博物館の理由
「博物館って結構閑散としてるものかと思ったけど、わりと人が入ってるんだなぁ。」
「積和君。 そう言った感想は少し失礼だと思いますよ。」
西垣の鋭い意見に反省しつつ、俺達は博物館の入り口まで来ていた。 博物館というだけあって建物の規模自体は大きく見える。 博物館って遠足でも来たことあったか?
「あ、見てください。 今はオモチャの博覧会をやっているみたいですよ。」
西垣が周りのポスターを見ていて、そんなことを口走った。
「オモチャ? ・・・へぇ。 古代の人達が遊んでいたであろう遊戯の化石かぁ。 ちょっと興味出てきたかも。」
「入り口が近付いてきました。 行きましょう。」
そうして入り口の前まで来て当日券を買うために券売所へと足を運んだ。
「いらっしゃいませ。」
「すみません学生2人で。」
「それでは身分の証明できる物をご提示下さい。」
俺達は学生証を出して、学生料金で支払い、博物館の中へと入っていく。 入り口はエントランスホールとなっているようで、展示品の案内の看板が所狭しと並べられていた。
「最初からオモチャの博覧会行っても楽しみが減るだろうし、とりあえず標本のところ行ってみる?」
「積和君がいいのでしたら、私はそれについていきます。」
西垣をリードしていると言っていいのか分からないが、ついてきてくれるのなら問題はないかと考えた。
今俺達の前にあるのは埴輪や土偶といった土で出来た焼き物のような物をガラス越しで見ながら、説明のついた台座で流し読みをしていた。
「埴輪や土偶って何に使われてたんだ?」
「土偶の方は祭事の時に、埴輪の方は死者などの霊を守ったりしていたようですね。」
「なるほどなぁ。 人形なのは役目を果たしやすくするためか?」
「分かりやすくするためかもしれないですね。 でも土偶の方は女性の姿を模しているようですよ?」
「女性? これが?」
全くもって女性に見えないのだが、昔の人がそう思ったのならそうなんだろう。 俺には分からん。
「積和君、もしかしてつまらなかったですか?」
「いや、そう言う訳じゃないんだ。 興味は出てくるんだけど、俺元々歴史というか社会科は苦手でさ。」
苦手なものを好きになるのはまあまあ難しい。 実物を見てるだけまだマシな部分というものもある。 これが文字だけだったら本気で嫌な顔しててもおかしくなかったかもしれない。
「そうだったのですか。 そこは申し訳ありませんでした。」
「いや、西垣が悪い訳じゃないって。 でもなんで博物館だったんだ? それこそもっと行く場所はあったのに。」
西垣が来たいからという理由もあるのだろうが、それでも疑問が残った。 ゴールデンウィークなんだしそれらしい場所でも良かったはずなのに。
そう質問すると西垣は少し考えた後にこう答えた。
「確かに動物園や水族館なども良かったのですが・・・最初にしては、敷居が高いかな、と。」
「ん? それって・・・」
どういう意味かと聞く前に西垣が歩いていってしまった。 その時に銀髪の隙間から見えた耳が、赤く染まっていたのは見間違いだったのだろうか?




