疲労困憊
「ただいま」
俺は家に帰ったのまでは良かったが、正直誰とも会いたくないと思っていたので、さっさと部屋に戻りたいと思った矢先に、父さんと廊下で鉢合わせた。
「お帰り、カズ。 ここまで帰りが遅くなるのは感心しないな。」
「ちょっと色々あったんだ。 悪いけど説教は聞く気は無いよ。」
「顔色が悪い人間にそんなことをしても容態を更に悪化させるだけだ。 部屋に戻って寝なさい。 母さんも怒ってはいない。」
そう父さんに言われて、俺は鞄を置くと、吸い込まれるように布団に横たわり、そのままの格好で眠りについた。
「・・・んぁ? 今何時だ?」
日の光がかなり高く感じる。 スマホで時計を確認する。
「時間は・・・午前9時・・・午前9時?」
昨日は帰ってきてからすぐに寝たから大体夜の9時くらいだった筈。 つまり約半日は寝た計算になる。 外があまりにも静かだから、多分全員出掛けたのだろう。目覚ましで起きなかった事を考えれば、誰も起こしに来なかったのだろう。
「・・・まあいいか。」
昨日の疲れもまだ残ってる感じがするし、気だるさのせいで布団から出たくない衝動もある。 ゴールデンウィークがまだ残っているとは言えあまり身体を動かさないのも良くないのは、頭では分かっていても身体がそれを拒絶している。
そんな時に誰かからの通知が来た。 誰かと思いスマホを見ると「西垣」と書かれていた。
「西垣? なんだ、こんな時間に?」
今日は家で過ごしたいと思っているので呼ばれるのはちょっと勘弁して貰いたいが、無視するのも後味が良くないので開いてみる。
『おはようございます積和君。
つかぬことをお聞きしたいのですが、昨日は何があったのか教えていただきたいのです。
あの不良のような人達に絡まれてからの記憶がほとんど無く、いつの間にか帰ってきていたので気になってしまいました。
もしかして、もう一人の私が何かしたのでしょうか?』
そんな長文が流れ込んできた。 記憶は無いがエムゼを「もう一人の私」として見ているので、名前を付けたのには一応意味があったようだ。
「全部を説明しても心配させるだけか? 噛み砕いた話題で納得して貰うか。」
そう思いながら俺は西垣に説明文を送る。 もう一人の人格と話をしたこと。 その人格に名前を付けたこと。 今後定期的に表に出すように約束を付けたこと。 一応誤解の無いように補足も兼ねて文章を書いていたらかなりの長文になってしまったが、大まかな部分はなんとか納得して貰える事だろう。
そんな長文を考えたからかまた眠気が襲ってきたので、自分でもなかなかやらない二度寝というか昼寝をすることにした。 疲れてるんだし別にいいよな。




