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今後の事

「エムゼ!? 嫌悪感を抱かないで出れるようになったのか?」

「どうやらそうみたいだな。 つーかオレが表に出られる理由は嫌悪感だけじゃねぇみてぇだぞ?」


 そう言うと瞳から流れていた涙を拭うエムゼ。 口調と座り方が一致していないのでなんか困惑してくる。


「どういう事だ? 西垣は嫌な気持ちになった時に記憶が無くなるって言ってたんだ。 それはエムゼが出たからじゃないのか?」

「その認識で間違っちゃい無いが、こいつの成長かオレの見落としか。 とにかく出られるための幅が広がったって訳だ。」


 幅って・・・ま、まあ確かにエムゼが出る条件が俺といることの話なら、いつまでも嫌悪感を抱きながらって訳にもいかないのか。


「それで実際にはどんな条件だったんだ?」

「簡単に言やぁ感情の高ぶりって奴だ。 こいつの中のボルテージがある程度極まった時に出てこれるみたいだな。 さっきのは心配してたお前が元気そうで安心して嬉しかったみたいだな。 泣かせるじゃねぇか。」


 エムゼに言われるとは思ってもみなかった。 それにエムゼがただの感情によるもう1つの人格と言うことではないことも今ので分かった。


「それはいいんだけどよ。 元の西垣に戻ってくれるんだよな?」


 しかし出てきてしまった以上は対処もしなければならない。 エムゼとは細かに約束を取り付けてはいない。 今でこそ2人の空間ではあるものの、今家には母さんがいる。 今エムゼの姿を見ればどうなるか。 変貌したと言うことでこちらになにか言ってくるかもしれない。


「まあ出たからにはすぐには戻る気は無いが折角だ。 お前には提案しておこうと思ってな。」

「・・・なんだ。 提案って。」


 昨日の要求で満足することは無いだろうとは思っていた。 だがここで提案をあげられるのは、こちらが不利になるような事を言ってくるだろう


「オレが表に出たならなにか1つプレゼントしな。」


 ・・・・・・


「・・・ん? どういう意味だ?」

「形として残しておくってことだよ。 考えてもみろ。 主人格が意識の奥で眠ってる間の主導権はオレにある。 だがいつも記憶がないんじゃオレの認識に繋がらねぇ。 お前は昨日言ったよな? 何をしておいたかの記録はしておけってな。 記憶媒体は多くて損はないだろ?」


 どこでそんな事を考えていたのかは知らないが、エムゼは今西垣の変わり身になろうとしているのではない。 これも心境の変化なのだろうか。


「・・・そう言うことなら分かった。 お前が西垣の事を考えてくれているってことも伝わったよ。」

「別に主人格様の為じゃねぇ。 オレのためにやってるだけだ。」

「ま、そっちが本音だろうな。」

「・・・とりあえずオレはまた眠る。 次に出てくる時は提案を忘れるんじゃねぇぞ。」

「あ、ああ。」


 急に引っ込んだかと思えば、すぐに元の西垣の姿に戻っていた。


「あれ? ・・・またなのですか?」

「安心しろ西垣。 悪いことはしてねぇさ。」


 そんなことを言っていたら足音が聞こえてきた。 これを聞いて引っ込んだのか。


「カズ。 ご飯出来たからこっちにいらっしゃい。 西垣ちゃんもおいで。」

「行こうぜ西垣。 多分本当に用意されてるから。」

「えっと、それではご馳走になります。」


 そうして昼を食べた後に西垣は帰っていき、残りの休日の時間を満喫したのだった。

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