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オモチャの博覧会

「こういうのって昔から存在してたんだなぁ。」


 俺の眼下にあるのはマトリョーシカ。 しかし今風な感じではなく、長年使われてきたかのような汚れのあるものだ。 絵柄もそこまで凝ったものでもない。


「マトリョーシカって元々ロシアの人形だったっけ?」

「そうですよ。 でもヨーロッパ方面の書き物も多かったりするんですよ?」

「見た目はそうだよなぁ。」

「アイルランドにもあるにはあるみたいですけど・・・実物までは見たことはないですね。」

「え? あ、あぁそうなのか。」

「・・・なにか言いたげでしたね?」


 ちょっと驚いた事を突っ込まれてしまった。 あとなんか機嫌がちょっと悪くなってる気がする。 思ったことを正直に話すしかないよな。


「いや、西垣はアイルランド生まれの母親のハーフだから、てっきり見たことあるもんだと。」

「自己紹介の時に言いましたが、生まれも育ちも日本なので。」


 これは俺の思いやり不足だった。 自分の知らない故郷の話しなんかされても分からないよな。 機嫌を損ねてしまったか? 顔を見るのが怖い。


「お、あそこにあるのはメンコだな。」


 そんな感じがしたので話を反らすことにした。 たまたま目に入ったオモチャがメンコだった。


「描かれている絵がかなり古風ですね。」

「昔のオモチャだからな。 でも素材は厚紙のような物だし、そんな簡単には破けないのも強いんだろうね。」

「これを地面に叩きつけていたと考えると、昔のオモチャの方が野蛮かもしれないですね。」


 西垣から野蛮なんて言葉が出てきた辺り、一瞬人格が変わったかと思ったが、チラリと見た感じでは普通だったのでほっとした。


「オモチャらしい物は江戸時代になってから本格化したみたいですね。」


 西垣も楽しんでるからとりあえず大丈夫そうだ。


 そして博物館を一回りして時間を確認してみれば何だかんだとお昼を過ぎていた。 人が少なくなってきていたので、みんなどこかでお昼を取りに行ったのだろう。


「そういえばこの博物館って飲食店とか入ってなかったような気がしたけど。」

「観賞が主な目的ですので、そう言った類いは無いのでしょう。 食べ歩きなどは基本的には禁止されていますし。 それならここを離れて近くにあるショッピングセンターへ行きますか?」

「まあそうだな。 それがいいよな。」


 前に西垣と一緒に行ったショッピングセンターよりは小さいだろうが、ずっと博物館にいるわけでもない。 プランとしては悪くないはずだ。 そう思いながら博物館を出ることにした。

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