張っていくか・・・」


 俺は西垣の手をとり、一先ず部屋に入る。 風邪を引いていた人間の部屋なのであまり入れたくはなかったのだが、あそこで棒立ちされるのも忍びないと思ったのだ。


「悪い、ちょっと布団片付けるから少し待って・・・」

「その必要はねぇだろ病人がよ。」


 その言葉と共に俺は背中を押されて、その上に西垣が、いや、今の喋り方は西垣ではない。 もう一つの人格であるエムゼの方だ。 エムゼが乗ってきたので、無理矢理寝かされる体勢になってしまう。


「情けねぇとは言わないぜ? 体調管理を怠ったのはそっちだ。 慈悲はない。」

「西垣の方は単純にお見舞いか?」

「あぁ、普通に心配で来たんだがな。 お前があんな醜態晒したせいで感情が昂ってオレが出れるようになったって訳だ。」


 あの醜態に関してはこちらにも非がある。 あの状況を言い訳するつもりはない。


「だったら出てきた上でこの体勢はなんなんだよ。 こちとら病人なんだぞ?」

「だからこそって奴さ。」


 うつ伏せから仰向けにされて、西垣の右手で顎を上げられる。


「こうしている間はお前はオレに抵抗できない。 こんな風にマウントを取られてる時点で抵抗させる気は無いがな。」


 反論が出来る状態ではないので口を紡ぐ。 とはいえこのままでは倫理的にも危ないので、少し強い口調でエムゼに話す。


「とりあえず降りてくれないか?」

「当然断る。 今は黙ってこの体勢のままでいな。」


 断られることは百も承知だったが、ここまで身動きが取れない状態で何をするつもりなのだろうか。


「くくくっ。 こうして屈服させる様はやってみて爽快だぜ。 まあ、主人格様ももう少し感情のコントロールが出来りゃ、オレが出なくても済むかもな。」

「やっぱり西垣のことを下に見てるのか?」

「主導権は向こうだが、主人格のちょっとした隙や乱れた瞬間をオレは狙っているのさ。」

「だから嫌悪感だったのか。」

「そう言うこった。 おっとこれ以上は喋らない方が身のためだぜ? 知恵熱が発病するかも知れねぇからな。」

「こんな体勢だからあれだが、随分と心配してくれるじゃないか。」


 その言葉にエムゼは「フン」と言いながら顔を背けた。


「今までは本当に隙間にしか出られなかったオレの意識は、最近は内側にいてもそこそこの時間なら外側を見れるようになった。 主人格の見える範囲でだがな。 それにやたら自分が悪いみたいな顔をしてたようだしな。 お前との約束で主人格様にもこの事を伝えるんだ。 お前が元気じゃなきゃ来た意味がねぇだろ。」

「それだったら元の人格に返せばいいだろ。」

「チッ。 気が付きやがったか。 さっき元の人格が内側で意識を取り戻したからな。 そろそろオレは帰るぜ。」

「おい待て、この状態で戻ったらまた西垣が・・・」


 そう言う前に表情が先程までの見下すようなものではなくなり、西垣が元に戻ったのを確認したのだが・・・


「あれ、積和君・・・? な、なんで積和君に、乗って・・・?」

「・・・説明はするから今は降りてくれないか? 後俺はもう大丈夫だから。」


 パニックを起こされる前に西垣にそう言って、降りた後に説明をした後、お見舞いの品を貰ってから家に帰して、明日にまた風邪を引き直さないようにゆっくりと療養をするのだった。

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