お見舞いされるもの
「・・・ん・・・」
異様な不快感で目を覚ませば、汗をかきすぎて服からシーツまで濡れていることに気が付き、その代わりに頭痛が今朝よりは引いていた。 改めて時間を見れば日が沈み始める時間帯だった。
それを知ったのか腹が鳴る。 今日は家族全員が風邪を引いているので、軽症(一応)である母さんがまたなにか食べやすい物でも作ってくれている事だろう。
「こんなに寝たのも珍しいな。 単純な寝不足か、体からの防衛本能か。 まあいいや、シャワーでも浴びるか。」
昨日とは全く違う体の濡れ方をしたので、まずは起き上がる。 万全までとはいかなくても多少は動けるようになっていたので、替えの服を持って風呂場に向かう。
「シーツどうするかなぁ。 替えなんて無いし、洗濯するにしても服じゃないから最短でも週末だろうなぁ。」
そんな風に考えながら歩いていると、風呂場に繋がる扉から姉さんが現れる。
才色兼備というだけあって、姉さんの体つきはどこに出しても恥ずかしくない容姿だ。 鉄道オタク趣味の行動力の賜物だろうが、割れてこそ無いものの括れのあるいい腹部を持っている。 悪いところを強いて言えばスポーツ用の色気の無い下着を着用していることだろうか。
「おや、カズもシャワーを浴びに来たのかい?」
「流石に汗でベタベタになったからね。 つーか風呂上がりにそんな格好で出てきて、また湯冷めで風邪をぶり返すぞ?」
「部屋に戻れば着替えるさ。 それにしても少し体が重く感じるのだが、どう思う?」
「そのプロポーションで良く言うよ。 足とか胸に栄養が行ってるんじゃない? 俺が弟じゃなかったら目を離すなんて無理だね。」
「ここまで無防備な姿は今はカズと父さんにしか見せないさ。」
冗談か本気か分からない言葉を言った後に姉さんは自室に向かった。 俺もとりあえず風呂に入るために扉に入る。
そして汗まみれの服を洗濯かごに脱ぎ捨てて、シャワーのコックをひねり頭からお湯を浴びる。 姉さんが入っていたので適温で出てくるお湯で体がスッキリしてくる。 それと同時に思い出しかのように腹も鳴り出す。
「病み上がりで肉とかはあんまり胃に優しく無いだろうから、多分お粥とかかな? でも麺類なら食べられるかも。」
母さんがどんな夕飯を出すか考えながら濡らした体をタオルで拭いて、着替えている最中廊下を歩く音が聞こえてきた。 姉さんは一度部屋に戻っているがまだ夕飯には早いはず、母さんか父さんが俺の様子を見に行ったのか?
「俺は風呂場にいるから部屋にはいな・・・い・・・」
扉をほんの少しだけ開けて廊下を確認すると、そこに見えたのは綺麗な銀色の長髪を携えた西垣がいた。
そして西垣もこちらに気が付いて、時が止まったかのように動けないでいると、自分の状態を思い出して急いで扉を閉めた。
「・・・えぇ?」
扉を閉め終えた俺は、ただ西垣が来ていることに困惑するしか出来なかった。




