急な来客
ぼんやりと目を開ける。 日の光が当たっていると言うことはまだお昼辺りだろう。 珍しく二度寝したからか時間の感覚は分からない。
「おはようございます積和君。 と言ってももうお昼頃なのですが。」
「ああ、今何時だ?」
そう言ってスマホを見ると確かに正午は越えていた。 流石に寝過ぎたかとも思ったが、それだけ疲労が溜まっていた・・・
・・・・・・ちょっと待て。 俺は今誰に対して返事をした?
まだ微妙に脳ミソが働いていないが、声と呼び方でその人物を考える。 いやまさかそんなわけ無いよな。 ここは自分の家で自分の部屋で寝ているんだ間違いはない。
そう自分に言い聞かせながら上体を起こして日の光と逆の方を見ると、そこには西垣がちょこんと座っていた。
「・・・疲れすぎてまだ夢の中なのか? ならもう一回寝れば目覚めるって相場が決まってるからな。 寝るか。」
「積和君。 流石にこれ以上寝るのは逆に身体に悪いですよ?」
この返しがあるってことは現実で間違いないわ。 現実逃避なんてらしくないことをするものでもないな。
「・・・えっと、なんでいるの? というか家の場所は教えてない筈だけど?」
「私が出掛けた先でたまたま見かけたんだけど、声をかけた後にあんたの事を気にしてたようだから、様子見も兼ねて連れてきたって訳。」
強引だとは流石に言わないが、良くもまあ無茶振りに付き合ってくれたものだ。 無理して合わせなくてもいいのに。
「ってか俺が寝てるって分かってるなら居間で待たせれば良かったじゃんか。」
「心配されてるのはカズだったのよ? 待たせるだけ待たせたら可哀想じゃない。」
「じゃあ起こしてくれれば良かったじゃん。」
「本当はそうしたかったんだけど、カズがあまりにも穏やかに寝てるから、起こすのを憚れたのよ。」
嘘だな。 起こすために揺さぶったとかならともかく、あの様子は起こそうとする素振りを見せなかったな?
「とにかく起きたのなら話があるらしいから聞いてあげなさいな。 後でお茶請けも持っていくから。」
「いえ、そこまでして貰わなくても・・・」
「西垣ちゃんはお客様なんだから気にしないの。 折角だからお昼も食べていきなさいな。 簡単なもので申し訳無いけど。 それじゃあごゆっくり。」
そう音符でも出しそうな気分で出ていく母さん。 とりあえずこのままなのもあれなので布団をしまい、西垣の話を聞くことにした。
「どうしてうちの家族は強引なんだ。 なんか用事があるなら帰っていいからな?」
「いえ、それは大丈夫です。 それよりもどうしても聞きたいことがあって。」
「その聞きたい事ってなんだ?」
「積和君に付けた傷は、もう一人の私が付けたものではないのですね?」




