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エムゼの頼み

別人格の方に名前がついたので、前のタイトルとは似ているようで違います

「さて次が本命の頼みだ。 しっかり聞いとけよ?」


 だからその顔でその笑い方は止めてくれっての。 西垣の凶暴な面と言ってしまえばそれで済むのだろうか?


「オレもこうして名前が付いたんだ。 定期的に表に出させな。 さっきも言ったが存在の固着というのは名前だけじゃ駄目だ。 認識を確定させなければ意味がねぇ。 これがオレの頼みだ。」


 もっと大掛かりな事を頼まれるかと思ったが、内容自体はかなりシンプルだ。 それに出す条件が限定的にならないようにするのも、1つの成長に繋がるかもしれない。


「分かった。 その頼みは聞いてやる。 ただしこっちからも条件がある。 これは今の立場どうこうじゃない。 今後に関わることだ。 これを極力破らないようにするなら協力してやる。」

「・・・聞いてやるよ。」

「お前と西垣の人格が入れ替わっている間の事を西垣に伝えるようにしろ。 それから・・・」

「おい、1つじゃないのか。」

「そっちが2つ要求したんだ。 こっちもまずは言わせて貰うぞ。 もう1つは変わるのは俺がいる時だけにしろ。 それが条件だ。」


 本当はもっと色々と言いたいところだが、俺が思う最低限の、奴との契約条件。 向こうもこの条件だけは飲んで貰わなければ、俺も西垣も、こいつにとっても不利益になると思っている。


「・・・その条件・・・」


 考えるように黙っていたエムゼが声を上げる。


「その条件には穴がある。 特に2つ目だ。 お前はお前がいる時にと言ったが、俺と主人格が入れ替わる今の方法を忘れてる訳じゃねぇよな? それに必ず2人きりになるとは限らないだろ? その辺はどう説明する?」


 流石に元が西垣なだけに頭はキレる。 俺も大分曖昧に言ったことは認めざるを得ないか。


「・・・2つ目の条件の穴。 前者に関しては考えはいるかもしれない。 後者の場合は・・・せめて不特定多数が集まる場所は極力避けてくれればいい。 その為にも西垣には理解者を増やして貰う必要もあるが。」

「大分丸投げな条件だな。 そのまま承諾してたら後付け間違い無しだな。」


 それも考えたが、大部分が解決できればそれでもいいと思っていた。 だからそれ以上細かいことは言わないようにしていたのだ。 ここで奴の機嫌を損ねれば俺と西垣だけの問題では無くなるし、なによりあの夢の驚異は衰えていない。 一歩間違えれば取り返しの付かない綱渡り状態なのは今でも変わってないのだから。


「・・・ふん。 名前も付けてオレが出れるように考えた恩はある。 その条件を受け入れてやる。」


 その言葉にホッとする俺だったが、根本的な解決にはまだまだ時間が掛かりそうだとも俺の心の奥底では思ってきた。

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