趣味没頭
「新しい曲でも聴いてみるか。」
中間試験も終わり、部活も参加しないこの休日。 最近はなにかと出掛ける機会が多かったから、今日はとにかく自分の趣味である音楽鑑賞に浸ろうと思っていた。
浸ると言っても別に家に大型スピーカーとかがついているわけではない。 そんなもの無くてもイヤホンがあれば充分だし。 ただそろそろワイヤレスイヤホンにでもしてみようかとも考えている。 持ち歩きとかもしてみたいからな。
音楽は今となっては何処にでもあるようなもので、動画でそれっぽいワードを検索すれば何かしらは出てくる。
「さてと、今の流行りはっと・・・」
俺もミーハーではあるが、なにも知らないわけでもない。 よくショッピングセンターなんかで流れてくる音楽を探して、とりあえずは聴いてみてはいる。 好みかどうかは自分次第だがな。
今日は朝から誰もいない。 大抵の場合は母さんがいたりするのだが、食材調達の為に出掛けている。 姉さんや父さんも自分の趣味のために現地に赴いているので、本当に一人きりだったりする。 ある意味では通常通りだ。
「リズムがこうで・・・サビに入ると歌詞が様変わりする感じか。 ・・・まあ次だな。」
音楽鑑賞と言っても完全に自分の好みに合致するわけではない。 そんなに好みでないのならば「聴いたことがある」程度で済ませられる。 そんな風に音楽を聞き流しつつ、たまに自分の買った漫画を読み漁る。 音楽自体が長くても6分程なので、適当に読んでいるうちに音楽が終わり、次を探す。 休日の過ごし方は大体こんな感じだ。
お昼になって朝に残っていた冷やご飯をお茶漬けにしてお腹に流し入れる。 母さんは基本的に作り置きはしない。 食べるか分からないのに作るのは食品ロスに繋がると常に言っているからだ。
そうして部屋に戻り、今度はスマホからイヤホンを外して、自分のお気に入りの音楽を流す。 大音量にしても誰かに迷惑が掛かるわけではないが、そんなことをしてまで音楽を聴きたい訳でもないので、手に届く範囲の距離で流していく。
朝にノリのいい曲を聴いたので、昼からはクラシックなどの曲にする。
「ピアノ演奏が一番ゆったり出来るんだよなぁ。」
オーケストラなんかも悪くはないが、ピアノ独特の伴奏の方が耳には心地がいい。 そんな風に思いながら横になり、いつの間にか眠りについてしまっていた。
目を覚まして時間を確認すると、2時間程経っていたので、音楽を一度切る。 そのタイミングで部屋の扉が開かれた。
「おや。 今日は何処にも出掛けていないのかカズ。」
「まあね。 そっちは今帰ってきたところ?」
「ああ。 母さんも今帰ってきたみたいだから、そろそろ夕飯の仕込みをする感じじゃないかな?」
「父さんは?」
「まだ見てないな。 今日は遅くなるとは言われてないらしい。」
休日の時に父さんの帰りが遅くなる時は大抵母さんに連絡が行く。 理由としては夕飯を作るのは母さんなので、人数分作る必要が無くなるからだ。
「今日も音楽を聴いていたのか?」
「まあね。 それが趣味だから。」
「弟の趣味を否定するつもりはないが、もう少し外に出てもいいんじゃないかと私は思う。」
「その辺りは今後考えるよ。」
そうして夕刻になり、父さんも帰ってきて夕飯を済ませ、風呂に入った後、再びスマホから音楽を流す。 家族がいるのでイヤホンをする。 夜に聴くのはダウナーな曲だ。 歌詞自体も明るいものではないものの、寝る前には丁度いい程に耳に残る。
そうしながら目蓋がゆっくり落ちていく感覚があるので、音楽を止めて今日の締め括りとして、そのまま眠りにつくことにしたのだった。




