予定は噛み合わず
「すまぬ相棒。 とても魅力的な誘いではあるが、我には新たなる使命に馳せ参ぜなければならぬゆえ、そちらにまで予定を合わせられない。 本来ならば無下にすることも無かったであろうが、我が天秤は自我の赴くままに傾いた。」
昨日の件で芦原を誘ってみたものの、芦原にも予定はあったようで、言葉はともかく丁重に断られた。
理由も大体は察している。 俺と芦原のやっているスマホゲーム「極限記録」略称「エクアカ」にてゴールデンウィークに併せたイベントが来るのだ。 ゲーム世界のキャラクター達の背景からそう言った概念は少なくなって来ているが、新キャラやイベントで手に入る特別衣装等が来る。 また今回のキャラは芦原にとって逃したくないらしいので、周回しない訳にはいかないのだろう。
「いや、こっちもダメ元で聞いたんだ。 予定があるなら仕方ねぇよ。 まあ、頑張れ。」
「心得た。 時に相棒。 黄金たる休息の予定で女神と出掛けるようだったが、本当に誘って良かったのか?」
「ダメ元だったし無理なら無理で構わねぇって感じだったから気にすんな。 それに他に予定組む奴もいないし。」
「我が言える立場でないことは理解しているが・・・女神と出掛けるのなら、むしろ我を誘わぬ方が良いのではないか?」
「いや、男女のペアだと気まずくね?」
「・・・「インセンシティブ」・・・」
「え?」
言葉の意味が分からず聞き返すと同時に授業開始の鐘がなり、芦原は去っていってしまった。
「ってなことがあってな。」
お昼休みになり何時ものベンチで弁当を食べながら西垣にそんな話をする。
「それは・・・芦原君にも予定はありますから。」
「そう言えばそっちはどうだったんだ? 誰か誘えたのか?」
西垣ならば入学当初までにはないにしろ、一緒に行きたがっていたクラスメイトはいるはずだ。 気の合う友人が出来ればそれでもいいかと思っていたりする。 その場合俺は邪魔になるだろうが。
「それが・・・誘ってはみたのですが、やはり予定があるみたいで・・・」
「あー、そうなんだ。 まあゴールデンウィークだもんなぁ。」
そりゃ西垣の誘いも魅力的かもしれないが、それはそれとしてみんなにも計画というものはある。 無理矢理誘うやり方は西垣も取らないだろう。
「ならやっぱり2人で行く事になるのか。 色々と下調べしないといけないか?」
「あ、それならこの場所とか博物館に近くて良いですよ。」
「どれどれ? へぇ結構あるんだな。」
「海も見れる場所みたいです。」
そんな感じで西垣と出掛けるための下調べをしていながら、その日のお昼を過ごした。
インセンシティブ=鈍感




