勉強会後のご褒美
「いやぁ、結構な時間やったねぇ。」
引間が机に突っ伏しながらそんなことを言うが、本人は全くと言っていいほど疲れている様子はなかった。
とは言え俺達は図書館へ来てから休みを挟みつつも昼過ぎまで勉強をしていた。 勉強する教科を変えつつではあったものの、これだけ長い時間やったのは初めてかもしれない。
「そう言えばこの後ってなにか予定あるのん?」
「ん? あー、勉強会することしか頭に無かったなぁ、言われてみれば。」
と言うよりも元々の目的がそれだったから、特になにも考えてなかった、の方が正しい訳だが。
「空腹な時間も過ぎている。 今回はこの辺りで終演として、近くでなにか食べていかないか?」
「ま、それが良いわな。 折角集まったのに勉強するだけってのも味気無いしな。」
「あ、それなら少し歩くんですけれど、こう言った場所はどうでしょうか?」
そう言って調べていたであろう西垣のスマホに写し出されていた場所に、誰も文句を言わずに図書館を出る準備をして図書館を後にした。
「確かにここならある程度のものはあるもんね。」
「空腹精神は良きスパイス。 存分に楽しめることだろう。」
「お前のそれは意味が違うんじゃないか?」
そんな芦原への突っ込みもいざ知らず。 やってきたのはバイキングだ。 俺達の家よりも更に向こう側にあるのだが、図書館を利用した後なら大丈夫だろう。 それに今なら学生割りのようなものも実施しているようで、家族連れよりも部活終わりの学生の方が多く感じる。
「それにしてもよく見つけたねん? ニッシーって見かけによらず大食いな感じ?」
「いえ、そう言うわけではないんです。 ただ・・・」
そう言ってこちらをチラリと見てから、言いづらそうに手を添えてから
「甘いものが・・・食べたくなってしまって・・・」
そんな答えを声に出した。
「あー、なるほどねん。 確かに勉強の後って無性に甘いものが欲しくなるよねぇ。」
「糖分摂取は大事なことだ。 ただ過剰摂取は良くないがな。」
「芦原氏よ。 ノンデリ男子の異名を付けられたくなければ、これ以上の発言を控えるべきですなぁ。」
「知識の女神から底の知れぬ圧力を感じる。 祟らぬが仏、と言うものだろう。」
「その危険予知は正しいと思うぞ。 発言によっては首を絞められかねんだろうしな。」
俺も注意を払いながら言葉選びしよう。 そんなどこに向けて言ったのか分からない決意を背にして、俺達は店の中に入っていった。




